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開発者インタビュー

“日本のソフトパワーがつまった世界標準”を手軽に導入できる
東芝の輸送計画システムソリューション「TrueLine®」とは?

第6回:無限に広がる「TrueLine®」の可能性

[写真] 久保 英樹
東芝デジタルソリューションズ株式会社
ソリューションセンター 交通ソリューション部
久保 英樹

ユーザの生の声をもとに必要な機能を網羅

実際にシステムを導入しているユーザからの意見はもちろんのこと、各地の展示会などで得られた声も参考にしてTrueLine®は進化し続けている。現場ならではの生の意見を反映させた機能や仕様も多数アップデートされ、予算などの理由で導入後の変更が難しいオンプレミスのシステムとの大きな差異化要素となっている。

こうした生の要望を受け取り久保氏は、2つのシステムを形にしたという。
ひとつは信号の位置を最適化し、新たな配置場所を割り出すシステムだ。
「列車が安全な距離を維持するためには、信号の位置は重要です。信号の間隔が広いとその間に1つの列車しか入れせん。信号の間隔を詰めればたくさん入りますが、列車間の距離を保てません。やみくもに増やすのではなく、最適な信号の配置を決定するシステムです」。

もうひとつは、乗務員の交番計画の作成システムだ。明日はこの仕事、明後日はこの仕事といった具合に、乗務員に仕事を割り当てる計画表の作成である。単純に人員をローテーションさせるだけでよいのかと思いきや、それほど単純なものではないのだという。

「日本における交番計画は、平等性を重視し、順番に割り当てていくのが一般的ですが、例えばアメリカは年長者が優先的に仕事を選び、キャリアが浅い乗務員は残った仕事が割り当てられるという、年功序列といっていい運用もあります。そういった各国のルールを反映した上で計画を立てられるシステムでありたいと思います」。

こうしたリソースの配分を最適化するシステムは、乗務員車掌運用作成サービスがTrueLine®のサービスとして稼働していることからも分かるように、鉄道周りのシステムとしては比較的ポピュラーだ。「この機能が手付かずで残っていることに我々も気づいていたのですが、社内ではあまり需要は高くないだろうと判断していました」と久保氏は振り返る。

しかしヒアリングの結果、これらの機能を実現するシステムの優先順位が、他にも増して高いことが分かったという。「リサーチが重要であることを痛感させられました」と述懐する久保氏だが、現場の生の声をフィードバックする仕組みを採用しているTrueLine®であれば、あとからの機能の追加対応も容易となる。
「鉄道のデスクワークで必要な機能はほぼ網羅できるようにしたい」と久保氏は意気込む。そしてそれらはこれまでと同様、直感的な操作性を備え、かつアクセシビリティも重視した設計で、これからもユーザが本当に求めているものを機能に反映できるよう、開発は進められていく。

航空業界やバス業界など他業界へも展開できる

[写真] インタビュー時の様子

鉄道向けの輸送計画システムとして誕生したTrueLine®に航空業界やバス業界など、他業界からの関心も多く寄せられている。

素人目に見ると、鉄道業界向けに設計されたTrueLine®が他業界で使えるのか、疑問を持って当然だろう。しかし久保氏に言わせると、むしろこれだけ共通項を持ったシステムはないのだという。「輸送という概念で捉えると、鉄道や飛行機、バス、船舶はもちろんのこと、物流についても、基本的な考え方はみな同じです。TrueLine®というシステムはうちの業界でも使える、という感想を持たれることが多いようです」。

事実、展示会でデモを行っていると、通りかかった航空業界や物流業界の人から質問を受けることは日常茶飯事だという。「話を聞くと、やはり同じような悩みをお持ちです。毎日決まった路線を往復する中で、一部を入れ替えることでうまく切り抜けたり、あるいはそれができないために生産性が下がったり、何らかの手を打たなくてはいけなくなった、といった具合に核心となる課題部分は一緒であることを痛感させられます」。

ちなみにTrueLine®には、鉄道を導入していない、空輸もしくは海運を主としている国からの問い合わせも少なくないのだとか。業務支援という形を通じて事業者間で人的交流がある鉄道業界内であれば、便利なシステムの存在が話題となっても何ら不思議ではないが、業界の枠を飛び越えて指名での引き合いがあるところに、TrueLine®のポテンシャルの高さを見て取ることができる。

データの蓄積で無限に広がるTrueLine®の可能性

こうして現場の生の声をフィードバックしてきたことで、業界内外での高い評価を揺るぎないものにしつつあるTrueLine®。すでに導入済みの鉄道事業者に加えて、今まさに導入に向けてテストを重ねている事業者も多く、今後TrueLine®がさらなる広がりを見せることで実現する未来についても、久保氏はしっかりと見据えている。

「さまざまなお客様からデータが集まってくると、乗り継ぎがうまくいかない条件など、共通する傾向が見えてくると予想されます。こうしたデータを東芝が自動的にリンケージして、問題の解決を図れば、さらによい輸送計画の作成につなげられます。今後、お客様が増えれば増えるほど、こうしたデータが集まり、これまでとは異なるメリットを生み出せるようになるはずです」。

元来、日本のメーカーはシステムを作って売るスタイルが中心で、サービスだけを提供するのが不得手と言われてきた。しかしサービスから得られるデータを蓄積していけば、ビジネスはそこで完結することなく、可能性は無限に広がっていく。それは鉄道事業者をはじめとするユーザの業務効率の最適化につながり、そこで削減された労力は、さらなるサービス向上へとつながる。それこそがまさに、TrueLine®の目指すところというわけだ。

「手持ちのカードがどんどん面白いカードに変化していって、切り札がたくさんできつつあります。TrueLine®によって、そうした未来が少しずつ見え始めています」。久保氏の目には、TrueLine®が紡ぎ出す未来像が、はっきりと映し出されている。

輸送計画 ICTソリューション
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