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開発者インタビュー

“日本のソフトパワーがつまった世界標準”を手軽に導入できる
東芝の輸送計画システムソリューション「TrueLine®」とは?

第2回:鉄道の計画性を高める「TrueLine®

[写真] 久保 英樹
東芝デジタルソリューションズ株式会社
ソリューションセンター 交通ソリューション部
久保 英樹

仕様を統一した汎用的なシステムを提供

時間ぴったりに運行される日本の鉄道は、「鉄道は遅れて当然」がもはや当たり前になっている海外にとって、実に摩訶不思議な存在なのだろう。しかし日本と世界とで鉄道の仕組みそのものが根本的に違うかというと、決してそうではない。「鉄道はイギリスが発祥で、ドイツやフランスなどとともに日本にも伝わっていますので、系譜としては皆同じ」と久保氏が語るように、根本の部分では共通している。違いがあるとすれば、日本独自に発展した部分がありシステム化されてきたことだろう、この一点に尽きると言っていい。

では、日本で使われている輸送計画システムをそのまま海外に輸出すれば、日本のように時刻が正確な運営ができるかというと、事はそれほど簡単ではない。というのも、国内で使われているシステムの多くは、長い年月をかけて各事業者が細かいカスタマイズを施し、複雑な仕様を持ったシステムへと変貌を遂げてしまっているからだ。「従来のシステムは、個々の人間が決めた細かいローカルルールが山のようにあり、それを寄せ集めただけでは、まったく使えないシステムができあがってしまいます」(久保氏)。

そのため、TrueLine®の開発にあたっては、機能の本質を突き詰め、各社がカスタマイズした癖といえる部分を削ぎ落とすことを意識して開発された。これによって海外はもちろん、日本国内の鉄道事業者に対しても、輸送計画の本質をとらえた、仕様が統一され、汎用性を備えたシステムを提供できるというわけだ。

TrueLine®は「計画性を高めるシステム」

ではここで、TrueLine®が具体的にどのようなシステムなのか、ざっと紹介してもらうことにしよう。TrueLine®を語る上で欠かせないキーワードとして久保氏が挙げるのが「計画性」だ。

「鉄道で一番ベーシックな運行管理の仕組みとしては信号システムがありますが、これはあくまで電車を衝突しないように走らせるためのもので、これで電車の遅れを防げるわけではありません。TrueLine®はその次のステップにある、線路という制約の中で電車が理論的に速く、正確に走れるよう、計画を立案するためのシステムです」。

そんなTrueLine®は、6つのサービスによって成り立っている。まずすべての基本となるのは、運転のシミュレーションを行う「運転曲線作成サービス」だ。

「日本の鉄道事業者は、この駅からこの駅まで何分何秒あれば到着するというデータを、さながら宇宙ロケットの軌道計算と同じようにさまざまな条件から計算し、完全に把握しています」。駅間の運転時間を算出し、ランカーブと呼ばれる運転曲線図を出力可能にするのが、このサービスだ。車両や編成の条件、さらにノッチやブレーキの段数といった制限のほか、線路の勾配などのパラメータもすべて考慮されるので、高い精度でシミュレーションができる。省エネ運転の検討も可能というから驚きだ。

運転曲線が決まれば、あとは駅ごとの停車時間を調節するだけで、ダイヤの作成が可能になる。ここで用いられるのが「基本ダイヤ作成サービス」だ。例えばA駅は乗降客が多いからやや長めに1分20秒を見込んでおくが、B駅はあまり乗降がないので45秒で構わない、といった具合に停車時間を入力していく。いわゆる「列車スジ」を描画する作業だが、紙に手書きするのと異なり、列車、停車駅ごとに停車時間を微調整すると以降のスジも連動して自動的に書き換わるので、調整のたびにわざわざ書き直さずに済むメリットがある。これにより、電車の運行の基本になる基本ダイヤ、そして1日の車両運用が作成され、運行図表や時刻表などの出力が可能になる。

この基本ダイヤが確定することにより、電車の乗務員や車掌のシフトも自ずと決まってくる。これらは「乗務員/車掌運用作成サービス」によって作成および計画の立案が行われる。「乗務員の運用を決めるにあたっては、運行図表の中で、その乗務員が乗車している区間だけをGUIで切って繋いでいくという考え方です」。これも日勤、泊まり、明けといった勤務種別や勤務条件を入力しておくことで、自動的に運用に反映される。作成された運行図表や仕業表、勤務時間表をPDFやHTMLファイルに出力し、再編集を行うこともできるなど、自由度は高い。

[画像] 運転曲線作成サービス
運転曲線作成サービス
[画像] 基本ダイヤ作成サービス
基本ダイヤ作成サービス
[画像] 乗務員仕業横棒編集機能
乗務員/車掌運用作成サービス

運行計画はもちろん構内計画まで幅広く対応

電車を走らせる計画とは別に重要なのが、構内での作業計画だ。「運行図表のダイヤは営業線と呼ばれる、お客様を乗せる部分だけを定めたものです。そのため、運行が終わって車庫に入って以降や、車庫から出る前の運用については、これを見ただけでは分かりません」。この構内における計画を立案するのが「構内基本計画作成/構内作業管理サービス」だ。具体的には、基本ダイヤの入出庫情報をもとに、運用のローテーションの基本計画を立案し、車両基地内の車両の移動をスムーズに行えるようにする。

もうひとつ、これと密接に連動するのが「検査計画作成/車両割当管理サービス」だ。「電車は毎日同じダイヤで運行されていますが、毎日決まった時間に同じ番号の車両が来るわけではなく、絶えずローテーションしています。というのも、車両の清掃も行わなくてはいけませんし、車両を休ませて検査をする必要もあるからです。しかし電車の故障により、車検の順番が入れ替わることもしばしばで、それらの管理を一手に担うのがこのサービスです」。ここで作成された情報はさきほどの「構内基本計画作成/構内作業管理サービス」にもフィードバックされる。

これら5つのサービスの他に、車両の走行位置をリアルタイムに把握できる運行監視システム「GIS運行監視サービス」を追加した6つのサービスが、TrueLine®のサービスのすべてだ。
SaaSで提供されるこれらのサービスは、すべてを同時に導入しなければいけないわけではなく、必要とされるサービスから導入し、徐々に追加していくことが可能だ。久保氏は「減価償却のタイミングを気にせず、必要な時に必要なだけ導入してもらえればと思います」と胸を張る。

[画像] 入出庫・転線編集機能(構内マップ図)
構内基本計画作成/構内作業管理サービス
[画像] 検査計画立案機能
検査計画作成/車両割当管理サービス

共有ツールによって鉄道マンは協調して行動できる

久保氏によると、何万人もの日本の鉄道マンが揃って行動できるのは、共有ツールの存在が大きいのだという。「例えば鉄道マンが懐から出してパラパラとめくっている細長い紙、あの運行図表こそがその共有ツールなんですね。協調して安全に動ける裏にはそうした仕組みが存在しているというわけです」。その共有ツールを作成、出力するためのサービスこそが、ほかならぬTrueLine®というわけだ。

このように運行計画のスムーズな立案に貢献するTrueLine®だが、その中身を紐解くと、東芝の技術の粋を結集した自動化に加えて、デザインや人間工学にも徹底的にこだわった設計が特徴だ。次回はこれらTrueLine®の自動化、そしてデザイン面のこだわりにフォーカスしてみたい。

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