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導入事例 株式会社第一興商

Innovation Report / 24時間365日止まらないセンターシステムを構築 業界の先陣を切ってオンデマンドサービスを展開

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選定ポイント

未知の領域に挑戦する意気込みを評価

 通信カラオケで、当時主流だったのは、選曲のオーダーのたびにセンターからダウンロードする配信システム。一方、同社が思い描いていたのは、まとめてデータを配信して、ハードディスクにデータを蓄積するシステムだった。

 「1曲ごとの配信では、万が一センターがダウンすると、飲食店やカラオケボックスなどの事業者様が営業できなくなってしまいます。また当時はアナログ回線で、9600bpsという世界。通信速度や回線の不安定さを考えると、エンドユーザー様にもストレスを与えてしまいかねません。安心かつ快適にカラオケを楽しんでいただくには、ハードディスクに蓄積する方式のほうがいいと判断しました」(熊谷氏)

 新しい通信カラオケのセンターシステム構築にあたり、パートナーに選んだのは東芝ソリューションだった。

 同社は当初、センターのサーバに汎用機を使うことも視野に入れていた。しかし、コストの面でかなりの負担なるために断念して、UNIXマシンを選択。当時、UNIXマシンのハードを取り扱い、なおかつソフトウェアの開発ができて、保守サービスも充実しているベンダーといえば、数えるほどしかなかった。なかでもコスト面で有利な提案をしたのが、東芝ソリューションだった。

【写真】開発本部 DAMシステム運用部 部長 尾田 謙一 様
開発本部
DAMシステム運用部
部長
尾田 謙一 様

 もちろんコストだけが選定の理由ではない。開発本部 DAMシステム運用部 部長、尾田謙一氏は、「決め手になったのは、担当者の熱意です」と明かしてくれた。

 「私たちが心配していたのは、どこまで真剣につきあってもらえるのかという点でした。通信カラオケは、ベンダーさんにとっても未知の領域。いざ開発を始めた途端、ビジネスライクな対応で、これはできない、あれもできない、では困ります。ベンダーさんに求めるのは、たとえ難題があっても一緒に解決していこうという姿勢です。その点で、もっとも信頼することができたのが東芝ソリューションでした」

 センターシステムの開発は、東芝ソリューションのエンジニア約20人が、当時江古田にあった本社ビルに常駐して行った。機器とネットワークの構成は次の通りだ。

 まず東京のセンターに楽曲提供用、契約端末の情報管理用、バックアップ用の3つのサーバを配置。それらを全国7カ所のサブセンターに設置した通信用とデータベース用のサーバと結ぶ。サブセンターの設置は長距離通話料金を節約するための策で、サブセンターのサーバは、当時民間企業として初めてKDDIの基地局内に設置されることになった。サブセンターのサーバは、公衆回線を通じて各地域の店舗のカラオケ機器とつながっている。店舗側は、センターの配信スケジュールに沿って、更新された楽曲データをダウンロードする仕組みだ。

 開発は困難を極めた。同社の通信カラオケシステムは、94年4月の「DAMシリーズ」サービス開始に合わせて稼働したが、前例のないシステムゆえの宿命か、当初はトラブルも発生したという。

 「端末が止まってしまったり、なぜかダウンロードできないという問い合わせがしばらくありましたが、東芝ソリューションは、その都度、粘り強くつきあってくれました。最後までとことんつきあってくれそうだという選定時の期待に、きちんと応えてくれたと思います」

【図】DAMネットワーク配信システム構成図[図をクリックして、拡大図を別ウィンドウで見る]

開発ポイント

コストパフォーマンスを考慮した効率的な冗長化を実現

【写真】さまざまなオンデマンドサービスを提供する「DAMシリーズ」
さまざまなオンデマンドサービスを
提供する「DAMシリーズ」

 通信カラオケは軌道に乗り、「DAMシリーズ」も進化を遂げていった。しかし、同社は早くも次の変革期を見据えていた。それがブロードバンド対応とオンデマンドサービスの展開だ。

 従来のアナログ回線は、楽曲データを配信するだけで精一杯で、容量の大きい映像系のデータ送信は難しい。また電話回線を使うため、店舗側の営業時間中には配信しにくいという課題もあった。

 これらの問題は、99年末からADSLが実用化され、徐々に普及していくことで解決する。しかし、それは同時に、もっとリッチコンテンツを楽しみたいというユーザーのニーズに火をつける結果にもなった。またADSLの登場で、センターから一方的に配信された楽曲データを再生するだけでなく、センターと端末間でオンデマンドに情報をやりとりできる通信環境も整った。ブロードバンド環境を活用して、付加価値の高いコンテンツとサービスをどのように提供していくか。それが業界の次の課題になっていた。

 同社はこの流れにいち早く反応して、新たなサービスの検討を始めていた。ただ、オンデマンドサービスを提供するには、従来のシステムを大幅に進化させる必要があった。楽曲データの配信だけなら、万が一センターやネットワークに障害が発生しても、復旧後に配信し直すことができる。しかし、オンデマンドサービスは、ユーザーが情報端末から入力した情報に対して、センターがリアルタイムに対応しなければならない。そのためには、24時間365日、決して止まることのないセンターシステムが必要だった。

 そこで同社は、従来からのパートナーである東芝ソリューションに相談して、センターシステムの再構築を決断。前出の尾田氏は次のように明かす。

 「社内には、マルチベンダーで対応してはどうかという声もあったんです。ただ、通信カラオケというある意味では特殊なシステムを、他のベンダーさんがそう簡単に理解してくれるとは思いませんでした。実は別の案件を他のベンダーさんにお願いしたケースもあるのですが、通信カラオケの仕組みを一から説明しなくてはならず、開発に非常に時間がかかった。今回はコアの部分だけに、すでに同じ認識を持っている東芝ソリューション以外に任せるつもりはありませんでした」

 今回のセンターシステム構築では、システムの冗長化がテーマの1つだった。とはいえ、機器をすべて二重化すると、数十億円規模のコストがかかる。万が一のリスクに対応できて、なおかつ適正なコストに抑えるには、完全に二重化して障害発生時は自動で切り替わる部分と、待機の装置を用意して手動で切り替える部分のバランスを取る必要があった。

 冗長化の設計はスムーズに進んだが、「それが可能だったのは、東芝ソリューションが通信カラオケシステムを知り尽くして、運用でも現場でサポートし続けてくれたから」と尾田氏は語る。同社が高く評価した東芝ソリョーションの実績とノウハウは、ここでも発揮されたことになる。

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