(*)BPO:ビジネス・プロセス・アウトソーシング
美しい生活文化の創造のために
資生堂 汐留オフィス
東芝ソリューションは、資生堂情報ネットワーク株式会社(以下、資生堂情報ネットワーク)と協力し、2009年4月より、全国のデパートや総合スーパーへの資生堂コーナーにカウンターサポートシステム(CSS)の導入に取り組んできた。肌測定、売上・在庫管理、顧客情報管理の3業務を1台の端末で行うこのシステムは、ビューティコンサルタント(BC)の接客業務の向上を図ることができ、カウンターにいらしたお客様への新たな提案にも繋がるものだ。当社は、長年、資生堂情報ネットワークとともに培ってきた店舗情報システムのノウハウを生かして開発した。
資生堂情報ネットワークは、店頭での運用を含めて本システムが安定稼働し、ヘルプデスクが担うさまざまな複雑な業務について標準化ができたところで、オフショアに移管することを視野に入れていた。当社はその思いを実現すべく、今回の移管に動いたのである。
中国への信頼、日本との絆
まず、東軟集団(以下Neusoftグループ)でBPO事業を展開している東軟信息技術服務(以下、東軟情報技術サービス)に、CSSヘルプデスクをオフショア移管することを提案した。
東芝グループとNeusoftグループの関係は1996年にSIの合弁会社を設立した時から始まり、15年の歴史がある。また、東芝ソリューションは、中国市場においてITソリューションを提供するため、2011年7月に瀋陽東芝東軟情報システム社をNeusoftと合弁で設立している。
国が違い、言葉が違うと様々な壁もある。しかし、当社ではこの15年間、さまざまな案件を彼らと共有し、両者の違いを大きな信頼に変えてきた。
資生堂情報ネットワークと東芝ソリューションは、店頭にいるBCのみなさんにCSSを100%活用して頂くことが、お客さまの満足向上につながると考えた。特にその点を非常に重視していた資生堂情報ネットワークは、ヘルプデスクが的確に対応出来ると判断し、東芝ソリューションの提案を受け入れ、Neusoftグループをオフショア移管先に決定するとともに、一緒になって移管構築に努めた。
BPOセンターで対応中のスタッフ(藍さん)
現在、彼らは『資生堂の一員』と言う気概をもって、日々業務に携わっている。リーダーの1人、中国人の藍さんは「この研修で日本に滞在し、多くのことを学びました。それはシステムに関することやオペレーターとしての対応だけなく、日本人の優しさと商品に対する姿勢、そして資生堂の『お客さまを想う気持ち』です。日本の素晴らしさを実感しました。中国では学べないものを持ち帰り、現地のスタッフに伝えています。」とコメントしている。
当社の担当営業である長野も、「彼らはなんとしてでも成功に導く強い意識があり、困難なリクエストに対しても柔軟な対応をしてくれます。今後も当社の付加価値との相乗効果を高めていき、このBPOセンターでのサポートを資生堂様の新たな価値に繋げていただきたいと思っています。」との事。
そして2011年9月、資生堂情報ネットワークは当初の目的どおり、まずは導入店100店舗を対象に中国・大連でのヘルプデスク業務をスタートさせた。同年10月には500店、11月には全1000店への展開を完了、2012年4月にはデパート(300店)についての移管もすべて完了する予定である。
大連ヘルプデスクの視察
視察中の西村CFO/CIO
中国への移管から約3カ月が経った12月2日、資生堂 西村義典最高財務責任者(CFO/CIO)と資生堂情報ネットワークの岡部正則取締役社長をはじめとする一行がCSSヘルプデスクのあるNeusoftのBPOセンターの視察に訪れた。
オフィスの様子
オフィスに設置されている日本にあるものと同じ機器
ここでは、ヘルプデスクとして東軟情報技術サービスの社員が、日本の各店舗で接客しているBCからの問い合わせに対応している。彼らが資生堂の社員の一員のような気持ちで仕事に携わることができるよう、配慮したオフィスとなっているのである。また、彼らがさまざまな問い合わせに適切に対応できるよう、日本の実際の店舗と同じシステム(機器)が設置されている。
話を聞く西村CFO/CIO(左)と岡部社長(右)
- *この記事内容は2011年12月に取材した内容を元に構成しています。
記事内における数値、組織・役職名などは取材時のものです。