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東芝ソリューション 取締役 矢野 明宏、イー・ウーマン代表取締役社長 佐々木 かをり 氏 Top Interview

2010年12月22日 東芝ソリューション 矢野取締役 × イー・ウーマン 佐々木代表取締役社長IT技術は、すでに生活の中に深く根づき、特別な存在ではなくなってきている。そのITインフラを支えている東芝ソリューションの矢野取締役人事総務部長と、早くから仕事にITを取り入れ、インターネットを使って働く女性の声を発信し、ダイバーシティ経営についてコンサルティングをしているイー・ウーマンの佐々木代表取締役社長が、現代の企業のあり方と人材育成について対談を行った。

(写真)
東芝ソリューション株式会社 取締役人事総務部長 矢野 明宏(右)
株式会社イー・ウーマン 代表取締役社長 佐々木 かをり 氏(左)

社員の幸せを追求しながら、社会全体の幸せも考える

矢野 明宏

矢野 一般にはあまり知られておりませんが、皆さんが交通機関の自動改札機で使っていらっしゃる非接触ICカード関連のソリューションや、高速道路のETC、飛行機の運航管理のほか、官公庁や銀行・証券会社、デパートや宅配便、変わったところではカラオケなどのエンターテインメントなど、さまざまな分野で東芝ソリューションの技術が活用されています。佐々木さんは、身の回りにあるIT技術を実感されることはありますか?

佐々木 ITはすでに生活の中にしっかりと根づいているので、改めて「これがIT技術か」と感じることはなくなってきていると思います。つまり、それだけ自然になってきているということでしょうね。私自身を振り返ってみると、通訳や翻訳の会社を起業した87年には、PCを使って翻訳者のデータベースを作り始めましたし、88年には電子メールを使い始めています。95年には、日本初の、海外とWebカメラを使ってのカンファレンスを行いました。99年に子供が生まれたときは、分娩室から出てすぐメーリングリストに出産報告をして、リストにいらしたIT業界の方にも出産報告したのは日本初と驚かれたこともあります。でも私自身はITを特別なものと意識したことは、あまりないような気がします。

イー・ウーマン代表取締役社長 佐々木 かをり 氏

矢野 確かに、ITはもう生活の中に当たり前のように入ってきていますね。もちろん企業においても、ITは欠かす事のできない重要な役割を担っています。私たちは、社会インフラをITで支える企業として、日々さまざまな業種・業態のお客様にソリューションを提供しているので、さまざまな企業のあり方や声を聞き、日々勉強させていただいております。  ところで佐々木さんはイー・ウーマンとユニカルインターナショナルの代表取締役ですが、経営者になった経緯などを教えてくださいますか?

佐々木 私は、大学卒業後フリーランスで通訳をしていました。通訳とは、話し手の伝えたいメッセージを相手に伝える仕事です。ただ言語を機械的に翻訳しても、必ずしもメッセージを伝えることはできません。そのため、企業にとって重要なメッセージを「伝える」ことのできるバイリンガルのスタッフを組織化し、ユニカルインターナショナルを起業したのです。記者会見、IR会議、契約書、プレゼン企画書、報告書など、どの分野でも、訳すことではなく、メッセージが相手に伝わることが非常に重要だからです。そのようなことを理解されるクライアントに対して丁寧に仕事を続けることで信頼を獲得していきました。営業部員などはいませんでしたが、ひとつひとつの仕事が評価され、その結果として、どんどん仕事が増えていきました。

矢野 今でこそ女性の社会進出はめざましいですが、80年代は、優秀な人でも30代になったら退職してしまうケースが多かったですね。私は、まず「社員の幸せ」を考えた上で、現在の企業環境をどうしていけばいいかを決めるべきだと思います。社員だけでなく、社員と一緒に暮らす家族も含めた幸せをどうやって実現していくのかということは、大変重要な課題です。さらに、社員や家族にとってよいことでも、世の中にとってはどうかということも考えなければなりません。社員の幸せを追求しながら、社会全体の幸せも考えていく必要があります。東芝ソリューションは、そういう会社でありたいと考えています。

全体最適を意識し、チームとして動ける人材

矢野 明宏

矢野 もちろん、考えるべきは社員の幸せだけではありません。お客様の課題をITソリューションで解決し、喜んでいただく必要もあります。そのためには、高度な専門知識はもちろん、人間力も高めていかなければならないと考えています。当社は5,100人の社員が在職していますが、その約1割が営業職で、8割の社員が技術職となっています。技術職、も、営業職と一緒にお客様のところへ伺い、最適なソリューションのためのさまざまな提案をしています。また、お客様の中に入り、作り上げたシステムを保守・運用するケースもあります。

そこで、私たちは、人材育成にも力を入れています。社内大学を作っており、500を超える講座を用意しています。そのうち100以上の講座はインターネット上で利用できるようにしています。また、専門知識だけに偏らないように、人間力講座なども定期的に開催しています。佐々木さんも日々感じられていると思いますが、仕事というのは一人だけではできるものではありません。常に全体最適を意識し、チームとして動ける人材を育成していきたいと考えています。

佐々木 素晴らしいですね。確かに、社員一人ではできないことをどうやってチームとして実現するかはポイントになります。経営陣は会社視点で見ていますが、社員はそのような視点を持っていない場合も多くあり、私も、多くの企業で社員の視点・貢献度を高める研修をしてきています。やはり、社員も会社全体を見る訓練をすることが大切だと思います。大きな流れがどうなっているのか、その中で自分のチームは、自分の役割はどうなっていくのか。チーム全体での総得点を高めるという視点で考える習慣を身につけると、自然と全体最適を意識してチームとして動くことができるでしょう。Work(ワーク) という単語は働くと訳されていますが、本来の意味は「機能する」「役に立つ」という意味です。自分の存在が組織の中で機能し、役に立っているかを常に考えるといいと思います。

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「加速」「切り替え」「周りを考える」

イー・ウーマン代表取締役社長 佐々木 かをり 氏

佐々木 仕事がうまくいかないとき「仕事環境が悪い」「会社の仕組みが悪い」「自分を活躍させてくれない」などとなげく社員もいますが、それは違います。企業は、社員に100の力があれば、101、102、そしてそれ以上に力を発揮してほしいと考えています。100ある社員の力を90しか出せないように、会社が仕向けることはありません。そんなことをしても、なんのメリットもありません。社員を採用したのは会社です。よりよいパフォーマンスを上げてほしいと思いますし、期待しているから採用しているのです。社員も、会社の成長の中に自分自身が含まれているということに気がつき、会社全体を見ることが大切です。うまくいかない環境もあるかもしれませんが、どの会社も、自社の社員がよりよく働き、成果をあげていくことを考えているのです。

矢野 壁に当たっても立ち上がり自分が会社を変えよう、大きな課題に直面しても立ち止まるのではなく、自分から状況を変えるために行動しようという意識が必要です。社員自身が機能して周りの役に立つことをしなければ、「ワーク」にはならないと思っています。本人もチームも満足できるよう、会社が99なら100にするように頑張ってほしい。自分=会社なのですから。確かにうまくいかないときもあります。思いがけず失敗したり、誤解されることもありますね。私自身にもそういう経験はあります。私の場合、落ち込んだときは、もっと落ち込むことにしています。どんどん落ち込んでいけば、あるところで反発し、戻ってきます。そうすれば、道は切り拓けます。あとは、うまく気持ちを切り替えることと、仲間のことを考えることでしょうか。

佐々木 かをり 氏、矢野 明宏

佐々木 確かに、嫌なことがあったときに気持ちにブレーキをかけると、無駄なエネルギーを使うだけですよね。落ちるスピードを速めれば、次のプラス山にも元気に素早く登れます。すぐ気持ちを切り替えることも、視点を変えるというのもよい方法ですね。まったく同感です。私は20〜30代のころ、「ニュースステーション」という番組でさまざまな国を取材する機会がありました。紛争地帯や難民キャンプを多く回って、南アフリカでは銃で撃たれた経験もあります。水もなく電気もつかない、トイレも流れない、食べ物もないといった地域を、あちこちで見てきました。そのときに思ったのですが、日本のように恵まれたところは、地球上探してもめったにない、ということです。日本に住む私たちは、本当に幸せなのです。それをすることで、会社での「困ったこと」はどうでもいいこと、たいしたことないことに思えてきますよね。もっと大きな視点で考えたい。大きな視点で仕事をしたいと思います。

ですから気持ちを切り替え、やる気やモチベーションを上げるために、「加速」「切り替え」「周りを考える」ということを推奨しています。先ほどもいいましたが、いやなことがあったときにブレーキをかけても無駄です。ブレーキをかけるのではなく、落ち込みスピードを「加速」させることのほうが有効なのです。「まぁ、いいか」と考えを「切り替える」ことで、とどまっていた状態を次の段階に進ませることができるようになります。最後に、「周りを考える」です。自分だけの世界を見ているのではなく、周囲や世界に目を向ければ、悩みはほんの些細な事に思えるでしょう。チームや上司のこと、クライアントやプロジェクトのことなどに視点を向ければ、自分が何をするべきか自ずと見えてくると思います。

矢野 佐々木さんのおっしゃるとおり、今後は物事を多面的にとらえて、多様な価値観を受け入れながら、自分自身を成長させることが重要なポイントになるでしょう。佐々木さんのおっしゃった「ワーク」つまり「役に立つ」「機能する」という姿勢が、より必要になっていくのだと思います。そして、チームをリードしながらも、自らをリードしてキャリアを磨き、プロフェッショナルとして世の中に通用する人材を育成していきたいと考えています。


佐々木かをり氏プロフィール:http://www.ewoman.co.jp/2005_about/sasaki.html (別ウィンドウで開きます)
株式会社イー・ウーマン公式サイト:http://www.ewoman.jp/ (別ウィンドウで開きます)

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