
東芝ソリューションは、自社で持つ技術とタブレット端末を組み合わせて、有効活用できるソリューションが何か提供できないかと検討を開始した。
流通・金融ソリューション事業部メディアソリューション技術部 メディアソリューション技術担当主任の吉田智生はタブレット外勤業務コンテンツ管理の2つのソリューション「DynamicCMS for Office」「地図情報連携ソリューション」が生まれた背景を語る。
「『DynamicCMS for Office』はこれまで手がけてきた新聞社向けのメディアマネジメントソリューションのノウハウを活用しました。新聞の記事は記者が書いた原稿を編集し、それを校閲にかけて、いろいろなメディアに配信するというプロセスを経て読者のもとに届きます。私たちは、企業内で作成される提案書やカタログも新聞の記事と同様に、各部門でのチェックやお客様の要望が反映されてどんどんブラッシュアップされていくという似たプロセスをたどることに気づき、これまで新聞制作システムで効率化を実現してきたコンテンツ管理の仕組みを応用することが出来ないか、と考えたわけです。コンテンツ管理の仕組みと機動性の高いタブレット端末を組み合わせることで、効率的な営業活動と営業力の強化を実現するソリューションを提供したいと考えています。」(吉田)
このソリューションは、次のような活動に有効に使えるものとして、開発しました。
効率的な営業活動
- 外出先での容易なコンテンツ閲覧
機動性の高いタブレット端末を利用しているため、いつでもどこでも場所を選ばずコンテンツ閲覧が容易 - 印象的なプレゼンテーション
タブレット端末の画面を直接お客様に見せながら営業活動
営業力の強化
- コンテンツの効果的な活用
利用状況や評価、コメントなどのコミュニケーション情報が共有できるため、利用者はコンテンツの効果的な活用が可能 - コンテンツ価値向上のサイクル
コンテンツ作成者は常に利用状況、評価、コメントなどを確認できるので、
コンテンツの「利用→評価→改善→登録」というサイクルによりコンテンツ価値を向上 - 市場ニーズをより反映した提案が可能
利用者やお客様の声を収集できるので、より市場ニーズに合った提案を実現

もう1つの「地図情報連携ソリューション」はコンテンツ管理のノウハウを持つ同部と営業・経営戦略コンサルティング会社、株式会社アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長の横山信弘氏の仕様監修、さらには地図情報ソリューションサービスメーカーの株式会社ゼンリンデータコムとの協業によって生まれた、タブレット端末を利用した営業活動を支援するためのソリューションである。吉田は地図を採用した理由を次のように語る。
「通常、営業の案件管理はExcelなどを使って行っています。しかし表で管理していても、各案件がどんな状況にあるのか一目で把握できません。ところが、それらのデータを地図コンテンツに重ね合わせることで、全体を俯瞰することができ、直感的な判断ができるようになるのです」(吉田)
開発のとりまとめを担当したメディアソリューション技術部メディアソリューション技術担当の猪俣裕美は、地図情報連携ソリューションの特長を次のように説明する。
「同ソリューションの最大の特長は、地図に案件の金額や訪問頻度、進捗状況などの状況が一目でわかるよう抽象化して表示したことです。地図上に自分が持っているすべての案件が再現されるので、全体が俯瞰でき、次はここに行こうという判断が早くできるようになるのです」
地図上に情報を載せることは、デザイン面で難しさがあったと吉田は言う。「地図は非常にカラフルにできている。どんな色でバルーンを表示すれば見やすいのか。その点については東芝デザインセンターと連携して検討、商品に落とし込んでいます」


例えばバルーンの色は、当初は案件の進捗状況によって白、黒、青、オレンジという個別の色を考えていたが、わかりにくいので、「青色を基調にした5段階のグラデーション表示することで、視認性を向上。より使い勝手が向上するようなデザインを心がけていきたいです」(猪俣)
業務効率の向上
- 効果を考慮した営業ルートの最適化
地図上に案件の状況が再現されるので、最適なルートで効果的な営業が可能・営業報告は外出先でオフィスに戻ることなく外出先で簡単な営業報告が可能。
上司からのフィードバックも閲覧
目標の未達リスクの軽減
- どんなに悪くとも目標を達成するという「予材管理」というマネジメント手法を採用しているので、未達案件の削減が可能
案件の見える化が可能
- 地図上に案件を抽象化して表示
- 案件は地図上に状況別に色表示したバルーンで表示。
色が異なるので一目で案件の状況を把握

これら2つのソリューションは、実証実験を行い、効果を検証していく段階にある。
今後、この2つのソリューションはどのような分野で活躍を期待しているのか。「地図情報連携ソリューションは営業支援ツールといっていますが、その利用シーンは営業だけに留まりません。今回の展示でも配水管工事を行っている事業者様から『私たちの業務にも使えますか』とのお問いかけをいただきました。お話を伺うと、地図の上で配水管工事の情報を管理したいということ。もちろん、そのような用途にも応用できます。また、その他にも保険業界の方やOA機器販売の方など、さまざまな業界、業種の方からお声をかけていただきました」(猪俣)
「タブレットを使って業務改善を考えている企業はたくさんあります。どんな業務、業界で使えるのか、発掘していかねばなりません。活躍が期待される分野が、私たちが思っている以上にあるということを実感しました」(吉田)
ソリューションとして提供するため、今後はセキュリティ対策とソリューションの提供方法をしっかりと練っていく予定だ。
「暗号化やMDMなどセキュリティに関しては、当社の他部門での実績を活用して実現していく予定です。ソリューションの提供形態に関しては、あらゆる規模、さまざまな業界のお客様に導入できるよう、クラウドサービスでの提供を検討していきたい」(吉田)
東芝ソリューションは、今後も新たなニーズを掴み、社会や企業を、より便利に効率的なものに変えていきたい。
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流通・金融ソリューション事業部
メディアソリューション技術部
メディアソリューション技術担当
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