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ビデオリサーチ様

 

共通基盤によるサービスの変革によって新たな付加価値を創造、メディア業界のプラットフォームを目指す

創立50周年を迎えるにあたり、新たな時代に即したサービスや調査手法を武器に顧客のビジネスに役立つマーケティングデータが提供できる共通基盤作りを模索。Windowsを中心としたプラットフォームを共通基盤として採用し、マルチブラウザ環境で利用できるWebアプリケーションとして各サービスが利用できる仕組みを東芝ソリューションが開発。共通基盤化に成功したことで、今後はテレビ視聴率も含めて個別に稼動している多様なサービスを同一基盤上に展開していく計画だ。

株式会社ビデオリサーチ IT開発局 局次長 兼 システム開発部長 篠原 理恵子 氏
導入前
マーケティング調査を行う新たなサービスを立ち上げるたびに部分最適化の形で個別にシステムを構築、顧客が利用するインターフェースもすべて個別に作り込んでいた。創立50周年プロジェクトとして、システム共通基盤の上にすべてのサービスを展開させ、全ての環境をWebアプリケーション化する検討がスタート。顧客に新たな付加価値を提供するための仕組みを目指すこととなった。

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導入後
統合した共通基盤「VR-CIP」をWindows環境で構築し、第一弾として国内最大規模となる生活者調査「ACR/ex [(株)ビデオリサーチ サービス紹介]別ウィンドウで開きます」がスタート。共通インターフェースの整備によって使い勝手が飛躍的に向上、従来の4倍あまりにまで利用がアップした。同サービスを利用する契約社数も順調に伸びており、ビジネスに大きく貢献できる共通基盤を作り上げることに成功。

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導入の背景

創立50周年に向け、付加価値を高めていくプロジェクトが始動

東京オリンピック開催2年前の1962年に、テレビ媒体の客観的な価値指標となる視聴率を公正・公平な立場で提供することを目的に設立された株式会社ビデオリサーチ。北海道から九州まで全国9ヶ所に支社・営業所を展開しており、広告取引指標となる視聴率だけでなくメディア接触と商品の購買状況を調査するマーケティングリサーチ商品を展開。ラジオや雑誌、新聞、屋外広告など様々なメディアを評価するデータ整備も積極的に行っており、広告会社やテレビ局をはじめとした各メディア会社、そして企業のマーケティング担当者を中心とした顧客に有益な情報を提供し続けている。

そんな同社では、2012年9月に創立50周年を迎えるにあたり、経営環境やメディア環境が変化する中でどのような未来を創造するのか、具体的な施策を検討するプロジェクト「Jump50」が発足。これからの時代に求められる調査手法のあり方などを検討、具現化することで、顧客に新たな価値を提供するための武器となる基盤作りを模索することとなった。そこで検討されたのが、これまで調査データごとに構築されてきたサービス提供システムの環境を統合し、これまで以上に調査データの付加価値を高めていくことで事業に貢献できるシステムの基盤作りだった。

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導入の経緯

共通基盤化を推し進めながら新たなサービスモデルを創造
IT開発局 局次長 兼 システム開発部長 篠原 理恵子 氏IT開発局 局次長
兼 システム開発部長
篠原 理恵子 氏

これまでのシステム環境は、新たなサービスが立ち上がるたびに部分最適化の形で個別に構築していた。ハードウェアやソフトウェアなどのシステム環境はその時代の最先端のものを調達するため、ベンダーも仕組みも様々なものが混在した状態で運用しており、そのインターフェースもすべて個別に作り込んでいた。そのような状況の中、Jump50プロジェクトの中の1つとして検討したのが、従来のクライアントアプリ型の環境をWebアプリケーション化し、すべてのサービスが展開できるシステム共通基盤を構築することであった。「異なるインフラを共通化することでシステム品質を向上させ、開発サイクルも早めていくことが可能になります。結果としてサービス間で分断されていたデータを共通化していくことが可能になり、新たな付加価値を生み出すことが出来ると考えたのです」と語るのは今回の統一基盤化を起案したIT開発局 局次長 兼 システム開発部長 篠原 理恵子氏だ。

サーバーやネットワークなどのシステム基盤そのものを担当している同局 局次長 兼 システム統括部長 武藤 二郎氏は「OSやミドルウェア、サーバーベンダーなど、マネジメントしている環境はバラエティに富んでおり、これらを統合的に管理、運用していくための負荷は相当なもの。ただし、現在は大きな潮流となっている、クラウドのアーキテクチャが多くの企業で採用されています。運用ノウハウも世の中に蓄積しつつあるタイミングでもあったことで、管理ツールの統合やハードウェアの共通化によって運用負荷を軽減させ、かつ事業貢献できるインフラ作りが可能だと判断したのです」とその経緯を語る。

調査業務局 ACR/ex調査部 副部長 原田 葉子 氏調査業務局 ACR/ex調査部
副部長 原田 葉子 氏

実際のサービスを手掛けている調査業務局 ACR/ex調査部 副部長 原田 葉子氏は「本来ならサービス間でお互いのデータを活用することで新たな付加価値を生み出すことができますが、個別のデータソースに基づいてサービスが設計されており、データをフルに活かし切れていない状況がありました。また、サービスごとにオペレーションをお客さまに覚えていただく必要があったため、共通のインターフェースで利用できる基盤作りがお客さまへの利便性向上に繋がることに期待していたのです」と振り返る。

そこでプロジェクトとして目指したのが、共通基盤化を推し進めながら、サービスそのもののビジネスモデルを変革することだった。
「従来は調査データごとに提供システムを立ち上げて個別に利用するサービスになっていましたが、これを包括的に統合することにより、お客さまの目的に合う最適なデータをご提供するサービスモデルに変革させました。そして、PCはもちろんタブレットなどでも手軽に利用できるWebアプリケーションでサービス提供することにしたのです」(篠原氏)。

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導入のポイント

Windows環境による共通基盤化に注目
IT開発局 局次長 兼 システム統括部長 武藤 二郎 氏IT開発局 局次長
兼 システム統括部長
武藤 二郎 氏

次世代を担う共通基盤整備に向けたプロジェクトがスタートする中、新たに開発を委託する企業を選定するべく、複数の企業に提案を要請。大きな要件としては、同社のサービスを展開するための共通基盤整備とともに、クライアントサーバー環境が基本だった各サービスをWebアプリケーションへ移行。さらに共通インターフェースによる使い勝手の向上や、データ集計時に四捨五入の誤差を補正するロジックの共通化といった具体的な要件も挙げた。

様々な要件に対して各社が提案する中、同社の目に留まったのが東芝ソリューションだった。「インフラ面に関してユニークだったのは、DBや仮想化基盤などがすべてWindows環境での提案だったことです」と武藤氏。第一フェーズとして展開するマーケティング調査データはもちろん、将来的には同社が手掛けるビジネスの根幹となるテレビ視聴率に関するサービス統合も控えており、365日の安定稼働が必須の要件だった。「Windows環境については東芝ソリューションとして豊富な実績があるということでしたが、私たちにとっては挑戦し甲斐のある内容でした。それでも、現実的には社内インフラ自体はWindowsが中心であり、マイクロソフトとも以前から緊密にコミュニケーションする機会を持っていたことで十分サポートをしていただけると判断。トラブルシューティングやパッチ適用のしやすさも考慮した上で、なるべく統一した環境で共通基盤を構築しようと覚悟を決めました」と武藤氏は力説する。

各種サービスの画面

アプリケーションについては、「個別に作り込まなくて済むように、例えば集計ロジックを部品化することで標準パッケージのように様々な形で活用できるような汎用性のある仕組みを具現化できる提案をいただいた点は大変良かったですね」と篠原氏。ユーザーインターフェースやビジネスロジック、集計など、それぞれ分割して開発を進めるという点も効率的な開発手法として評価したという。将来的には顧客にもAPIで提供できるような仕組みを想定していた同社にとって、東芝ソリューションの提案がともに基盤を作り上げるパートナーとして最もふさわしいと判断したという。

他にも、すでに同社が提供しているサービスの開発および運用を東芝ソリューションが手掛けていたことで、実業務に展開しやすいという面も判断材料の1つに挙げている。コスト的にも同社が想定した予算の中に十分収まったことで、新たな基盤作りのパートナーとして東芝ソリューションが選ばれた。

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導入の効果

利用状況が約4倍に向上、ビジネスに貢献できる共通基盤を構築

現在は、新たに開発した「VR-CIP」と呼ばれる共通基盤の上で、「人・ブランド・メディア」の3つの視点で生活者の現状と変化を捉える「ACR/ex」が第一フェーズとして稼働。テレビや雑誌、屋外メディアなど顧客の課題に最適なパッケージを共通DBから提供している。システム環境としては、Windows Server 2012 R2上でHyper-Vを用いた仮想環境を構築、様々なアプリケーションを稼働させており、ITサービス管理を実現するSystem Centerにて運用管理を行うなどWindows環境をベースに基盤作りが行われている。

システム構成図

今回のプロジェクトでの大きな変化は、データの量と更新頻度を向上させた調査のリニューアルである。これまで年一回の更新であったものを、複数回のデータ更新にしたのだ。アプリケーションが刷新されたことで顧客とのコミュニケーション機会が増え、シングルソースで情報が集約されたことで商品開発の幅も広がり、共通基盤が事業的に大きく貢献しているという。「それぞれのメニューが同じ操作で活用できるだけでなく、Excelと連携して簡単にレポート化できるなど、使いやすいとお客さまからとても好評です。以前の環境には戻れないというお声までいただき、嬉しい限りです」と原田氏。ASPサービスになったことや同じインターフェースから操作できるようになったことで、顧客の社内でオペレーションできる利用者が増え、昨年に比べて4倍あまり利用が向上したという。もちろん、同社の顧客となる契約社数も順調に伸びていることから、原田氏は新たな仕組みの効果を実感している。

東芝ソリューションに対する評価について篠原氏は「特にインターフェース部分の工夫には、目を見張るものがありました。Webアプリケーションでは、快適なレスポンスを実現。膨大なデータを集計し、1000を超えるセルを1つの画面に表示させなければならない場面でも、どこまでが許容できる範囲なのかをこまめに検証、最適な形で実装できるようにしてくれたのです。しっかりとした工程管理でシステムの品質も高く、納期通りの対応でしたので、とても感謝しています」と高く評価している。

他にも、今回はサーバーやストレージを含めたシステム環境を少数のベンダーに絞ったことで、システム基盤構築の部分は非常にスムーズにいったと武藤氏。「東芝ソリューションに依頼したことで、初期の段階から、サービス設計やアプリケーション開発に十分時間を割くことができたのです。Webサービス化したことによるレスポンスの心配もありましたが、事前のパフォーマンス検証をしっかり行っていただくことで既存のシステムと遜色のない快適な環境を手に入れることができました」と武藤氏。

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将来展望

メディア業界全体で活用できる情報のハブを目指す
株式会社ビデオリサーチ IT開発局 局次長 兼 システム開発部長 篠原 理恵子 氏(右)、IT開発局 局次長 兼 システム統括部長 武藤 二郎 氏(中央)、調査業務局 ACR/ex調査部 副部長 原田 葉子 氏(左)株式会社ビデオリサーチ
IT開発局 局次長
兼 システム開発部長
篠原 理恵子 氏(右)

IT開発局 局次長
兼 システム統括部長
武藤 二郎 氏(中央)

調査業務局 ACR/ex調査部 副部長
原田 葉子 氏(左)

今後の展開について篠原氏は「まだVR-CIP上で稼働していないシステムを随時展開していきたいと考えています。特にビジネスの根幹となっているテレビ視聴率に関しても同じインフラで稼働させていく構想があります」と語る。今回のACR/exを第一期の第一フェーズとして、第二フェーズとしてはテレビスポットCMの取引業務支援に関するシステム実装が予定されている。そして第二期となるテレビ視聴率のシステムでまた新たなハードウェア環境に入れ替えることを想定している。

「最終的には、VR-CIPをメディア業界のハブ的な役割に成長させたいと考えています」(篠原氏)。同社は、調査データだけでなく、広告会社やメディア、企業のマーケティング担当者がそれぞれ持っている固有の情報も連携させるようなシステムを目指し、大きく変革を遂げていく。

東芝ソリューションは、これからもビデオリサーチ様の変革と、経営の根幹を支え続けていくだろう。


本事例への取り組み記事(社員インタビュー)はこちら

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お客様の企業情報

会社名:
株式会社ビデオリサーチ
設立:
1962年9月20日
代表者:
代表取締役社長 秋山 創一
所在地:
東京都千代田区三番町6-17
概要:
テレビ視聴率調査を核としたメディアリサーチ事業、並びにマーケティング活動に役立つ様々な調査の実施及びデータの提供
URL:
https://www.videor.co.jp/別ウィンドウで開きます
導入プロダクト:
仮想化・統合ソリューション

この記事内容は2015年1月15日に取材した内容を基に構成しています。記事内における数値データ、組織名、役職などは取材時のものです。

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