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お客さまインタビュー

辞書エディタで新たなワードにも柔軟対応
次世代おもちゃが採用した「RECAIUS 音声合成サービス

カンパニー:株式会社タカラトミー×ソリューション:RECAIUS 音声合成サービス
本部ビル

株式会社タカラトミーが提供するクラウド型おはなしロボット「OHaNAS(オハナス)」は、各種音声技術APIを利用し、クラウド上での自然な会話を可能にする次世代ロボットだ。これに必要不可欠な、発話のための音声合成エンジンに採用されたのが、株式会社東芝 インダストリアルICTソリューション社(以下、東芝)が提供する「RECAIUS 音声合成サービス」だ。

価格を抑えたチューンナップしやすい仕組みを前提に、クラウド上の音声関連技術をAPI経由で利用するおはなしロボットの開発が決定。その中で、自然な会話を成り立たせるために音声合成技術が不可欠だった。
東芝が提供する「RECAIUS 音声合成サービス」を採用することで、再現性の高い声でしっかりと抑揚のある自然な音声の合成に成功。辞書エディタを駆使することで新語や流行語など新たなワードにも柔軟に対応し、利用者に満足いただける環境を作り出している。
導入の背景

ロボットネイティブ世代に向けたおもちゃの開発

木村 貴幸 氏

新規事業部
ニュートイ企画部
部長

木村 貴幸 氏

 1924年の創業以来、玩具メーカーのリーディングカンパニーとして世界130以上の国と地域に事業を展開している株式会社タカラトミー。トミカやリカちゃん、プラレールなどのロングセラー商品やトランスフォーマー、ベイブレードなど世界的な人気を誇る商品を企画・開発しており、新しい遊びの価値を創造しながら世界中の子供たちに夢と楽しさを提供している。歴史ある商品はもちろんのこと、時代のトレンドや幅広い年齢層に向けた商品を1年の間に世界中で約4,000点も提供しており、日本国内だけでも約1,200点もの新商品が毎年発売されている状況だ。

 さらに同社では未来を感じることのできる今までにないロボット「Omnibot(オムニボット)シリーズ」を30年前から発売し近年のロボットトレンドに合わせて2014年から再始動させている。「ここ数年で、生まれながらにして身近にロボットがいて、話しかけるのが当たり前なロボットネイティブ世代が登場しています。私たちは、この世代のスタートラインとなるきっかけを提供しているのです」とシリーズ再始動の意図を新規事業部 ニュートイ企画部 部長 木村 貴幸氏は力説する。

導入の経緯

会話を成立させる音声合成技術が不可欠に

OHaNAS(オハナス)

OHaNAS(オハナス)

 そのOmnibotシリーズの1つとして2015年10月に発売したのが、自然と人と会話する事を目指したおはなしロボット「OHaNAS(オハナス)」だ。OHaNASは“はなしに花が咲く”というコンセプトの次世代ロボットで、会話に必要な自然対話プラットフォームや音声合成、音声認識エンジンのAPIをクラウド上で利用し、自然な会話を可能にする仕組みを採用している。

 実はOHaNASは、スマートフォンの中のキャラクターに話しかけることで意図を理解する音声エージェントサービス「しゃべってコンシェル」を提供するNTTドコモとの共同開発で生まれたロボット。意図理解を可能にする自然対話プラットフォームは、しゃべってコンシェルで培われた技術が採用されているが、それだけでは利用者との楽しい会話の成立は難しいことが判ったと木村氏は当時を振り返る。「実際におもちゃに話しかけて会話を成立させるためには、意図理解に加えて、人の声を正確に認識する音声認識技術や相手に向かって発話する際の音声合成技術が必要不可欠なのです」。そこで、OHaNASの商品化実現に向けて、会話を成立させるための最適な技術を新たに選定することになったのである。

導入のポイント

優れた再現性と柔軟なチューンナップが魅力

多田 翔平 氏

新規事業部
ニュートイ企画部
企画開発課
主任

多田 翔平 氏

 OHaNASの製品コンセプトについて同部 企画開発課 主任 多田 翔平氏は「ネットワークを使ってコミュニケーションできるロボットの第一弾だったこともあり、できるだけ価格を抑えて自由が利くことを目標にしました。多くの方が持っているスマートフォンを利用し、クラウド上から音声対話を可能にするAPI経由の身軽な仕組みを目指したのです」と語る。実は同社にとってもクラウドを利用する仕組みは初めてであり、大きなチャレンジだったと木村氏。

 欠くことのできない音声合成技術として同社が採用したのが、東芝が提供する「RECAIUS 音声合成サービス」だった。「6歳の男の子でうどんが好きといったキャラクターが設定されているOHaNASのイメージがきちんと声で再現できるかがポイントでした。複数の技術を実際にデモで聞き比べ、検証した中で、こちらがイメージしていた声優の声に一番近く再現していたのが東芝だったのです」と多田氏。音声合成でありながら子どもの肉声のような抑揚のある声で、愛らしいOHaNASのイメージにぴったりだったと評価する。また、同技術を利用した他サービスの実績を事前に聞き及んでおいたことも、安心感につながったという。

 さらに商品の特性上、どんな言葉で話しかけてくるのかわからないため、新語や流行語、新しい有名人や映画の名前などには随時対応する必要があった。「音声合成の辞書エディタを使うことで、新しいワードを柔軟に追加していくことができる点と、ニーズに合わせてリアルタイムにチューンナップできる点を大きく評価しました」と多田氏。

 このOHaNASは、クラウドを通じてさまざまな技術を組み合わせることで一つの商品になっているため、技術を提供するパートナー選びという視点も重要だった。「私たちだけで完結するサービスではなく、一緒に歩み続けてくれるパートナーが必要です。その点、東芝は実績のあるしっかりした会社なので、パートナーとして最適だと思いました」と木村氏は力説する。

導入の効果

安定したクラウド環境と辞書エディタを高く評価

 発売から1年余りが経過したOHaNAS。当初想定していないシニア層の購入も多くみられており、これから新たなターゲットへ向けたチューニングやマーケティング施策を継続していく計画だ。実際、幅広い年齢層の利用者から聞き取りやすいと音声合成について評価の声が上がっているという。

 実際に利用している音声合成のエンジンについては、クラウドサービスでありながら安定して稼働していると評価も高い。「負荷が高くなることで処理が遅くなるサーバーもある中で、東芝が提供する音声合成サービスはトラブルも無く安定して動いています。クリスマスや年末年始など、OHaNASに話しかける機会が増えるタイミングでも、サーバーの負荷を見ながらクラウド上でオートスケールしてくれますし、安定した仕組みですね」。良いタイミングで詳細なアドバイスがあり、親身になってくれると東芝のサポート力も高く評価しているという。

 自由にチューニングできる音声合成の辞書エディタに関する評価も高い。「微妙な言い回しやイントネーションまでPCで細かくチューニングできるのはとてもありがたかったです。自分たちで気づいていない言い回しがお客様相談室などに寄せられることもあり、すぐにその場で調整することができます」とその柔軟な仕組みを高く評価する。また、同社が発売する玩具の名前や、世の中で流行っているギャグなど、事前に想定されていないワードも次々登場してくる。「新たなワードにも柔軟に対応できるため、法人向けの提供も一部始めています。例えば食品会社なら、その会社の商品名やレシピを登録すれば、違和感なくビジネスのシーンでもスムーズに活用してもらえます」と木村氏。

 音声合成を行うために必要な声の録音時にも、東芝が持つノウハウがうまく活かされている。「アニメ等とは全く異なる音声合成用の特殊な台本と収録方法でしたが、違和感が出ないよう東芝に細かくディレクションしていただけました。私たちが何もせずとも理想的な声を収録することができたのです」と多田氏は評価する。通常のシナリオや言葉としては存在しないワードを収録するなど、音声合成ならではのノウハウを数多く取り入れることが出来たという。

OHaNASの仕組み

音声合成システムフロー

 東芝の採用決定からわずか8カ月余りで商品が発売されることになったが、これに向けた全社を挙げてのバックアップにも感謝していると多田氏。「東芝をはじめ各ベンダの皆さんに全面的にご協力いただきました。そのおかげでより良いものができたと思います」。

将来の展望

ビジネス向けの展開と新たな企画での協力も

多田 翔平氏(左)、木村 貴幸氏(右)

多田 翔平 氏(左)、木村 貴幸 氏(右)

 木村氏は「一般向けに開発されたOHaNASですが、最近は百貨店などの店頭でも使われ始めるなど、ビジネス用途での活用についてもご相談をいただく機会が増えています。ビジネス向けのサービスにも応用できるような仕組みを今後考えていきたいです」と語る。また、2020年に向けて訪日外国人支援サービスをはじめ、購買層の多いシニア市場へのサービス拡充など、さまざまなことに取り組んでいきたいという。

 音声合成以外の技術も持っている東芝には、新たな取り組みを通じた協力を期待しているという。「今回の企画だけで終わろうとは思っていません。RECAIUS 音声合成サービスは音声認識などの技術も備えており、新しいロボットの企画ではもっと活躍して欲しいと考えています」と多田氏。

 もちろん、今後もパートナーとしての協力体制は続いていくという。「新しいサービスや技術について定期的にご紹介いただいています。私たちも新しいおもちゃの開発など、次の企画に生かせる部分がたくさんあります。一緒に考え、知恵を出し合い協力していける良きパートナーとして、引き続きお付き合いいただけるとうれしいです」と木村氏は語る。

 東芝が持つメディアインテリジェンスの技術は、さまざまなおもちゃの基盤としてこれからも活用されていくことだろう。

この記事の内容は2016年8月29日に取材した内容を元に構成しています。
記事内における数値データ、組織名、役職などは取材時のものです。

COMPANY PROFILE

会社名
株式会社タカラトミー
設立
1953年1月17日
代表者
代表取締役社長 兼 CEO H・G・メイ
本社所在地
東京都葛飾区立石7-9-10
事業概要
玩具・雑貨・カードゲーム・乳幼児関連商品等の企画、製造および販売
URL
http://www.takaratomy.co.jp/ 別ウィンドウで開きます

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