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PROJECT REPORT-フランス・リヨン市の再開発に挑む
  • その1
  • その2
  • 01 スマートコミュニティ実証実験の概要
  • 02 各タスクの進捗状況
  • 03 キーパーソンに聞く!プロジェクトに対する思い

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PROJECT REPORT 〜フランス・リヨン市の再開発に挑む〜 その2

  • 01 スマートコミュニティ実証事業の概要
  • 02 各タスクの進捗状況
  • 03 キーパーソンに聞く! プロジェクトに対する思い

02 各タスクの進捗状況

今回のプロジェクトは、前回紹介した4つのタスク

ポジティブ・エナジー・ビルディング(PEB)

太陽光発電を活用したEV(電気自動車)充電管理システムとカーシェアリング

家庭内エネルギーモニタリングシステム

コミュニティマネジメントシステム(CMS)

から構成されており、実証に向けたシステム開発が着々と進められている。すでに実証試験がスタートしているタスクもあり、本格的な実証がいよいよ開始することとなる。

そこで、具体的なタスクの進捗状況について、スマート・エネルギーソリューション技術部の山口直樹に話を聞いた。

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Task1 ポジティブ・エナジー・ビルディング(PEB)

ビル内で消費される電力以上の電力を、ビルに設置した太陽光パネルなどの発電施設で生み出し、蓄電池なども活用しながら周辺地域へのエネルギー供給も可能にするのがPEBです。現在はPEBに対応したビルの建設が進められています。2013年6月に起工式が行われ、2015年初めに本稼働を予定しています。

その中で我々が手掛けているのが、HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)です。2年前から「OMOTENASHI HEMS」と呼んでいるのですが、人の行動予測を取り入れて、人がいない場所の空調設定温度を下げるなど、生活パターンにあった省エネ技術を開発しています。また、ビルの屋根と外壁に設置される太陽光パネルの監視システムも東芝と協力して開発しています。今までのシステムでは、大きい範囲の中でしか故障状況や発電状況を把握することができませんでしたが、今回のプロジェクトではより細かい単位で発電状況を収集し、ビッグデータ分析などを用いて故障や発電効率の悪い部分を統計学的に見つけるという新しいアプローチにチャレンジしています。

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Task2 太陽光発電を活用したEV(電気自動車)充電管理システムとカーシェアリング

EVを使ったカーシェアリング環境を整備するのがタスク2で、4つあるタスクの中でも最も進んでいます。2013年10月14日にオープニングセレモニーが開催され、すでに実証試験がスタートしています。フェーズ1の現在は、再生可能エネルギーを購入してEVに充電していますが、フェーズ2では太陽光発電設備を設置してEVへの充電に有効活用する環境を整える予定です。

このタスクでの新たな試みは、再生可能エネルギーの発電量を予測し、EVの利用状況を考慮しながら、再生可能エネルギーを最大限に活用する最適な充電スケジューリングの仕掛け作りです。また、日本が推進しているEV充電規格「CHAdeMO(チャデモ)」に準拠した急速充電器を欧州に初めて導入し、充電時間を短くする仕組みも他の実証事業に先駆けた取り組みの一つです。

当然ですが、実際に運用を開始すると、さらに運用上の課題も見えてきます。例えば、EVへのいたずらや盗難、落書きなどが実際に発生しているため、その対策としてカーシェアステーションに監視カメラを設置する交渉をフランス政府に行っているところです。

今後さらに注力していく必要があるのは、利用者をいかに増やしていくのかというプロモーションの部分。フランスではカーシェアリングの文化をさらに広めるため、自治体を通じてプロモーションするなど様々なアプローチが必要です。データを集めるという意味では非常に重要な活動です。

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Task3 家庭内エネルギーモニタリングシステム

再開発地域に暮らす既存住宅に対するエネルギー最適化への取り組みとして、対象世帯に対して分電盤の回路単位で電力量がモニタリングできるセンサーを設置し、電力消費量の見える化と省エネに対するレコメンドを実施するのが、タスク3の家庭内エネルギーモニタリングシステムです。これは東芝が長年培ってきたHEMSシステムを応用したもので、2013年12月にシステム開発をほぼ完了し、2014年の春から稼働を予定しています。現在はセンサー設置及びデータ収集のためのインターネット回線工事とともに、対象世帯にエネルギーモニタリング用のタブレットを各家庭に配布することを進めています。

すでに対象世帯のおよそ7割については設置に向けた許可をいただいていますが、工事のスケジュール調整やタブレット配布など、環境を整えるのが思うように進んでいないのが現状です。古い建物であってもエネルギー最適化が可能なことを実証するため、様々な世代の方が住んでいる日本の団地の様な集合住宅をターゲットにしており、実証の意義を説明しながら地道に許可をいただくようにしています。

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Task4 コミュニティマネジメントシステム(CMS)

タスク1〜3で得られた情報を集約してビッグデータ分析を行うことで、都市計画やエネルギー戦略立案の基礎データとして活用できる情報を提供するのがCMSです。2013年12月にシステム開発を終え、他のタスクとの兼ね合いも考慮しながら2014年よりデータ収集を開始する予定です。

プロジェクト当初は、本プロジェクト内のデータのみを収集する予定でしたが、現在はリヨン関係者と地域の配電網のデータ、再開発地域に点在している他のビルのエネルギー情報も含め、地域全体のエネルギーが管理できる仕組み作りを目指して調整しているところです。そのため、SIB(スマートインテグレーションバス)と呼ばれるスマートコミュニティ専用のインターフェースバスを新たに構築し、仕様が異なる様々なシステムを柔軟に繋ぎ合わせる仕組みを開発しました。

コミュニティ全体の分析に必要なビッグデータを収集するためには、データを管理している各関連企業との粘り強い交渉が必要です。リヨン市の協力も仰ぎながら、関連企業との交渉を行い、着実に理解を得ながら進めていきたいと考えています。

なお、4つのタスク以外にも、東芝デジタルソリューションズ株式会社が全体のICT領域を請け負っていることもあり、実証で使うためのクラウド基盤やデータセンタ環境をフランスの現地法人とともに構築し、2013年2月からすでに稼働を開始している。

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