お客様インタビュー 04:愛知機械工業株式会社様

「特許事務所とシステムを共有して庁手続きがスピードアップしました」

開発調達本部 開発統括部 知的財産管理グループのメンバー。
左から、シニアスタッフの髙井宏彰氏、同グループの木村勇一氏、上川光昭氏、近藤沙紀氏、横田ひとみ氏、山田真司氏。

東芝の特許業務ソリューションを実際に導入したお客様の声をお届けするシリーズ連載。

今回は、自動車に関連した「モノづくり」で国内屈指の長い歴史を持ち、時代の多様なニーズに合った高性能で環境に優しいエンジンやマニュアルトランスミッションを開発・製造するメーカー・愛知機械工業様にお話を伺った。

クラウドシステムを外部の特許事務所などとも共有し、連携している同社。そのメリットとは?

開発調達本部 開発統括部 知的財産管理グループのメンバー。
左から、シニアスタッフの髙井宏彰氏、同グループの木村勇一氏、上川光昭氏、近藤沙紀氏、横田ひとみ氏、山田真司氏。

課題だった「知財グループ内での情報共有」がクラウドシステムで実現

愛知県名古屋市に本社を置く愛知機械工業は、主に日産自動車のマニュアルトランスミッションや小型エンジン、それに付随するクランクシャフト、カムシャフトといった部品の開発と製造を手掛けている。
環境性能、安全性、快適性といった、車の付加価値に貢献するモノづくりを実現するメーカーだ。
同社の知財グループでは、約1年半前に東芝のクラウドシステムを導入した。
特許管理業務を担う横田ひとみ氏は、システム導入の経緯をこう語る。

横田氏:

「以前のシステムは、グループ内で私のPCにしかインストールされておらず、私一人しか取り扱うことができませんでした。
他のスタッフは簡単な検索ぐらいの機能しか使えず、お互いの進捗状況もよく見えなかったのです。
グループ内で共有できるシステムに乗り換えようということで、いろいろデモなども触らせていただく中で、一番使い勝手の良かった東芝さんのクラウドシステムを導入することになりました」

導入後のメリットを伺うと、同グループを統括するシニアスタッフの髙井宏彰氏は、まずメンテナンス面での負荷・リスク軽減を挙げる。

髙井氏:

「弊社で全部のデータを保管するのは、定期的な設備投資のコストもかかるし、地震などの災害時にデータが損失する恐れもありました。
クラウドシステムなら、セキュリティの管理やデータのバックアップを東芝さん側でやってくれるので、安心感があります」

そして、出願審査請求、設定登録、維持年金支払いなど、主に期限管理全般を担当する近藤沙紀氏は、カスタマイズのしやすさについて語ってくれた。

近藤氏:

「私の担当する維持年金支払いの管理などにおいては、期限管理の機能が便利です。
例えば、『年金の期限まであと90日です』という通知メールを自動で社内の関係者や特許事務所に通達したり、設定次第でいろんなことができます」

また、髙井氏は、本システム導入によって課題であったグループ内の情報共有化が実現できたという。

髙井氏:

「私が不満だったのは、各担当者の持つ案件の進捗状況が見えないことでした。
例えば『去年登録したけど、まだ出願できていない案件』などがあって、それがどこまで進捗しているのかというのを調べるのが大変だったのです。
そこで横田に『東芝のシステム上で、案件ごとの進捗状況を可視化できないか?』と相談しました。
それも『調査段階の案件』と『出願が決まった案件』に分けて管理して、毎週末に最新状態が見られるようにしてほしいとお願いしました」

このリクエストを受けて、横田氏と近藤氏がカスタマイズを行った。

髙井氏:

「今回、システムに簡単にアクセスできることで、皆が案件ごとの進捗状況をちゃんと入力してくれるようになりました。
他社権利調査、先行技術調査など、作業が終わったら『何件抽出して終了しました』と入力する。
それぞれ『自分の案件の管理』にも役立っていると思います」

横田氏:

「自分の担当箇所だけでなく、その案件の出願時の経緯なども全員が見られるようになったことで、『私たちはここまで担当していますから、あとは知りません』ではなく、ちゃんと次の担当者にバトンタッチできるようになってきたと思います。
従来は誰が何をしていたか調べるには包袋を見に行く必要がありましたが、今はシステム内にメールの履歴や書類が残っていますから」

各案件のデータを整理し、システム内に格納したことで、グループメンバーとのコミュニケーションがより円滑になったという。

システムを特許事務所と共有して、全ての手続きがスピードアップ!

システム共有のメリットは社内だけにとどまらない。同社では、特許事務所の弁理士や、事務作業を委託している海外の会社にも同システムを利用してもらうことで、クラウド上でデータのやり取りを実現した。

髙井氏によれば、知財管理グループでは特に「出願手続きのスピードアップ」が課題となっており、そのために特許事務所とのやり取りを効率化したかったのだそうだ。

髙井氏:

「弊社はプロジェクトに直結した製品の開発がメインですので、先行の研究開発がメインの会社の知財管理部署と比べて、出願するスピードが非常に重要です。
出願に時間をかけていると、もう対象プロジェクトが立ち上がってしまうわけですね。
そのため、特許事務所の弁理士さんとの連携にもスピードが必要なのですが、今まではいちいちお互いに書類を郵送したり、直接会った際に手渡ししたりして効率が悪かったのです」

クラウドでシステム共有といっても、設定で「閲覧のみ可能なフォルダ」「データを追加・編集できるフォルダ」など、特許事務所の権限を限定できるため、セキュリティ上の問題はない。
今では特許事務所側で出願原稿案などのデータが出来上がれば瞬時に受け渡しが完了するようになった。
さらに、横田氏も成果を強調する。

横田氏:

「郵便でのやり取りは書留代もかかりますし、日にちもかかってしまうので、瞬時にクラウドの中でデータのやり取りができるのは非常に魅力的でした。
システム内からメール送信もでき、ログも残るので、非常に助かっています」

また、出願原稿チェックについて、今までは弁理士から上がってきた原稿をPDFに取り込んで各部署にメールしていたが、今はシステムから発信するようにしているとの事。
髙井氏によれば、今年度、過去の包袋を全部PDF化して、システムに取り込む「ペーパーレス化の推進」を計画しているのだそうだ。

システムから原稿を送るメリットは、まず送り漏れがないこと。
発明者本人や、各部署の特許管理主任といった人たちに自動送付され、また責任者の承認などもシステム上で可能だ。

開発者全員に同じ環境を提供することで知財への意識を高めていきたい

最後に今後のグループの課題と東芝への要望を聞くと、髙井氏も横田氏も「もっと開発者たちに特許を身近に感じてほしい」と口を揃えた。

髙井氏:

「社内、特に開発者に知財に興味を持ってもらえればと思います。
開発者からしてみたら『これはただの工夫だから』『ただの不具合対策だから』で終わってしまうことでも、弁理士さんに見てもらうと『これは十分権利になりますよ』ということも多い。
とはいえ、今はまだ、発明した開発者自身でさえ自分が出した案件がどうなっているかを見られる環境にないんですね。
出願原稿のチェックはしますが、それを戻したらおしまい。
将来的には開発の方々にもこのシステムを共有してもらい、全員が端末から過去の案件を見てもらえるように展開を行っていきます。」

※本記事は2017年6月13日に取材した内容をもとに構成しています。
※社名と組織名および役職は、2017年6月13日現在のものです。