お客様インタビュー 02:株式会社フジタ様

「知的財産の価値を高め、有効活用していきたい!」

左から、
技術センター:知的財産部長 松本信二氏/担当課長 関谷克利氏/大熊眞市氏/中村貴子氏/加藤高之氏
管理本部:情報システム部長 鍵野巨弥氏

東芝の特許業務ソリューションを実際に導入したお客様の声をお届けするシリーズ連載。
第2回となる今回は、長い歴史と高い技術力で知られ、建設関連事業を国内外で幅広く展開している総合建設業の株式会社フジタ様より、知財管理の専用システムを導入するに至った理由を伺った。

限られた人員で大きな課題に取り組むため専用システムへの移行を決断

同社は、2015年の大和小田急建設株式会社との経営統合を機に、知的財産管理専門の部署として「知的財産部」を新設。
そして2016年に東芝の「知財管理サービス」を導入した。
もともと専用システムを使わず、表計算ソフト上で手動のデータ管理を行っていた同社が、東芝のシステムを導入するに至るまでにはどのような経緯があったのか。
知的財産部長の松本氏はこう振り返る。

松本氏:

「従前、管理部の中で『知的財産グループ』として活動していて、2015年10月に正式に『知的財産部』という部署になりました。
これには将来的に特許戦略に注力していきたいという会社の意図がありました。
当部の主な役割には知的財産の管理もありますが、我々は今後の経営戦略を見据えた『知的財産の戦略的活用の企画・推進』が一番解決しなければならない課題であると考えています。
とはいえ部署の人数は限られていることから、より効率的に業務に取り組むために、知財管理専用のシステムが必要だという結論に達したのです」

この専用システム導入については、部内でも要望の声が強かったという。単に業務効率化のためだけでなく、動機は多岐にわたる。

例えば、同部の中村氏が「特許権は出願から20年の存続期間があり、長く管理する上で、表計算ソフトではOSやソフトのバージョンが変われば古いデータは影響を受けてしまう」と述べるように、“長期的に安定したデータ管理の必要性”も理由のひとつに挙げられる。

本格的に検討を開始したのは、知的財産部が新設された直後の2015年12月。
東芝を含む各社の製品の中から選定するにあたり、同社では事前に「必要な機能」や「価格」など多数のチェック項目を作成して製品評価を実施。
最終的に最高得点を得た東芝製の「知財管理サービス」を導入するに至った。

中村氏は東芝製品を選んだ理由として「審査項目の合計得点の高さ」を挙げつつ、加えて「伸びしろや広がりを感じるシステムだったことが大きい」と語る。
つまり、基本の機能や項目だけではなく、解決したい課題に対して新たな要素をどんどん追加していける“拡張性の高さ”が評価の対象となったのだそうだ。

中村氏:

「東芝さんのシステムでは、今ある基本のもの以外にも追加できるものが1,000以上あるということで、そこに大変魅力を感じました」

また、専用システム導入後の目に見える成果として、実際にシステムを運用している同部の大熊氏は「ヒューマンエラーと作業工数の削減」を挙げてくれた。

大熊氏:

「特許庁の公表データからの審査経過情報や、公報との自動リンク機能のおかげで、記入漏れや記載ミスといった人為的な間違いは確実に解消されました。
それに、さまざまな集計作業が速やかに行えること、期限管理が漏れなく通知されることも大きなメリットです。
特に、表計算ソフトでのデータ管理では何かを集計、出力するために何工程ものステップを踏む必要がありましたが、その工数を大幅に削減できました」

クラウド版の大きなメリットは運用面、時間面のコスト削減!

今回、同社では当初から“クラウドで使えるサービス”であることを選定のひとつの条件にしていた。
これは、知的財産部とともに運用に関わる情報システム部からの要望が反映されたものだ。

情報システム部長・鍵野氏は、クラウドにこだわった理由に「システム運用管理の手間の削減」を挙げる。
クラウドであれば基本的にメンテナンスフリーとなり、運用面での負荷軽減が見込めるのが大きいと判断したのだ。

また、今回は製品の選定から本稼働までわずか6ヶ月というスピード導入となったが、この「サービスインするまでの圧倒的な時間の短さ」もクラウドの大きなメリットだと言える。

さらに、クラウドならではのスピード感という観点からは、松本氏からサポート面でのレスポンスの良さも挙げられた。

松本氏:

「我々が見ているシステムとまったく同じものをリアルタイムに東芝さんに見ていただけるので、話が大変スムーズだし、正確に伝わります。
こちらの要望を伝えるにしても、面倒なやり取りが発生しないので、皆メリットを感じていると思います」

そしてクラウドのもうひとつのメリットが、どこからでもシステムにアクセスできることだ。
同社では2016年に社内で在宅勤務のトライアルを実施し、知財管理部からは中村氏が参加した。
このとき実際に自宅でWi-Fiを用いて「知財管理サービス」にアクセスし、どのくらいストレスがあるかテストしたところ、「さくさくと業務ができた」という。

建設業の“現場”はアイデアの宝庫! 全社を挙げた知的財産の創造、活用へ

最後に、同社および知財管理部としての今後の展望を伺うと、松本氏は冒頭にもあった「知的財産の戦略的活用の企画・推進」への意思を改めて語った。

松本氏:

「建設業は工事施工上、特に現場でさまざまな創意工夫があります。
しかし、現時点で本システムを利用しているのは技術開発部門の限られた職員のみです。
当社の収益確保のため、知的財産を今後どれだけ有効活用できるようにしていくか、そのためにも工事施工部門も含めた幅広い部署の職員が、創意工夫を発明提案にブラッシュアップするために本システムへアクセスするような、知的財産の意識向上に取り組んでいかなくてはならないと考えています」

社内の、より現場に近いところから、特許につながるアイデアを吸い上げるために「知財管理サービス」を活用したいという。
そのために、松本氏は東芝への将来的な要望として、「多くの職員がアクセスできるようになること」を挙げる。

松本氏:

「社内での知的財産への意識向上が我々の大きな課題です。
もしこれが実現することになればユーザー数が増えるので、価格をなるべく抑えつつユーザー数を増やす方策をご相談したいです。
東芝さんとは相談しやすい関係作りができていますし、カスタマイズ性の高いこのシステムと、東芝さんのきめ細やかなサポートなら、きっと実現してもらえるのではないかと考えています」

※本記事は2017年1月30日に取材した内容をもとに構成しています。
※社名と組織名および役職は、2017年2月6日現在のものです。