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株式会社毎日新聞グループホールディングス様の販売管理システムの統合プロジェクトを支えた4人支えるチカラ

2014年3月5日 一般紙とスポーツ紙の異なる商習慣を柔軟に吸収
案件を推し進めるプロジェクト遂行力
毎日新聞社とスポーツニッポン新聞社を傘下に置く持株会社として2011年4月に発足した株式会社毎日新聞グループホールディングス。統合による経営資源の集中によって競争力強化を図るべく販売管理システムの統合を計画した。以前から毎日新聞社の販売管理システムを手掛けていた東芝ソリューションが、スポニチの仕組みを組み込むことで統合的な販売管理の仕組み「Musasi:ムサシ」を構築、取引形態や商慣習が異なる一般紙とスポーツ紙の橋渡しを行うための仕組み作りを強力に下支えしている。

プラットフォーム乗せ換えの案件が大掛かりなプロジェクトへと発展

 読売・朝日とともに三大新聞社の一つに数えられる株式会社毎日新聞社(以下、毎日新聞社)と、1面記事見出しのカラー化など他紙に先駆けた紙面作りに定評のある株式会社スポーツニッポン新聞社(以下、スポニチ)を子会社に持つ持株会社として、2011年4月に発足した株式会社毎日新聞グループホールディングス。経営基盤の強化に向けた組織再編により、新たな時代にふさわしい総合メディア企業として、双方のコンテンツを総合活用していきながら競争力強化を図っている。
 東芝ソリューションと毎日新聞社との関わりについては、「MAIGATE:マイゲート」と呼ばれる部数輸送管理システムを2005年に導入し、その後2008年には販売管理システム「MOA販売管理:モア」の統合案件を手掛けるなど、これまで足掛け10年ほど取引が続いている。今回のプロジェクトがスタートしたきっかけは、以前導入した仕組みに関係したものだった。「以前導入したマイゲートのプラットフォームが保守期限を迎えるため、新たな提案を行うことにしました」と語るのは営業の福島だ。そこで、既存機能の改修と新機能として要望を取り入れながら、販売管理システムの地域分散やマイゲートと販売管理システムのDBの統合などを提案することになった。
しかし、2011年4月に新たに毎日新聞グループホールディングスが発足したことに伴い、単なるプラットフォームの乗せ換えではなく、毎日新聞社のシステムをスポニチが利用できるよう販売管理システムの統合が先方から打診されることになる。

 突然の話に驚いたのは、マイゲート導入プロジェクトに参画し、その後プロジェクトリーダとして販売管理システムの構築案件を手掛けた柏木だ。「福島はもちろん、スポニチ様を担当している当社の別の営業にも話を聞いたのですが、本当に2社の販売管理システムを統合するのかと、そのスケールとお客様の先をみた取り組みに、最初は耳を疑いました。ただ、急遽提案を求められたため、夜遅くまで残って社内の関係者と提案資料を作成した記憶があります」と当時の様子を振り返る。

部数は毎日大きく変わる!奥が深いスポーツ紙の部数増減の仕組み

東芝ソリューション株式会社 流通・金融ソリューション事業部 メディアソリューション部 メディアソリューション担当 主査 柏木 正元 東芝ソリューション株式会社
流通・金融ソリューション事業部
メディアソリューション部
メディアソリューション担当 主査 柏木 正元

 今回のプロジェクトリーダを務めたのは、柏木同様マイゲート、販売管理システムの開発に参画し、サブリーダを務めた経験を持つ加藤だ。加藤が語る今回の提案ポイントは「スポーツ紙独自の機能をいかに既存の仕組みに取り込んでいくか」というところだった。
 もともと全国で7000店舗ほどの販売店が存在しており、長年続く販売店との関係の中で多くの契約形態が生まれてきたという背景がある。通勤客で賑わう駅の売り場を例に挙げると、平日は多くの人で溢れ返っているため新聞もよく売れるが、休日になると平日ほど販売部数が伸びない。それゆえ、土日は平日と違う契約を交わしている事例もあるほどだ。またスポーツ紙は、野球やサッカーなどの試合結果やオリンピックなどのイベントはもちろん、地域ごとに開催される競馬や競輪などの有無によっても部数の増減が発生する。この増減幅を工場ごとに4パターンほど事前に設定しておき、例えばナイターで横浜が勝てばAパターン、といった形で工場側だけで部数判断できる枠も設定しておく必要がある。これらスポーツ紙独自の運用をうまく組み込むことが求められたと加藤。「お話を伺った時は思った以上に奥が深いと感じました。当初は、これをマイゲート側で吸収していくのはすごい経験になると思いました」。
 さらに驚いたのは、スポニチでは東京本社と大阪本社、九州地域を管轄する西部本社に販売局の中心があるが、これらがすべて異なる仕組みで運用されており、なかには紙ベースでの運用を行っていたところもあったことだ。「毎日新聞社様との調整も含めて、各販売局での運用をいかに統合できるかが、プロジェクトの大きな鍵になると考えました」。

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調整が難航する場面でも最適なものに落とし込む工夫を続ける

東芝ソリューション株式会社 流通・金融ソリューション事業部 メディアソリューション部 メディアソリューション担当 主任 加藤 浩一 東芝ソリューション株式会社
流通・金融ソリューション事業部
メディアソリューション部
メディアソリューション担当 主任 加藤 浩一

 基本となるRFPについては毎日新聞社側がとりまとめを行い、それをベースに要件定義を詰めていくことでプロジェクトがスタート。この会議は毎週2回スポニチの東京本社で行われ、毎日新聞社の担当5名と西部本社のシステムも兼務しているスポニチ東京本社の担当7名、そして大阪本社の担当3名がテレビ会議越しに会議に参加するという体制だ。この中で要件を提示し、すでに展開しているマイゲートの画面で運用が可能かどうかの検討を進めていったという。
 ただ、仕組みが異なれば当然企業文化も異なる両社だけに、調整が難航する場面もあったと加藤は振り返る。「例えば、もともと毎日新聞社様の仕組みでは1日ごとに部数を入力する運用でしたが、スポニチ様の方ではカレンダー形式で複数日を同時に指定して部数を入力する運用でした。当然、毎日新聞社様は既存の仕組みはそのままお使いになりたいでしょうし、スポニチ様としては長年行ってきた業務フローは変えたくないと思います。詳細な運用を一つずつ上手に調整し、交通整理しながら最適な形に落としていくことが我々に求められた役割でした」。
 また、双方が直接言いづらいことについては加藤が間に入り、できる限り双方が満足のいく形になるよう努力したことも。「これは東芝さんからシステムの観点からと言うことでうまく伝えて…という感じです。相手に真意が伝わるよう、双方のお立場を考慮しながら粘り強く説明を行いました」(加藤)。また柏木は「実際にお客様がこだわっているのは操作性でありインターフェースです。変更することでのシステム的な影響度をお伝えしながら、それでもやるかどうかをその都度トップレベルで判断していただきました。コストも勘案しながら、なるべく操作性を維持できる方法を提案するように心掛けました」。長年プロジェクトで培った経験やノウハウが交通整理の場面で大きく活かされたと分析する。


 加藤のサポートとして今回のプロジェクトに参加している高橋は、業務改革という観点を念頭に置きながら、双方の意見をうまく取り入れるべく社内でミーティングを重ねていったと当時を振り返る。「社内では作戦会議を行いながら具体的に運用パターンを洗い出し、どうすれば既存の画面で新たな運用が実現できるのかを設計に落としこみながら、お客様に確認していただいていました。我々だけでは難しい部分については、各本社でのご意見をとりまとめていただくようお客様にお願いしたこともあります」。特にプロジェクトを円滑に推進するための工夫として、進捗会議には現場の方だけでなく決裁権を持った方にも参加してもらうような工夫をした福島。「段階ごとに方向性を含めて上長の方にご確認いただくことで、仕様の変更を最小限に抑えることができました。これまで様々なプロジェクトを経験してきたなかで、うまく進めていくためのコツのようなものですね」。
 また、品質のレベルを高めるため開発の手順書を整備しながら、ベースとなるサンプルソースを提供して改修を進めるといった工夫も行っている。「テスト項目もしっかり枠を決めて提示し、具体的なものは開発現場で決めていくなど、品質を高められるよう意識しました」(高橋)。

連日の改修作業を支えたコミュニケーション

東芝ソリューション株式会社 流通・金融ソリューション事業部 メディアソリューション部 メディアソリューション担当 高橋 優美香 東芝ソリューション株式会社
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メディアソリューション担当 高橋 優美香

 要件定義もさることながら、開発が始まってからもパワーが必要だったと加藤は正直に語る。「以前のプロジェクトに関わった開発キーマンの一部が今回アサインできなかったこともあり、いざ開発を始めてみると、考えていた以上に改修が数多く発生することになったのです」。例えば、印刷工場へのデータ受け渡しに関しては現行システム同様の仕様で動くものだと考えていた加藤だったが、新たにスポニチ特有の増減の仕組みを取り入れることでデータ構造が変化してしまい、発送サブシステム内部の仕組みにも手を入れてデータのやり取りをできるようにする必要があったという。
 ただ、これらの部分はお客様から見えない部分での改修だったこともあり、連日コツコツと改修作業をしたメンバーの頑張りのおかげでスケジュールを変更することなくカットオーバーを迎えることができたという。「苦しい場面の時には、なるべく周囲とコミュニケーションを取り、明るくなれる環境作りを意識しました」と加藤はメンバーへの気遣いも忘れない。
 開発における評価については「お客様の受け入れ試験と新システムへの移行作業のため毎日新聞社に10ヶ月ほど常駐していましたが、双方の意見や要望を聞きながら計画通りにカットオーバーさせるために、遅い時間まで作業をする場面も。そんなときに我々の部屋までお客様が来てくださり、「遅くまで頑張ってくれているね」とお声をかけていただいたときは、大変うれしかったです」と高橋は笑顔をのぞかせる。
 なお、今回の仕組みの特徴の1つは、印刷工場ごとに必要なフォーマットが異なるため、データ連携プラットフォームの「ASTERIA」を活用し、その違いを吸収しているところだ。実際にはユーザー側でも自由にメンテナンスができるため、印刷工場側システムの仕様が変わった場合でも柔軟に対応できる仕組みが実装されている。
 受け入れ試験の後に行われたユーザー教育の場面では、それぞれの立場を意識しながら行う必要があったと加藤はそのポイントを語る。「今回のシステムは、毎日新聞社様としてはリプレース、スポニチ様としては新規のシステム導入となります。その違いを意識しながらそれぞれのシステム部門の方に説明しました。ご利用される販売局の方に対する教育はシステム部門で行っていただく形をとりました。もちろん、現場から直接ご相談をいただくこともありますが、そんなときは陰ながらしっかりサポートさせていただきました」と加藤。結果として「現場の方から"新しい仕組みになって使いやすくなった"と声をかけていただいたときは本当にうれしかったですね」(加藤)
 プロジェクト成功の要因について柏木は「各本社のキーマンの方に最初から最後まで会議に参加いただけたことで、仕様がぶれずにプロジェクトが推進できたことがポイントです。当然ですが、使い方が変われば現場からいろいろな意見が上がります。そんな中でも"この仕様なら現場を説得できるから大丈夫"と都度キーマンの方がおっしゃってくださいました。この強力なリーダーシップがお客様サイドにあったのも大きなポイントだと考えています」と総括する。

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販売管理システムを新聞業界の標準に育て上げる

東芝ソリューション株式会社 流通・金融ソリューション事業部 メディア・サービスソリューション営業部 メディア・サービスソリューション営業第二担当 主任 福島 和久 東芝ソリューション株式会社
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メディア・サービスソリューション営業部
メディア・サービスソリューション営業第二担当 主任 福島 和久

 今後については、毎日新聞グループホールディングスに導入した販売管理システムを業界標準に育てていきたいと福島は意気込みを語る。「新聞社の仕組みといえば、どうしても組版システムなど制作系のものが注目されがちですが、この販売管理システムを他の新聞社様でもご活用いただき、経営に役立てていただきたいです」。
 もちろん、東芝ソリューションではメディアマネージメントソリューション「DynamicCMS」という制作系の仕組みも提供しており、新聞社の仕組みをトータルでサポートする環境を整えている。すでに毎日新聞社には、今回の販売管理に加えて素材管理の仕組みも提供しており、さらに業務システムとしては人事給与システムのGeneralistも導入している状況だ。「今回のプロジェクトに加えて、実は業務システム全体を統合されたプラットフォームに集約していく案件が別途あり、その基盤として業務系統合プラットフォームも我々が納入しています。業務システムも含めた形で、東芝グループとして今後も全面的にバックアップしてきたい」と福島は今後を語った。

  • *この記事内容は2013年8月に取材した内容を元に構成しています。
    記事内における数値、組織・役職名などは取材時のものです。
  • *本記事に掲載の社名および商品名はそれぞれ各社が商標または登録商標として使用している場合があります。

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