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コラム

[第9回] 【Apple Pay体験レビュー】日常がグッと快適に! Apple Pay対応の可能性

更新日:2016年11月28日

2016年10月に日本でリリースされた、iPhoneなどの端末でSuicaやクレジットカードが使える決済サービス「Apple Pay」。毎日の買い物を素早く、手軽に、安全に完結できるサービスとして大きな注目を集めている。Apple Payによってユーザーの日常はどのように変化し、企業や銀行にどのような影響をもたらすのだろうか。実際に使ってみて感じたメリットから、Apple Payの可能性や新たな価値を考察する。

コンビニからECサイトまで、あらゆるシーンでの買い物がスマートに

Apple Payとは、Appleが提供するiPhone、iPad、Apple Watch向け電子ウォレット機能のこと。クレジットカード情報を端末に取り込むことで、あらゆる決済をiPhoneなどの端末だけで完結できるようになるサービスだ。2014年に米Apple社が国内向けにサービスを発表し、銀行が率先して導入したことで小売店や飲食店にも広く浸透した。満を持してリリースされた日本版では、交通系ICカードの「Suica」、電子マネーの「iD」「QUICPay」に対応。Apple Payを使った決済は、上記3つのいずれかを用いて行われる。

Suicaは言うまでもなく、交通機関の乗り降りや駅構内での買い物に利用できる。最近はコンビニやスーパー、家電量販店や書店でもSuicaを利用できる店舗が増えてきており、今後もその裾野は広がっていくだろう。

電子マネーのiDとQUICPayは小売店や飲食店、ECサイトなどの加盟店で利用できる。店舗の場合は、入り口やレジなどに利用可能な電子マネーのマークが掲示されていることが多い。ちなみに、Apple Pay対応のクレジットカードを端末に取り込んだ場合、iDかQUICPayのいずれかに分類される。複数の支払い方法に対応している店舗では、Suica、iD、QUICPayのどれで支払うのかを店側に伝える必要があるので、自分のクレジットがどの電子マネーに対応しているのかを確認しておくとよいだろう。

Suica、iD、QUICPay加盟店は、レジ横にマークを掲示していることが多い。

このような対応状況から、交通機関をはじめ、ローソンやファミリーマートなどの大手コンビニ、イオンやららぽーとなどのスーパー・ショッピングモール、ビックカメラやコジマなどの家電量販店、その他にもガソリンスタンドやドラッグストア、ECサイトなど、実に幅広いシーンでApple Payを使ったスマートな買い物が実現すると考えられる(上記に挙げた店舗をすべて利用したわけではない)。

ほんの少しの手間が省けるだけで、日常がグッと快適に変わる!

では実際に、Apple Payを利用することでユーザーにどんなメリットがもたらされるのだろうか。まずは、iPhone 7で交通系ICカードの代表的存在であるSuicaをApple Payに登録してみた。

登録方法はとても簡単。Suicaカードの上にiPhoneを置くだけで、カード内の残額や定期券情報が転送される。これで登録完了だ。カードへのチャージはApple Payに登録したクレジットカードで瞬時に可能なので、もはや物理的なカードは不要になる。

実際に利用してみると、改札を通るときはもちろん、駅構内の店舗での買い物や自動販売機でも、「財布を出す」という、ほんのひと手間が省けるだけで、かなり便利な印象を受ける。私はiPhoneを常に手に持ち歩いているので、体感としては身体の一部で買い物を完了できるような手軽さと快適さがあるのだ。

ちなみに、Suicaカードを持っていないApple Pay利用者は、「モバイルSuica」というアプリ上でSuicaを新規作成できるので、わざわざカードを発行することなくApple PayにSuicaを登録できるらしい。

続いて、電子マネーによるApple Pay決済を試してみた。私のクレジットカードはQUICPay対応のため、QUICPay加盟店のコンビニで買い物をしてみると、Suicaと違い、QUICPay(およびiD)利用時は端末での指紋認証が必要のようだ。セキュリティとしては申し分ないが、急いでいるときや荷物が多いときに指紋認証をしなければならないのは、正直Suicaと比べると少し手間に感じた。また、ホームボタンが曇っていたり、指が濡れていたりすると、なかなか認証されない場合もあるので、慣れるまでは支払いがもたつくこともあるかもしれない。それでも、財布を取り出て、紙幣や小銭を探す手間に比べれば、スマートな支払い方法であることに変わりはない。

個人的にApple Payでガラリと変わったと感じるのは、タクシーの利用シーン。Felica電子決済端末を搭載したタクシーであれば、iPhoneをかざすだけで運賃の支払いが完結できるようになる。これまでは、あの狭い車内で鞄から財布を取り出して小銭を探し、お釣りと領収書を受け取って財布にしまい……という動作がとても煩わしく、「せっかく貴重な時間をお金で買っているのに、支払いに時間をかけるのはスマートじゃないな……」という思いがあった。特にタクシーでの移動中はiPhoneを使っていることが多いので、その流れで支払いを済ませられるのは非常にラクで、なによりも気持ちがいい。

Apple Payの導入で、現金とクレジットカードとiPhoneを持ち歩いていた生活から、iPhoneだけを持ち歩く生活に変わるのは大きな変化と言える。支払いにおけるちょっとした動作が省けること、それがiPhoneという常に手元にある道具でできることが、少しずつ、あらゆる場面で私たちの日常をスマートに変えていくのだろう。

セキュアな決済により、クレジットカードを持ち歩く必要がなくなるかも!?

Apple Payのもう一つの利点が、iPhoneのアプリケーションやウェブサイト上でのショッピングにも対応しているところ。何が優れているのかというと、クレジットカード番号を入力することなく買い物を完結できるので、財布の中からクレジットカードを取り出して番号や有効期限を確認する手間が省けるのだ。

しかも、Apple Payを通した支払いは、販売側にクレジットカード情報が伝わらない仕組みになっているため、情報漏洩などのリスクも回避できる。これにより、セキュリティレベルが心配な小規模の通販サイトや、個人的に使い慣れていない海外の通販サイトも手軽に利用しやすくなる。

現在はTOHOシネマズやじゃらん、出前館など一部のサイトにしか対応していないが、今後Apple Payユーザーの増加に応じて、様々なECサイトが対応していくことは間違いない。

セキュリティという観点においても、Apple Payはクレジットカードよりも安全であると考える。たとえば、端末を紛失した場合は「iPhoneを探す」機能を使って紛失モードに設定することで、Apple Payの利用を一時停止することができる。また、遠隔操作で端末に保管されている個人情報を消去することも可能だ。クレジットカードを紛失したときのように、慌ててカード会社に連絡する必要がなくなり、位置情報サービスを利用して端末が見つかる可能性も、クレジットカードに比べて高い。今後、あらゆる店舗やサービスがApple Payに対応するようになれば、現金だけでなくクレジットカードすら持ち歩く必要がなくなるのかもしれない。

一つ注意したいのが、iPhoneのバッテリー切れ。Apple Payは電源が入っていないと利用できないので、たとえば電車で移動中にバッテリーが切れてしまうと、改札から出られなくなってしまう。iPhone 7はiPhone 6sに比べてバッテリー駆動時間が長くなっているとはいえ、外出時はモバイルバッテリーや充電ケーブルを携帯しておくと安心だろう。

「Apple Pay対応」が、クレジットカードを選ぶ基準になる未来は近い

今回の検証によって、Apple Payの導入はユーザーの日常を確実にスマートなものに変え、セキュリティとプライバシーの面においてもより安心して買い物を楽しめるようになることがわかった。

今後、買い物やサービスのあらゆるシーンでApple Payが活用できるようになれば、ユーザー利便性はさらに高まり、新しい買い物の形が人々に浸透していくだろう。そして、Apple Payが多くのユーザーの日常に浸透していくと、ユーザーは自ずとApple Payに対応した店舗やECサイトでの買い物を選択するようになる。これは同時に、Apple Pay導入を機に、クレジットカードや電子マネーサービスもApple Payに対応したものに乗り換える可能性があることを意味する。

日本国内の主要な銀行カード、クレジットカードはApple Pay対応を進めているものの、未対応の銀行やクレジットカード会社もまだまだ多い。アメリカではデビットカードにも対応しており、国内ほとんどの銀行カードで簡単かつセキュアにApple Payが利用できるのに対し、日本ではまだデビットカードの登録はできない状況だ(「モバイルSuica」アプリに登録することは可能)。

Apple Payは決済ごとにカード発行元がAppleに手数料を払う仕組みなので、導入は各銀行やクレジットカード会社の戦略に委ねられる。しかし、ユーザー利便性が向上すればカードを利用する回数も増えるし、セキュリティレベルが向上すれば不正利用の補填コストなどを削減することにつながるため、そのメリットは少なくない。

革新的なサービスで、人々の日常を変え続けてきたApple。今回のApple Payもすでにアメリカで広く浸透しているように、日本でも私たちの生活に根付く可能性は大いにある。ユーザーがクレジットカードを選んだり、商品やサービスの利用を検討するとき、Apple Pay対応が一つの評価基準になる日も、そう遠くはないのかもしれない。

ライタープロフィール

ライター:松山 響
大手広告代理店や電気通信事業者のオウンドメディアにて、取材・ライティングを担当する。若者の実態調査、地方創生プロジェクトに関する記事を継続して執筆。また、生協の週刊情報誌の編集に創刊から携わり、食と安全にも明るい。


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