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社員インタビュー

抜群の“チーム力”で作り上げた、
県民の安全を守る「総合防災情報システム」

チーム

 東芝ソリューションの防災情報システムが富山県民の安全を守るべく、稼働している。この既存システムとクラウド連携する大規模なプロジェクトを支えたのは、全国から集結した各分野のプロフェッショナルとチーム力だった。

ゼロからの新規開拓で勝ち取った富山県との信頼関係

伊藤 忠

東芝ソリューション株式会社
長野支店 支店長
兼 北陸支店
参事

伊藤 忠

 官公ソリューション事業部では地方自治体向けに、地震や台風などの自然災害時に利用する、ICTを活用した情報収集/共有/ 発信システムを提供している。そして2016年8月、新たな事例として「富山県総合防災情報システム」が加わった。

 もともと富山県では同様の目的を果たす防災システムを備えており必要に応じて随時改修してきたが、システム基盤が古くなってきているために、システム改修やセキュリティ面での対応にさまざまな問題が生じていた。そのため、今後の効率的かつ柔軟な運用を考慮し、既存システムとのクラウド連携を前提とした抜本的なシステム更改に踏み切った。

 こうした情報をキャッチしたのが、営業担当である伊藤だった。「本来、私は長野支店の所属ですが、2015年に北陸新幹線が長野から金沢まで延伸することもあり、営業活動を北陸に広げてみたいと考えていました。そのプランを上長に相談したところ即決。さっそく富山県と石川県にアプローチすることができたのです。その営業活動の中で今回の案件の情報を入手しました」(伊藤)。ゼロからの開拓だった案件が受注まで至った理由は、富山県側と有益な情報を共有し、活発なコミュニケーションを図りながら信頼関係を築き上げたからだ。さらに東芝ソリューションには、鳥取県においてクラウド型災害情報システムを2014年から運用していたアドバンテージもあった。「受注できたときは最高の喜びでした。本社の営業や支社、パートナー企業の株式会社SBS情報システムなど、関係者が一丸となってチームワークを発揮したことが、お客さまの信頼を得ることにつながったのだと思います」と伊藤は当時を振り返る。

システムの概要(目的)・イメージ図

システムの概要(目的)・イメージ図

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知見を持つ経験者を中心に最適な提案を

松本 和正

東芝ソリューション株式会社
官公ソリューション事業部
官公ソリューション技術第三部
ソリューション技術第二担当
主任

松本 和正

 プロジェクトマネージャーとして白羽の矢が立ったのは、鳥取県の災害情報システム構築業務のプロジェクトマネージャーを担当した中国支社(当時)の松本だった。その後、中国支社の部下(当時)だった藤崎、川崎の本社から坂本や長野の伊藤らも含め、全国から精鋭が集められた。「社内の上層部が提案段階から成功するためのスキームを描き、人員を調整してくれたのです。こうしたリーダーシップや決断力の早さも弊社の強みだと思います」と松本は語る。

 鳥取県での経験は随所に生かされた。一方、既存システムと連携する部分では全てベンダーが異なり、ドキュメントの把握が未知数といった障壁もあった。「チャレンジングな部分であり、ある程度のリスクも想定してスタートした部分ではあったが、富山県様が私たちのシステムを気に入って下さったこともあり、その思いに応えたいとの気持ちで取り組みました」(松本)。

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お客さまも含めた一体感が推進の鍵に

坂本 竜太

東芝ソリューション株式会社
官公ソリューション事業部
官公ソリューション技術第三部
ソリューション技術第二担当

坂本 竜太

 富山県側のリーダーによる尽力も大きかったと松本は話す。「もとからクラウド移行に前向きな方でしたので、庁内で関係部門の調整をしていただいたり、既存のベンダーにご連絡いただいたり。プロジェクトが円滑に進むように、お客さまにもリーダーシップを発揮していただきました。弊社の営業が出会いから積み上げてきた、お客さまとの良好な関係が醸成できたのかなと感じています」(松本)。

 実際の作業で、富山、広島、長野、川崎など多拠点に及ぶプロジェクトの中で活用したのが、富山県や協力会社も含めた情報共有の仕組みだった。「このプロジェクトでは最初に、関係者全てを包括したメーリングリストを作って情報共有をすることをルール化して運用しました。関係者全員が同報メールで情報を周知していましたので、それぞれが離れていることのマイナス面はありませんでした」と坂本は語る。

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常に心がけているのは「お客さまに伝わる」こと

藤崎 裕貴

東芝ソリューション株式会社
官公ソリューション事業部
官公ソリューション技術第三部
ソリューション技術第二担当

藤崎 裕貴

 こうした協力体制・情報共有体制のもとにプロジェクトは順調に進行したが、やはり既存システムとの連携部分の実装は予想以上に難航した。松本は「河川情報は河川管理部門、除雪情報は道路管理部門、気象情報との連携も別の部署・・・とそれぞれ違う部門がご担当でした。気象台のデータを私たちは総合防災情報システムでも、河川情報システムでも利用するため相互の連携には少し苦労しました。でも、お客さまも含めたチームワークでこれらの課題を解決することができたのだと思います」と懐かしそうに振り返った。

 松本は「多部署が関係するシステム構築で大事だったのが、お客さまや関係者に分かりやすく伝えることでした。プロジェクトを円滑に進めるためにも、『伝わる』ことを心がけています」と語る。より現場に近い位置で関わっていた藤崎は「ITのプロ意識を持つことは大事なのですが、お客さまに分かりやすく、専門用語を使わずに説明することを常に念頭に置いています。専門用語だらけでは相手に上手く話が伝わりませんし、伝わってこそ信頼関係も生まれますから」と話す。

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プロジェクトを通じて得たノウハウを次に生かす

今回のプロジェクトで経験した既存システムや他ベンダーとの連携について松本は「この経験は確かなノウハウとなって他の自治体の提案に生きてきます。また、今後の防災ソリューションの拡充を図る上でも大きな財産ですし、そういった意味でも意義のあるプロジェクトでした。引き続き新たな提案活動をしていきたいですね」と力強く語った。

ノウハウの蓄積という意味では営業も同じ思いだ。「鳥取県様に続き、富山県様にも無事納入できたことで、『富山県様ではこうしたアプローチや工夫でシステム導入に成功した』と情報を共有しながら、他県にも広げていくことができます」と伊藤。実際、富山県総合防災情報システムは県庁をはじめ、県内市町村、そして情報配信先である各メディアからも上々の評判を得ている。「防災情報システムは“いざというとき”にこそ使える必要があるので、今後訓練を重ねて、万一に備えていく必要があります。加えて訓練の中で修正課題が出てきた際、システム修正が比較的容易かつ迅速にできる点で、クラウドならではのメリットを実感いただけていると思います」と、松本は評価の背景を分析した。

社会性の高い事業を支える"プライド"

 今回紹介した総合防災情報システムのみならず、官公ソリューション事業部が手がけるプロジェクトはどれも社会性の高い事業だ。メンバーはいずれも、同社の事業内容に誇りを感じながら働いている。

 本社からこのプロジェクトに参加した坂本は「やはり自治体や省庁の仕事は、民間の仕事とは異なるものです。富山県総合防災情報システムも、県民の方と直接ふれあう機会はありませんが、社会インフラを支えている、その構築に携わっている自負はあります。このような仕事ができるのは、東芝グループがこれまで築き上げてきた実績があってこそだと思います」と話す。

 「自分の担当した仕事が社会の役に立っているのが実感できたり、人に説明したときに分かってもらえたりすることは、なかなかないと思います。しかし、私たちの手がけた防災情報システムは、災害時にテレビやスマートフォン、SNSなど、さまざまな媒体に情報を提供して、県民の防災に役立てるために機能するものであり、まさに社会の役に立つシステムと言えます」とはプロジェクトマネージャーの松本。この“プライド”こそ、東芝ソリューション品質を担保するものなのだ。これからも熱い思いが、公共事業の裏側を支えていく。

*この内容は東芝ソリューションの冊子「Good Job! 君がいてくれてよかった、と言われる仕事がある。」をもとに構成しています。
*この記事内容は2016年12月に取材した内容を元に構成しています。
記事内における数値、組織・役職名などは取材時のものです。
*本記事に掲載の社名および商品名はそれぞれ各社が商標または登録商標として使用している場合があります。