[第39回]内定者の不安を解消しよう


2021.2.25

先日、『eラーニング導入は今からでも遅くない! まずは内定者の不安を解消しよう!』のテーマでお話する機会がありました。ここでは、その時お話しした内容を通して、内定者はどんなことを考え、どんなことを期待しているのかについて一緒に考えてみたいと思います。

採用担当として心がけてきたこと

何故、私が内定者のお話をするのかをご理解いただくために、私のプロフィールを簡単に振り返ってみたいと思います。

私が通信機器の設計開発部門から人材開発部門へ異動し、社員の人材育成とともに、採用業務を担当したことは、これまでにもご紹介しました。採用担当として、私が大事にしてきたことは、直接、学生の皆さんに触れ、懇談する機会を大切にすることでした。そのために、国内や海外の大学を訪問し、会社紹介を通して、多くの学生の皆さんと懇談し、今何を考えているのか、悩んでいること、何がやりたいのか等、ネット上では拾えない、生の声を聞いてきました。

また、人材開発担当としては、採用した学生の皆さんを会社に迎えて、導入教育を行い、現場へ配属するまでに関わる中で、採用した学生の皆さんが一人前に育つ姿を見ることは、仕事の醍醐味でもありました。

これらの経験を踏まえて、内定者がどんなことで悩んでいるのか、不安を解消するために何ができるのか、入社後に思う存分に活躍してもらうためには、との視点でお話をさせていただきました。

内定者の思いと期待

今年度は、新型コロナウィルスの感染が拡大する中での就職活動でしたので、各企業の採用活動もオンライン化が進みました。その結果、学生は志望する企業について、深く理解する機会を得られず、表層的な内容で判断している可能性があります。

私が、最初に確認したいことは「このような大変な時に、当社を選んでくれた人こそ」との思いを伝えることです。コロナ危機とも言われる先の見えない状況の中で、当社を選んでくれた人こそ、本物の人材であり、有難いという気持ちで接していきたい。自戒を込めてですが、とかく採用担当者は学生に対して、上から目線で話しがちですが、こちらがどのような気持ちで、接しているのかは、直ぐに相手にも届いてしまうと感じています。

次のポイントは「内定者に選ばれた感を持ってもらえるか」ということです。内定者は、自分のために時間を取ってもらえないと愛着がわかないと感じています。弊社では社員と上司で1on1ミーティングを定期的に行っています。忙しい中でも、きちんと自分のために時間を取ってもらえることにより、上司に対する愛着や大切にされている感を持つことができていると感じています。内定者も全く同じではないでしょうか。

次に、内定者は社員と触れる機会を待っています。内定者は、採用担当者だけでなく、一般の社員とやり取りできる時間も大切だと感じています。先輩社員や同窓の先輩からのアドバイスは共感してもらえます。どんな人が働いているんだろうか、にも関心があります。

今こそ、人間力を

最後に、内定者の皆さんは入社までの心構えを知りたがっています。入社までに何をしておけば良いのか? 何が足りないのか? 学生と社会人では何が違うのか? などに関心があります。
私は、これらの問いに対してヒントを与えたとしても、本人が自ら気づき、考えることを大切にしてほしいと願っています。内定者の皆さんは、コロナの感染が広がっている中で仕事をスタートすることになります。入社式もままならず、新入社員教育はあるんだろうか、在宅勤務からスタートする場合もあるかもしれません。当然、オンラインで仕事を進めるには、さまざまなICTのスキルも必要ですが、私はスキルよりも人間力こそ、優先すべき課題であると思います。繰り返しになりますが、人間力とは、人間的な魅力であり、配属された職場で先輩方に好きになってもらえるもの、つまり「この新人を育ててあげよう」「成長を見守ってあげたい」と思われるかどうかということです。それは時代がどう変わろうと不変な内容ではないでしょうか。
その人間力を磨くことは、会社にとって、しいては社会にとって長持ちする人間を育てることに通じるのではないでしょうか。

東芝デジタルソリューションズ株式会社
ICTソリューション事業部 HRMソリューション部
真野 広

※記事に掲載の、社名、部署名、役職名などは、2021年2月時点のものです。


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