[第33回]10年後を描き、自分磨きを


2020.3.23

「今後10年~20年程度で、半数近くの仕事が自動化される可能性が高い」(マイケル・A・オズボーン氏)や「子供たちの多くは将来、今は存在していない職業に就く」(キャシー・デビッドソン氏)と予測する人がいます。今回は10年後の姿を思い描きながら、少し立ち止まって自分磨きについて考えてみたいと思います。

自分の頭で考える

拙稿でも紹介しましたが、小生が入社した頃に出会った課長はわくわくするような刺激を与えてくれる存在でした。「目の前の仕事にだけ没頭していてはいけない。遊び心を常に持て。常に先のさきのことを考え、そのために備え、自身を磨く時間を作れ。そうでないと10年後には使いものにならなくなる」と。
「自分の頭で考えろ」と言うことは簡単ですが「自分の中に火を灯してくれる」存在こそ、最高の環境ではないでしょうか。これは大事なことだからと口酸っぱく言われたとしても「今、果たして自分に必要なことなのだろうか?」と評論家気取りで聞いていれば身にはつかない。今だからこそ、自分に必要なことだと、自分の中に火をつけることができるかが問われる。
10年後の姿を思い描ける人はなかなかいません。だからこそ、上司の言うことをそのまま鵜呑みにするのではなく、自分の頭で考え、行動することが求められます。
ある時、朝刊を届けに来てくれた社員に対して松下幸之助氏は、「すまんな、新聞を読んでみてくれんか」と言ったそうです。「どこを読みましょうか?」と聞くと、「きみが一番大事だと思うところを読んでみてくれんか」と。翌日から、新間を届ける社員は大変です。早く起きて新聞に目を通し、どこが一番大事かを考えてから、新聞を届けるようになったそうです。
会社の売上げを伸ばしたいと思ったら投資します。人間も一緒です。自分の給料を5%上げたいと思ったら、年収の5%を自分に投資することではないでしょうか。

言語化は良いこと?

話は変わりますが、皆さんは人にものを頼むとき、自分の思いが相手に伝わっていない、相手の思いを誤解してしまったなどのコミュニケーションロスにより、仕事が遅れたり、手戻りが発生したことはないでしょうか。上司が部下に仕事を頼むとき、お客様のご要望を聞くとき、夫婦での会話など様々な場面で起りえます。


コミュニケーションロスを無くすためには、その思いや伝えたいことを言語化してみることだと言われます。例えば普段、何気なく使っている「主体的で対話的で深い学び」や「相手の立場に立って考える」など、あなただったらどのように言語化しますか?人によって、同じ表現でも受け取り方は様々であることがわかるでしょう。
学校におけるプログラミング教育についても考えてみます。生活の中で便利に使っている製品は、全てと言って良いほど、プログラミングによって制御されており、その動きをコンピュータに理解させるためには、論理的な思考が必要になります。コンピュータへは曖味な表現では伝わりません。つまりその行動を細かく言語化する必要があります。勿論、あいまいな表現でも理解してくれるAIもありますが・・・。

人間の場合は果たしてどうでしょうか? 行動を細かく言語化すればするほど、同質のアウトプットが期待できるため、効率的といえますが、自分の頭で考え、行動する習慣からはかけ離れてしまうのではないでしょうか。細かく指示されないと動けなくなってしまう心配です。効率優先なのか、優先すべきは人材育成なのか。10年後の姿を描いた時に、皆さんはどのように考えますか。 


小生は、曖味な表現の時こそチャンスであると捉えます。曖昧な表現について自分の頭で考え、自分らしさを散りばめ、言語化することができたら、きっと仕事も楽しくなるはずです。今、働き方改革で滲みだした時間を、遊び心をもって、自分らしさに磨きをかけてみたいものです。10年後の姿を思い描きながら・・・。

東芝デジタルソリューションズ株式会社
ICTソリューション事業部 HRMソリューション部
真野 広

※記事に掲載の、社名、部署名、役職名などは、2020年3月時点のものです。


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