[第6回]社会人基礎力から見る人間力①


2017.12.20

今回から「人間力とは?」を掘り下げるために、シリーズで「社会人基礎力の12能力要素」の視点で人間力との関わりについて取り上げたい。「社会人基礎力」は、弊社の新卒採用時の求める人財像にも上げており、新入社員の導入教育でも育成の根幹としている。もともとは経済産業省が「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」を社会人基礎力として定義している。つまり「この人と一緒に仕事をしてみたい」と思われる人材を目指していることからすると、誰にでも必要な人間力そのものと言えるのではないだろうか。
なお、「社会人基礎力」は、「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力(12の能力要素)から構成されている。

私が人材開発部門から現部門へ異動して、最初に手がけたのが「社会人基礎力プログラム」の制作だった。本稿では、その内容をふり返りながら、人間力との関係を掘り下げたい。本稿を読み進んでいただければ、人間力に通じていると実感されるに違いない。

それでは、早速ひとつひとつの能力要素を紐解いていくことにする。第1回目は『働きかけ力』と『主体性』を取り上げる。

前に踏み出す力『働きかけ力』

もし、あなたが優れた才能やスキルを持っていたとしても、仕事をひとりで完結できるわけではない。周囲の理解と協力を得て、物事を進める『働きかけ力』が求められる。

『働きかけ力』が足りない人は、2つのタイプに分かれるだろう

ひとつは自己中心的な振る舞いのために周囲の協力を得られないタイプ。もうひとつは周囲に遠慮しすぎて、一人で仕事を抱え込んでしまうタイプだ。いずれのタイプも、周囲の理解や協力が得られず、チームプレイが機能しない。これに対して『働きかけ力』がある人は、コミュニケーション能力と調整能力に長けているため、周囲の理解と協力を得やすいという特長がある。

大きな仕事を周囲の協力を得ながら成し遂げたときの達成感は、仕事の醍醐味のひとつと言えるだろう。

前に踏み出す力『主体性』

仕事における「主体性」とは、自ら考えて、物事に進んで取り組む力のことをいう。会社を車に例えるなら、社員一人ひとりが会社のエンジンとなり、会社を前進させていくことが理想だ。

では、主体性を身に付けると、どのようなことが起きるのだろうか。
まず、仕事に対する理解度が深まると同時に、責任感が芽生えてくる。
また、上司や同僚からはもちろん、クライアントからも信頼されるようになる。つまり、主体性を身に付けることができれば、仕事にやりがいを感じられるようになり、仕事が楽しくなるはずなのだ。

主体性のあるキャリアを歩むために、中長期の目標を持つことも大切だ。5年先、10年先、あなたはどのような仕事をしていたいだろうか?
現状を分析して5年先、10年先の目標を立ててみていただきたい。

そして目標を立てたら、それを実現するためのプランを練って、実行に移してみてほしい。目標もなく10年間を過ごした社員と、主体性を発揮して明確な目標を立て、10年間成長を続けた社員。その差は容易に想像できるはずだ。

東芝デジタルソリューションズ株式会社
商品統括部 HRMソリューション技術部
真野 広

※記事に掲載の、社名、部署名、役職名などは、2017年12月時点のものです。


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