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Vol.27 運用・メンテナンス(O&M)業務はデジタル化でこう変わる! 設備を活かす、人を活かす東芝のO&Mソリューション

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#02 ものづくりIoTソリューションを、新たな変革に活かす 「Meisterシリーズ」で加速する工場O&Mのデジタル化 東芝デジタルソリューションズ株式会社 池田 和史

コストから価値へ、そして企業競争力の源泉へと位置づけが急速に変わってきたO&M*(運用・メンテナンス)。東芝デジタルソリューションズには、製造業のお客さまのO&Mのデジタル化を強力にサポートするソリューションがあります。それが、ものづくりIoTソリューション「Meisterシリーズ」です。ここでは、製品が作られる「ものづくり」の現場においてデジタルトランスフォーメーションを数多く実現してきたMeister シリーズが、製品が使われる「ものづかい」の現場でのO&Mのデジタル化にも最適なソリューションであることを解説。さらに、人材、予算、そして旧式の設備からのデータ収集など、O&Mのデジタル化にあたって克服しなければならない数々の課題に対し、当社が提供しているソリューションと先進の技術についてご紹介します。

*O&M:Operation & Maintenance(運用・メンテナンス)

工場O&Mのデジタル化における最適解「Meisterシリーズ」

製造現場におけるO&Mの高度化。その中心となりお客さまをサポートするのは、当社のものづくりIoTソリューション「Meisterシリーズ」です。

多品種少量生産、製品ライフサイクルの短期化を背景に、ビジネス変革が求められている昨今。IoT*やAI*など先進のデジタル技術を駆使したデジタルトランスフォーメーション(DX)が注目されています。

*IoT:Internet of Things(モノのインターネット),AI:Artificial Intelligence(人工知能)

製品やサービスの企画・設計・製造といったプロセスや、物流、販売、アフターサービスといったバリューチェーン全体を統合的に管理して最適化。これまで属人化し、ブラックボックスと化していたプロセスやノウハウを可視化することで、劇的な業務改善や品質向上を図ろうというものです。

高齢化や労働力不足といった社会的な問題を背景に、O&Mのビジネス領域においてもこのDXによる、高度化や最適化のニーズが急速に高まっています。製造業においては、工場内の製造装置や設備、保全作業者といったリソース全体を効率よく管理し、精度の高い故障予知や寿命予測、最適な運用を行うことで、省力化や稼働率の向上、省エネルギー化に結びつけたいというのがその目的です。

こうしたニーズにお応えするのが、当社のMeisterシリーズです。この商品は、製造業のDXを「ものづくり」と「ものづかい」の両面からサポート。提供開始以来、多くの企業に導入され、その業務改善や品質向上に貢献しています。このMeisterシリーズデジタルツインをはじめとする先進の技術や特長は、そのままO&Mのデジタル化にも大きく貢献できます。製造工程のIoTやビッグデータの活用により歩留まり向上や生産効率化を支援するだけでなく、そこで使われる装置や機器、設備の最適な運用に向けても、製造現場で過去に起きたこと、今起きていることをデータとして収集・蓄積。デジタル空間上に精緻に再現し、東芝アナリティクスAI「SATLYS(サトリス)」の活用によって高い精度で分析を行うことで、ベテラン技術者が持つ現場の知見のデジタル化や、今後起き得ることを予知・予測。早いタイミングで現場にフィードバックすることで、グローバル規模でのO&Mの最適化に寄与します。

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データの収集から蓄積、活用までを支援

池田 和史

Meisterシリーズの大きな特長は、データの「収集」「蓄積」「活用」という3つのレイヤーを定め、それぞれに最適なコンポーネントを装備している点です。

データの収集を担うのは「Meister IoT」です。エッジコンピューティングに対応し、製品・装置をネットワークに接続。多様なデータを統合的に集め、現場側でリアルタイムなデータ処理を実現していきます。

データの蓄積を支えるのが「Meister DigitalTwin」です。工場O&Mにおいては、設備の稼働データと生産管理や設備管理などの業務データ、設備や作業者に関する情報を高い精度でひも付けし、デジタル空間上に写像。開発や部品調達、温度・湿度、検査結果から、現場における稼働状況や保守点検の内容などを関連付けて管理し、分析、追跡することを可能にします。

さらにMeisterシリーズでは、このMeister DigitalTwin上のデータを活用するためのさまざまなコンポーネントを準備。さまざまな視点での見える化画面やトレーサビリティー機能、各種ビックデータ分析モジュール、AIサービス(SATLYS)など豊富なアプリケーションを準備し、お客さまのニーズに合わせて必要なものを組み合わせて提供することができます。

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O&Mデジタル化の課題

しかし、いかに優れたソリューションがあっても、それぞれのお客さまがデジタル化を進め、そこで生み出される価値を最大化していく作業は容易ではありません。例えば人材不足や予算確保。保守・点検人員はもちろんのこと、データを管理・活用するためのICTやデータ解析技術に詳しい人材の確保も深刻な問題となってきています。またO&Mというカテゴリーはデジタル化による効果を確約することが難しく、ROI*の算出に苦慮し、導入に踏み切れない企業が多いことも現実です。

*ROI:Return On Investment(投資利益率)

実際にシステムを導入しても、さまざまな課題が持ち上がります。データ取得の側面では、センサーを直接設置できない古い設備からいかにデータを取得するか。ミリ秒単位のデータ収集に対応し、セキュリティを担保しながらそれらのデータを伝送するネットワークの接続性をいかに保つか。今まで何年も安定して稼働してきたために故障や異常時のデータがほとんどない設備について、抽出した特徴量や正常/異常の判定モデルの精度をいかにして検証するか。当社ではこうした課題に対応するO&Mのデジタル化の在り方をお客さまと共に現場視点で考え、着実な進化につなげていくために、多彩な人材と先進の技術を結集。Meisterシリーズと連動させた独自の支援やサービスを提供します。

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課題克服を目指す、導入スタイルと先進の技術

お客さまのO&Mをデジタル化するにあたり、当社ではDXの進化のシナリオに基づき、Meisterシリーズの各種コンポーネントを活用した段階的なシステムの導入を推奨しています(図1)。

図1 設備の運用・メンテナンス(O&M)の高度化ステップ

まず、ファーストステップでは、設備の稼働状況の見える化による省人化とコア業務へのシフトからスタート。最小限の設備に対して稼働状態の見える化と遠隔監視化を行い、データを取得する対象とする設備を段階的に拡大させていきます。次の予測型メンテナンスや最適化ステップに向けては、実証実験やスモールスタートにより効果を確認。その後、Meister IoTMeister DigitalTwinでデータの収集・活用を進めます。そして、付帯的なユーティリティー設備や予備品、作業者の行動といった現場にある資産や人材に関するあらゆる情報を体系的かつ可視化された形で管理し、工場や施設全体の最適化・自動化・自律化を進めていきます。さらに設備の重要度や故障する頻度に応じてレベルを分け、それぞれに最適な対応方法を取るなど、お客さまの事業領域や、工場や施設の特徴に基づいてO&Mをデジタル化する基盤を構築していきます。

センサーを直接取り付けられない設備に対しては、音響分析による設備劣化診断や画像認識によるメーターの数値の読み取りなど、非接触型のIoT技術を開発。現在、実証段階に進んでいます。またMeisterシリーズに情報系/制御系ネットワーク層の分離機構や、エッジ側のハードウェアやアプリケーションを統合管理する機能を組み込み、セキュリティの強化とICT運用の効率化も実現しています。

これらの技術開発や導入においては、東芝の研究開発センターや生産技術センターなどと密に連携。先進のテクノロジーとノウハウを積極的に活用する体制も構築しています。

当社では今後、Meisterシリーズを基盤にデジタルツインを既存の業務プロセスとリンクさせ、設備管理や在庫管理、調達管理、作業管理、契約管理といった各業務データと統合的に管理する次世代EAM*の仕組み作りを推進。設備保全のプロセスを周辺業務と全方位に連携させながら、設備の製造から稼働、保全、廃棄に至るライフサイクル全体を最適化していくシステムの実現を目指していきます(図2)。

*EAM:Enterprise Asset Management(設備管理)

図2 O&M領域の概念アーキテクチャー

ものづくりIoTソリューション「Meisterシリーズ」を中核に、東芝デジタルソリューションズがこれまで多種多様な工場で培ったノウハウを結集して実現するO&Mのデジタル化。お客さまの現在の課題に応えることはもちろん、その可能性は止まることなく広がっています。

※この記事に掲載の、社名、部署名、役職名などは、2018年10月現在のものです。

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