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東芝デジタルソリューションズ株式会社

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Vol.22 IoTに求められる即時性と拡張性 センシングデータを現場でフルに活用する

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#01 デジタルトランスフォーメーションの実現へ 「SPINEX」の設計思想を現場で具現化するテクノロジー 東芝デジタルソリューションズ株式会社 商品統括部 主幹 山本 修二

提供開始以来、東芝IoTアーキテクチャー「SPINEX」は、産業や社会のさまざまな領域のお客さまから大きな反響をいただき、IoT*を用いて課題を解決する実践の場で活用されています。デジタルツイン、エッジコンピューティング、そしてオープンパートナーシップ。私たちの使命は、SPINEXの設計思想をさまざまな業務課題に適合させ、お客さまのイノベーションを加速する実効性あるソリューションへと昇華させていくことにほかなりません。工場やフィールドに張り巡らされたIoTネットワークから、時系列で収集されたデータをいかに処理・分析し、活用へと結びつけていくか。蓄積され、やりとりされる膨大なデータの安全性を高めつつ、企業や事業の垣根を越えた新たな価値の創出へとどうつなげていくのか。ここでは、現場からの価値創造をリアルに実現するSPINEXの基盤をなす代表的な商品、サービス、取り組みについてご紹介します。

* IoT:Internet of Things (モノのインターネット)

SPINEXを
産業活動のリアルな現場へ

今春、経済産業省より日本の産業が目指す姿のコンセプトとして「Connected Industries」が発表され、具体的な施策に落とし込む作業が進んでいます。一方、ドイツの国家プロジェクト「industrie 4.0」や米国の「Industrial Internet」は、構想の段階から具体的なアーキテクチャーや仕組みの構築へ、その活動が加速しています。今や、IoTを活用した企業や社会の改革は、コンセプトだけではなく、いかにリアルな現場で実現するのかが求められる段階に入っています。

現場で実現するためには、実践に基づくノウハウとアーキテクチャーの体系化が重要です。ビジネスでの情報活用や運用までを見据えた「(サービスを含む)全体アーキテクチャー」を描き、標準やデファクトスタンダードはもとより、協調することで効果が得られるものはオープンなパートナーシップにより徹底的に取り入れます。そして全体の中で東芝の技術が必要とされる部分や特長が生かせる部分へ、当社のコア技術・商品を組み入れます。
東芝は、IoTやクラウド、AI*などの先進技術と、半導体や社会インフラなど幅広い事業領域の現場で培ってきた実践経験やノウハウを体系的に統合し、革新的なIoTアーキテクチャー「SPINEX」として提供。お客さまのリアルな「デジタルトランスフォーメーション」を強力に支援する活動を行っています。

* AI:Artificial Intelligence(人工知能)

SPINEXの特長は、現場の活動や環境をデジタル上へリアルタイムに再現する「デジタルツイン」、エッジ(現場)のリアルタイム処理とクラウドとの協調処理を行う「エッジコンピューティング」、そして東芝が長年培ってきた「メディアインテリジェンス」のコミュニケーションAI技術をIoTへ活用することです。これらの技術は、現場のデータをセンシングして分析し、業務へリアルに生かすためのコア技術として欠かせないものであり、実践に基づく先進のテクノロジーと緻密なアーキテクチャーにより形づくられています。
東芝は2016年11月にSPINEXを発表する前から、その基盤となる商品やサービスの開発と強化、さらにミドルウェア商品やサービスを組み合わせたビッグデータプラットフォームの提供、セキュリティの高度化など、全体アーキテクチャーを支える取り組みを進めています。これらの基盤技術と、グローバルなパートナーシップによる「マルチクラウド接続」「マルチデバイス接続」などにより、あらゆる情報と人、そして多種多様な商品、サービス、技術がリアルタイムにつながることを可能にしていきます(図1)。

図1 東芝IoTアーキテクチャーSPINEXと基盤テクノロジー商品

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データ収集・蓄積・分析を支える
独自のミドルウェアとデータベース

エッジコンピューティングは、時系列に集まるセンサーや画像、動画などの膨大なデータを、エッジ(現場)とクラウドで協調分散処理する手法です。ネットワークの負荷を抑えながら、現場でのデータ処理と状態検知における即応性を高めます。
東芝では、このエッジコンピューティングの実現に有効な革新的なミドルウェア群、データ収集/イベント処理基盤「SmartEDA」を開発し提供しています。SmartEDAを現場のコントローラーやゲートウェイに搭載することで、あらゆるデバイスやセンサーから大量データを高速に収集し、一次処理を実施。現場の機器や設備のリアルタイムな異常検知や自律制御をはじめ、システム障害の予兆を検出するなど近未来の予測も可能となります。また、特徴量を見極めて、異常値と判断したデータのみ即時にクラウドに送信し、正常データは定期的な送信に止めるなど、自在に通信制御を行うことでネットワークの負荷を軽減しながら、ニーズに合わせたデータ編集を行い、協調分散処理を支えます。

※SmartEDAは、#02で詳しくご紹介しています

山本 修二

エッジコンピューティングとともに、SPINEXによるデジタルトランスフォーメーションを支える柱が、デジタルツインです。収集された膨大なデータから、リアルな世界の出来事をデジタルの世界に忠実にリアルタイムに再現(写像)。例えば、工場内の状況を正確に見守り、製造ラインの滞留・停止や製品が不良となる兆候をいち早く捉えて早期に改善を図ることで、製造現場の生産性と品質を劇的に高めます。
このとき課題となるのが、お客さまそれぞれの業務の特色や環境の変化に対応しながら、爆発的に増加するセンサーデータをいかに格納し、効率よく処理できるかです。東芝では、デジタルツインによる現象の再現や予兆検知に最適な、高速でスケーラブルなデータ蓄積基盤「GridDB」を開発し提供しています。GridDBでは、コンテナ単位でデータの一貫性を保証する、時系列データと三次元空間データの管理に適したIoT指向のユニークなデータモデルを採用。必要なデータはストレージではなくメモリに配置して、効率よく処理します。また、サーバーを追加するだけで容量や性能を拡張できる圧倒的なスケーラビリティーは、第三者機関によるベンチマークテストでも実証されました。また東芝は、GridDBをオープンソースソフトウェアとしてグローバルへ提供し、米国の大学機関において実証実験などにも用いられています。

※GridDBは、#03で詳しくご紹介しています

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現場のアクションを加速する
インダストリアルビッグデータプラットフォーム

エッジコンピューティング、デジタルツインの実現により収集されたビッグデータを現場のアクションへスムーズに結びつけるため、東芝では「ビッグデータプラットフォーム」を提供しています。
SmartEDAGridDBに加え、企業内外の大規模なデータを横断的に組み合わせて高速に処理する分析基盤「GridData」を準備。オープンかつ業界標準となっているアナリティクス技術や、進化する最新のアルゴリズムを徹底的に取り込みながら、東芝独自の事象パターン分析技術や人工知能(AI)の利用技術を高度に融合させ、「収集→蓄積→予測・分析→視覚化・活用」という一貫したプロセスをオールインワンでサポートします。これらの技術は、東芝グループの半導体工場などにおけるビッグデータ活用の実績に裏付けされたものです。さらに、デバイスに近いエッジの部分で推論エンジンを実行させ、センシングデータをフレキシブルに収集・編集・伝達するなど、真の「エッジリッチ」の高度化に向けた機能の実装を進めています。

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オープン化に対応した
多層防御のセキュリティ

このように、SPINEXがもたらすメリットを最大限に享受できる環境が整備されても、これをビジネスに適用していくためには、マルチデバイス・マルチクラウド接続やオープン化が進む制御系システムのセキュリティが重要となります。
東芝には、微細な半導体製品から大型産業機器にまでわたる豊富な技術、社会インフラでのクリティカルな制御システムの構築と運用の経験、20万人以上の従業員と数十万台の情報機器を長年支えてきた情報システムの運用ノウハウがあります。それらをIoTにおけるセキュリティシステムの開発や運用に最大限に活用しています。もちろん、国内外における最新のサイバー攻撃対策のソフトウェアやハードウェア、ソリューションをいち早く導入し検証。サイバーセキュリティの脅威から、デバイスやIoTゲートウェイなどのエッジ、さらにはネットワーク、クラウド、システム全体を、多層で防御するITとOT*のセキュリティソリューションを提供しています。

* OT:Operational Technology(制御技術)

IoTシステムの設計段階からリスクアセスメントに基づき最適なセキュリティをデザインすることで、デバイスからクラウドに至るSPINEXの安全性を追求。セキュアなデータの収集、蓄積、分析、アクションを支援し、オープンで活発な企業間連携、そして多種多様なデータ活用による競争力強化に貢献します。

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グローバルでの
オープンパートナーシップ

Industrial Internet Consortium(IIC)やIndustrial Value Chain Initiative(IVI)、Robot Revolution Initiative(RRI)、OpenFog Consortium、EdgeX Foundryなど社外の団体活動に、当社の事業部門や研究開発部門の一線の技術者が積極的に参画しています。IVIの活動では、IoTプラットフォームとして採用された当社のソリューションで実証実験が行われ、IVIのリファレンスアーキテクチャー「IVRA」への適合を示すことができました(ニュースリリースはこちら)。さらに、ドイツのIndustrie 4.0や米国のIndustrial Internetなどの動向も見据え、アクションに移しています。当社ではIndustrie 4.0の産業用プロトコル標準「OPC-UA」をいち早く商品に採用し、現在はアセット構成情報を標準化して情報の接続性や運用性、迅速性などを向上させる「OpenAAS(Open Asset Administration Shell)」への取り組みを強化しています。多くのパートナーと協調し、それぞれの領域でNo.1の良いモノを組み合わせ、先進技術の進化をダイナミックに取り込んでいきます(図2)。

図2 東芝のグローバルオープンパートナーシップ

ここまでSPINEXを構成する特徴的で代表的な商品、サービス、取り組みをご紹介してきました。これらの商品やサービスは、SPINEXの基本要素で構成した、見える化・遠隔監視サービス「IoTスタンダードパック」次世代ものづくりソリューション「Meisterシリーズ」に組み入れて提供しており、既に多くの実績を積み重ねています。さらには、アセット管理やO&M*サービスソリューションなどのアプリケーション、ハイブリッドクラウドのインテグレーション、API*マネジメントの仕組みなど、東芝はSPINEXIoTアーキテクチャーをお客さまそれぞれの業務に適合させ、多種多様な商品、サービス、ソリューションに組み入れて強化しており、今後もさらに進化させていきます。

* O&M:Operation & Maintenance,API:Application Programming Interface

東芝のアーキテクトやエンジニアは、さまざまな現場を歩き回り、これらコア技術の中から最適なものを選び出し、インテグレーションし、それぞれのお客さまにとって本当に価値あるものをSPINEXでリアルに具現化します。私たちは、革新的なテクノロジーを提供するとともに、お客さまとの想いをひとつにする東芝らしい誠実な対応で、デジタルトランスフォーメーションをもたらすビジネスを共創していきます。

SPINEXは、DiGiTAL T-SOUL Vol.21 #01で詳しくご紹介しています
IoTスタンダードパックは、DiGiTAL T-SOUL Vol.21 #02で詳しくご紹介しています

※この記事に掲載の、社名、部署名、役職名などは、2017年7月現在のものです。

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