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プロジェクトのメンバー KeyPerson

2014年3月31日 日本の新聞業界が注目する、新聞共有システム
チーム一丸となって大規模プロジェクトに挑む
新聞の紙面作りに欠かせない、新聞社の基幹システムとして位置づけられる新聞制作システム。新聞業界として初めて、これを共通化し、新聞社同士で共同利用可能なサービスを一般社団法人共同通信社様が提供することとなった。システムの仮想化基盤からアプリケーション開発に至るシステム全般を東芝ソリューションが提供し、新聞各社のシステム投資負荷の軽減実現に向けた第一歩を踏み出した。

新聞社の将来像を描く大規模プロジェクト

 国内外の主要88都市に支局を展開し、全国の新聞社やNHK、民間放送局、海外メディアに様々なニュースを提供している一般社団法人共同通信社様(以下、共同通信社様)。全国60社を超える契約・加盟新聞社を抱える共同通信社様では、新聞各社がこれまで自社で投資してきた新聞制作に欠かせない素材管理や組版などの機能を持つ新聞制作システムを共通化し、共同利用できる環境を整備。この新聞制作システムをサービスとして利用できる「新聞共有システム」が、新聞各社のシステム投資の負荷軽減に貢献している。この新聞共有システムはプライベートクラウド環境で稼働しているが、仮想化基盤をはじめ、新聞制作システムに特化したメディアマネージメントソリューション「DynamicCMS®」を含めたシステム全般を東芝ソリューションが提供している。

 この新聞共有システムの構想が持ち上がったのは、2008年。今回のプロジェクトマネージャーとして関わっている流通・金融ソリューション事業部の角は「発行部数の伸び悩みや広告費の減少など新聞業界における経営環境が変化するなか、新聞各社が負担してきた新聞制作システムへの投資や維持管理に関する費用を軽減するべく、共同通信社様が事業主としてサービス提供できないかというお話から今回のプロジェクトがスタートしました」と当時を振り返る。

 コスト削減はもちろん、システムライフサイクルの長期化や災害や障害に強いシステム作りなど共有化に向けた5原則が盛り込まれた計画案が策定され、これまで実績のあるベンダにRFP(提案依頼書)が示されたという。「個別の新聞社にシステムを提供した経験はありましたが、これほどの大掛かりな共有化システムは未経験。正直なところ未経験ゾーンに対する不安も少々ありました。ただ、それよりも新聞業界全体へのチャレンジに対する責任の大きさと、容易に想像できる業務の重さの両方が、その小さな不安を打ち消す、大きな高揚感となって湧き起こってきました」と今回のプロジェクトにおけるサブリーダーを務める同部の大西は語る。

流通・金融ソリューション事業部 メディアソリューション部 参事 角 慎吾 流通・金融ソリューション事業部
メディアソリューション部 参事 角 慎吾

安心感の醸成に向けた全国行脚、大規模プロジェクトへの挑戦が始まる

流通・金融ソリューション事業部 メディアソリューション部 新聞ソリューション第二担当 主任 大西 卓哉 流通・金融ソリューション事業部
メディアソリューション部 新聞ソリューション第二担当
主任 大西 卓哉

 本件のプロジェクトマネージャーの角も大西同様の気持ちはあったものの「今回の共有システムが稼働すると、これまで個別に納めてきた新聞社もこれに参加していく可能性が大きい。我々としては事業的な危機感がありました」と語る。しかも、ファーストユーザとして名乗りを上げた東奥日報社様が他ベンダの新聞制作システムを使っていたため、当初から苦戦が予想されていた。
 営業的な視点では「経験したことのない大きなプロジェクトであり、営業としては是が非でも受注したいと考えていました。すでに新聞社様に単体の仕組みは納めたこともありますので、ベースとなる仕組みは大丈夫だろうと考えていました。ただクラウド環境で複数の新聞社を稼働させるという試みはこれまでの仕組みとは異なる部分でした。地方紙の未来がかかっており、これまでにない案件だからこそ、担当者が一丸となって取り組む必要性を痛感しました」と語るのはプロジェクトにおける営業担当の一人である仲俣だ。また、「第一期に参加する新聞各社の方々に現状を伺いながら、商談状況について適宜社内にフィードバックしていきました」(仲俣)。また他社のシステムを使ってきた新聞社に対してはデモ環境を持ち込んで、どんなことができるのかについて何度も説明を行い、お客様にご理解頂こうと熱意を持って取り組んだ。このようなことを積み重ね、東芝の仕組みでも実運用に耐えられることを伝えていくことで、安心感を醸成していったという。

 結果として、ネットワークが使えない時でも新聞制作が継続できるローカル組版の実績や「DynamicCMS®」に対する評価など様々な点が評価され、2011年6月に受注にこぎ着けることに。「受注の知らせを聞いた時は、うれいしい気持ちと、今後どのように進めていこうか、ドキドキと高揚する気持ちが入り混じっていました。利用者である新聞社の方々と事業主である共同通信社様双方と協力しながら、確実に進めていかなければならないと強く思いました」と大西。

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熱意と努力で、新聞業界全体が注目するプロジェクトに挑む

 実際の仕様を決めていく段階で工夫した点について大西氏は「当初はファーストユーザとして名乗りを上げていた東奥日報社様筆頭に参加表明した4社を中心に追加機能に関する要件を詰めていくことになりますが、それぞれ個別にヒアリングしていると多くの時間が必要です。しかし、参加する新聞社は青森や秋田、島根、茨城とそれぞれ遠隔地に分散していたのです。一堂に会していると膨大な費用もかかるため、Web会議を使って4社合同で要件確認の場を設けるなどいろいろ工夫を凝らしました」。出来る限りコストを抑えた方法を提案し、共同通信社様と相談しながら進めていったという。

 また、ファーストユーザである東奥日報社様への納期を守ることを社内のメンバーに厳命し、納期厳守のための努力と工夫を徹底させたと角は力説する。「下流工程での後戻りの発生などにより納期に支障を来さないよう、要件を絞ったり開発要素を少なくしたりなど上流でとにかく品質を上げる努力を共同通信社様とともに行いました」。ステークホルダーが多いなかで、新聞業界の中でも注目を集めていたこともあり、失敗などは許されない状況だったのだ。他にも、新聞各社との窓口は事業主である共同通信社様ではあるものの、現地では直接新聞社と交渉を行いながら、仕様決定に向けた開発作業部会では共同通信社様と一緒になって意思決定をサポートしていくなど、プロジェクト全体を円滑に進めるよう、熱意を持って積極的に行動したと角は振り返る。

流通・金融ソリューション事業部 メディア・サービスソリューション営業部 メディア・サービスソリューション営業第三担当 主任 仲俣 敏和 流通・金融ソリューション事業部
メディア・サービスソリューション営業部
メディア・サービスソリューション営業第三担当
主任 仲俣 敏和

 ただ実際には、新聞各社が導入しているシステム仕様が異なっていたこともあり、各社の意見をすり合わせるのは苦労することもあったという。「運用そのものは大きな違いはありません。しかし、例えば括弧は自動で半角になって欲しいといった、システムの使い勝手の違いがありますので、各社の運用を照らし合わせて仕様に落とし込む作業に苦労しました」(大西)。どの新聞社でも現状の運用は変えたくないものだ。そこの調整には、見えない多くの壁があったという。そこで、大西たちは、運用上どうしても支障が出る部分以外の修正は極力行わないよう、共同通信社様と最低限のルールを決め、合意形成に向けて根気よく意見調整を継続していったのである。

 この案件で、プロジェクトマネージャーとして角が心掛けたのが、“一貫性を持って、とにかくぶれないこと”だったという。「プロジェクト推進中には様々な課題や問題が発生し、とかく足元のみを見て対応を行うことが多くなりがちです。本来のプロジェクトのゴールを見失うことなく、またプロジェクトとしての最優先事項である納期厳守がぶれないよう、プロジェクト責任者として周りに厳しくした面もあります。そんな中でも、あまり私が顔を出さずに現場の主体性を尊重しながら必要なタイミングでフォローすることも心掛けました。最終的にはプラットフォーム事業部含めて東芝ソリューションの総力を挙げて対応でき、難しい局面もあったものの何とかクリアできたことに対してプロジェクト関係者全員に感謝しています」(角)。ただし、東奥日報社様の導入が無事に済んだものの、すぐ次には茨城新聞様への展開を間近に控えるなど、緊張感はこれから先も常に継続していく状況だという。

 現場で導入を行っている大西も「つらい場面もありますが、これが当たり前だと思って自分を奮い立たせるようにしています。自身に“大丈夫だ”と暗示をかけ続けたことで、自分が強くなっていることを実感しています」。長期出張中に、現場で思うようにいかないことが続き、辛くて社会人になって初めて、どうしたらよいか分からず行き詰まってしまったという。しかし、それでも自身を奮い立たせ、乗り越えてきた。大西は、ふとした際にお客様から頂く感謝の言葉が、次への原動力になったと振り返る。

 営業的な面では、共有化システムの案件における取り扱い規模は順調に増えており、大規模案件に関わることができる喜びを感じているという。「長丁場で休まる瞬間が少ないことは確かですが、技術部門と一緒に案件を進めていけるのは大変うれしい」と仲俣。特に、新聞を作るというプロの現場に接することで、読者に対する意識の高さを実感しているという。「これまでは形として見えにくい仕組みをお客様に提供していましたが、今回は新聞というものが形になって出ていきます。そういう意味で大きなやりがいを感じています」(仲俣)。

お客様目線を大事に、チーム一丸で取り組んでいく

プロジェクトのメンバー

 今回の案件で学んだことについては「ステークホルダーが数多くいる共有システムだけに、プロジェクトの進め方や運営の仕方、お客様との関係など、カタチに見えない大切なことを吸収できたことが大きい」と角は分析する。同様に大西も「社内のプロジェクトメンバー30人あまりがベースですが、開発ピーク時には100名以上の人数まで増えたこともあります。これまでは、私が専門としている組版システムの限られた世界の中だけで判断していたものを、今回は全体の中で優先順位をどうつけるべきか、誰と調整すべきなのかなど、広い視点を持って判断することが多く、とても勉強になりました」。営業としては「稼働後の保守の提案をしながら、次に導入する新聞社の工程などについて交渉するなど、複数の商談を同時に進めていくという点は他の案件にはないこと。とてもいい経験をさせていただいています」と仲俣は前向きに語る。

 今後について角は、「新たな新聞社にも参加していただき、共同通信社様の事業をもとに、多くの新聞社の運用に貢献できるよう、引き続き取り組んでいきたい」と語る。参加している新聞社すべての要望に対応できるわけではないものの、少しでもお客様の立場になって取り組んでいきたいという。また仲俣も「参加する新聞社が増えればその分大変ではありますが、増えることの喜びも感じながら参加社を増やす活動を積極的に行っていきたい」と語る。最後に「共同通信社様と新聞社双方に喜んでいただくには、使い勝手の良いものをいかに安く作るかにかかっています。難しい部分も多くありますが、お客様の目線を大事にしながらチームが一丸となって取り組んでいきたい」と大西は熱い思いを言葉にした。

人々の暮らしを支える、重要な情報インフラである新聞。この新聞制作の現場とその未来を、これからも東芝ソリューション社員の熱い思いと確かな技術が支ええていくだろう。


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  • *この記事内容は2014年3月に取材した内容を元に構成しています。
    記事内における数値、組織・役職名などは取材時のものです。
  • *本記事に掲載の社名および商品名はそれぞれ各社が商標または登録商標として使用している場合があります。

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