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導入事例名:顧客管理・料金計算を行うシステムにクラウドを活用

電力完全自由化に向けた新事業の業務基盤を実績のあるパッケージで整備
短期間での稼働を可能にしたクラウドマネージドサービス

発電所

 2000年の電力自由化にあわせて誕生したイーレックス株式会社では、老舗の新電力会社として東京や東北、中部、関西、中国、九州電力管内など広範囲に事業を展開しているが、2016年からスタートした一般家庭向けの低圧電力事業に参入するべく、顧客管理および料金計算のためのシステムを導入した。この低圧電力事業向けの顧客管理基盤に選ばれているのが、東芝デジタルソリューションズ株式会社(以下、東芝)が提供する顧客管理・料金計算パッケージソリューション「PEACE PLUS」および閉域網やクラウド基盤を含めたクラウドマネージドサービスだ。

適用業務:
基幹業務システム
主なサービス:
仮想サーバー, Oracle DB ライセンス, VPN接続GW, Arcstar Universal One (閉域網), コロケーション接続, グローバルファイルストレージ, Global Management One (監視サービス)
クラウド基盤:
NTTコミュニケーションズ Enterprise Cloud
Before
2016年4月から行われる電力の完全自由化に合わせ、新たに一般家庭を中心とした低圧受電の顧客向けに小売事業を行うことを決断。それに伴って、代理店となる販売店管理の仕組みが可能な顧客管理基盤の整備やさまざまな料金プランを設定する料金計算システムの構築が急務に。
After
東芝が提供する顧客管理・料金計算パッケージソリューション「PEACE PLUS」をNTTコミュニケーションズ株式会社のクラウド基盤「Enterprise Cloud」に展開し、ネットワークインフラも含めたクラウドマネージドサービスを提供することで、わずか4カ月の短期間で顧客管理の基盤を構築。安定稼働によって低圧市場に向けた事業を軌道に乗せることができた。

導入の背景:電力の完全自由化に向けた新たな事業計画

発電所

 「未来をデザイン with erex」をブランドコンセプトに、発電から販売までを一貫して手掛ける老舗の新電力会社であるイーレックス株式会社。1000社を超えるパートナー企業と共創しながら新たな電気の仕組みを構築しており、ヤシの殻など植物由来の再生可能エネルギーを利用する大規模バイオマス発電の事業化や新電力として初めてとなる外資系電力会社との提携など、新電力におけるパイオニア企業として新たな挑戦を次々と行っている。ビジョンとして掲げた「未来を切り拓く『共創』エネルギー企業」への歩みを着実に進めながら、エネルギーの安定供給と事業の拡大に努めている状況だ。

 そんな同社が手掛ける日本の電力事業は、以前は東京電力をはじめとした地域の電力会社によって独占的に提供されてきた経緯があるが、1995年に一部改正された電気事業法により独立系の発電事業者の参入が認められ、2000年3月から大規模工場やオフィスビルなどの特別高圧で受電する顧客を対象にした部分自由化がスタート。その後、2005年には中層ビルやスーパーなど高圧で受電する顧客すべてが小売自由化の対象となった。そして、2016年に一般家庭や商店に向けた50kW未満という低圧の電力市場を含めて自由化が行われ、ようやく電力の完全自由化に至ったという流れがある。

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導入の経緯:管理体制が強化できる新たな基盤の構築が必要に

イーレックス株式会社 経営企画部 情報システム課 主任 北小路 崇亮 氏

イーレックス株式会社 経営企画部
情報システム課 主任

北小路 崇亮 氏

 同社では、2000年に行われた電力の部分自由化のタイミングで事業をスタートさせ、特別高圧および高圧の受電者に対して電気の供給を行ってきた。そして、2016年に解禁された電力の完全自由化に合わせて一般家庭向けの低圧市場に参入することを念頭に、新たな仕組みを模索することになったと経営企画部 情報システム課 主任 北小路 崇亮氏は当時を振り返る。「これまで手掛けてきた高圧事業では月に1度の請求で済みますが、新たに始める低圧事業は分散検針が基本となるため、日々料金計算が発生することに。一般家庭を対象にした収納管理を考慮すると、これまで活用してきたシステムではとても管理しきれないと考えたのです」。そこで、しっかりとしたシステムを導入し、管理体制を強化していくことを前提に事業計画がスタートしたのだ。

 新たな仕組みでは、顧客に開放するポータルページを設置するだけでなく、それぞれの顧客に紐づく販売店の管理が可能な顧客管理の基盤が求められた。また、料金プランの変更に対して柔軟に対応できる料金計算の仕組み、そして料金の請求など収納管理を行うための決済サービスとの連携なども要件となっていたという。「料金プランは子会社によって、また提供エリアなどによっても異なっており、当然ながらその計算方法も変わってきます。すでに50を超える料金プランが設定されていますが、今後も独自の料金プランを作っていくことを考えると、自分たちで設定できる仕組みが必要だったのです」と北小路氏。

 代理店となる販売店管理については、Webサイト上から申し込みができる販売店向けの仕組みや、販売店が獲得した需要者、つまり最終的に電気を利用する一般家庭の管理も販売店自身で行うことができる仕掛けが求められていたのだ。「この仕組みがないと代理店制度を始めることができません。販売店自身が自分の顧客の対応履歴なども含めて管理できる仕組みが必要だったのです」。決済サービスとの連携については、できれば自社で口座番号を管理せずに収納管理できる仕組みを希望した北小路氏。なおインフラ面については、顧客数に応じて柔軟に拡張できる環境を求めていたという。「当初から数年間の顧客獲得目標は設定されており、その環境に応じて拡張できることが重要な要件でした。また当社は発電所なども運営しており、常にVPNによる閉域網で接続されています。新たな接続先が増えた場合でも素早く拡張できるネットワークインフラも要件の1つ」と北小路氏。

導入のポイント:実績のあるパッケージとクラウド基盤での提案を評価

 既存の電力会社に対してソリューションを提供している企業を中心に声をかけ、新たな仕組みに関する提案を求めた北小路氏。そこで同社の目に留まったのが、東芝が提案した顧客管理・料金計算パッケージソリューション「PEACE PLUS」およびクラウドマネージドサービスだった。「スクラッチで仕組みを構築するという提案が多いなか、500万件の顧客が管理できるという実績は大きなポイントでした」と北小路氏は評価する。実際には海外パッケージではあったものの、今回の提案に合わせて新たに持ってきたものではなく、その海外ベンダとは10年以上前からパートナーとしてビジネスを行ってきた経験が東芝にあったことが安心感につながったという。

 また、同社が求めていた顧客管理や料金計算の仕組みが個別にパッケージ化されたものも提案されたが、料金改定のたびに顧客管理への反映作業が個別に必要になるだけでなく、改修作業も統合パッケージに比べて大きな負担になると考えたという。さらに大きかったのは、料金計算の難易度だ。「なかにはSQL文のようなものを書いて料金設定する仕組みも。我々システム部門が運用するのであればいざ知らず、将来的には営業部門でも料金計算できるようにしておきたい」と北小路氏。東芝の提案した仕組みであれば、料金設定のためのインターフェースがしっかり用意されており、さほど手間をかけることなく料金プランの設定が容易に行えるようになっていたという。

 インフラの面では、当初は提案したすべての企業がオンプレミス環境での提案だったが、コストや拡張性を考慮したうえでNTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)のクラウド環境および閉域網サービスをベースに、顧客管理・料金計算システムを東芝が再提案。「クラウド環境であれば、オンプレミス環境に比べてDBライセンスが安価に設定でき、インフラ部分の運用管理もすべて任せられます。我々にとっては基幹業務にクラウドを利用するのは初めてのことでしたが、メリットが大きいと判断したのです」と北小路氏は力説する。他にも、東芝自身が託送管理システムを手掛けていたこともあり、料金計算についてのノウハウも十分に兼ね備えていたことも大きなポイントの1つに挙げている。

 業務面およびインフラ面での要件が合致した結果、東芝が提供する顧客管理・料金計算パッケージソリューション「PEACE PLUS」およびクラウドマネージドサービスが、同社の新たな低圧市場に向けた基盤として採用されることになる。

■新電力システム構成図

新電力システム構成図

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導入の効果:新たな顧客を獲得するための重要な基盤へと成長

 2016年1月4日からスタートする新サービス受付開始に合わせてPEACE PLUSが持つ顧客管理を先行して稼働させた同社だが、今では料金計算を含めてNTT Comのクラウド基盤「EnterpriseCloud」上にすべて展開、これまでに獲得した5万件を超える顧客を管理する基盤として安定稼働を続けている。また、クラウド上に展開できない電力の需給管理システムもクラウド基盤が稼働する同じデータセンター内に設置することができ、かつコールセンターや発電所など連携する拠点とのセキュアな通信に必要なVPNによる閉域網を確保、短期間のうちにネットワーク拡張できる環境を整えることに成功している。

 顧客管理の部分では代理店が直接入力できるようになっており、利用する人のリテラシーの差が吸収できるような作りになっている。また、料金計算については現状システム部門で行われているが、ユーザーインターフェースを用いて設定できるようになっている。直接スクリプトを書くような仕様に比べて圧倒的に使い勝手はいいと北小路氏は語る。また、発電所が追加された場合でもネットワーク拡張も問題なく行われており、顧客件数の増加に合わせてメモリなどのリソース拡張も行われたが、業務に影響を与えることなく安全に拡張することができたという。

イーレックス株式会社 営業部 業務室長長 曽根 俊昌 氏

イーレックス株式会社 営業部 業務室長

曽根 俊昌 氏

 現状の運用については、安定して稼働している点を営業部 業務室長曽根 俊昌氏は評価しているが、なかでもサービス開始時にきちんと代理店向けの環境を整えることができたことが大きかったと振り返る。「最初の申し込みは簡単に運用できる申込書(紙)でスタートするケースがあるが、その場合は運用側ですべて入力し直すことになります。最初からきちんとしたインポートフォームを用意してもらえたことで、販売店からアップロードしてもらえた事は、我々としてはとてもありがたかった。自分たちで入力していたら業務が回らなくなっていたはず。」と曽根氏。また、要望に対しての迅速な対応も評価しながら、正直な姿勢についても好感を持っているという。「何かあれば隠すことなくきちんと説明してもらえる。我々に向き合う姿勢は真摯であり、一緒に仕事をするパートナーとして信用に値します」と評価する。

 なお、プロジェクトにおけるスケジュールについては、短納期のうちに本稼働を迎えた形となっており、東芝のプロジェクト遂行力への評価は高い。「実際には、要件定義部分だけは先行して発注したのですが、低圧電力事業に参入するかどうかの判断がぎりぎりのタイミングだったこともあり、システム開発から本稼働まではわずか4カ月あまり。短納期のなかでバタバタした面はありましたが、ちゃんと動く形に仕上げていただけて感謝しています。きちんと納期は守っていただけています」と北小路氏は評価する。

 実は、同社の中でプロジェクトに関わる人員が少数精鋭だったこともあり、システム構築以外の面でも東芝からの献身的なサポートがあったと北小路氏。「新たな需給約款を作成する際にも、東芝社内で知見をお持ちの別の部署の方にお力添えをいただいたうえで内容を読み解いていただき、約款の方向性やPEACE PLUSに適用させた場合の料金計算の方法など、こと細かくサポートいただくことができました」。また、曽根氏は「時には開発の人間が現場まで赴いて、その使い勝手をヒアリングして改善点を見出そうとする場面も。私が知る限り、普通そこまでやるケースは少ない」と驚きを隠せない。

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将来展望:PEACE PLUSのさらなる拡張やモバイル環境への対応などにも期待

北小路 崇亮 氏(左)、曽根 俊昌 氏(右)

北小路 崇亮 氏(左)、曽根 俊昌 氏(右)

 今後については、現状の低圧のみならず、Accessなどを駆使して管理している高圧に関する顧客管理などもPEACE PLUS上で管理できるようになればと期待を寄せている。「すでに高圧も1万件を超えるお客様にまで規模が大きくなっており、管理をしっかりしていく意味でも知見をうまく転用していきたい」と北小路氏。また、DRサイトを含めたバックアップ環境についても、海外のデータセンターを含めた形で拡張していきたいという。

 販売店向けには、顧客先で申し込みができるようモバイル環境への対応も進めていきたいと曽根氏は語る。「単にインターネットで申込できるだけでなく、保険業界のようにその場で、販売員が商品の説明をし、お客様に納得してもらいながら必要情報を入れて、証跡を残すことができれば販売店の負担も軽減できます。すでにそれなりのインターフェースは用意されているため、次の段階に向かうタイミングで実施していきたい」。また、全国展開をしている関係上、地域によっては前払いなどの支払方法を希望するエリアもあるため、多様な決済に対応できるようにしていきたいという。「仕組みとしてさまざまなアダプタを持っていると聞いているため、お客様のニーズを見て実現したい」と曽根氏。

 基盤については、今回が同社にとって基幹システムを初めてクラウド環境で利用したことになる。「データウェアハウスをはじめさまざまな仕組みのクラウド化を前向きに検討しています。今回がクラウド利用の大きな試金石になった」と北小路氏。他にも、同社に役立つソリューションについては、カンパニーに限定されることなくオール東芝としての提案に期待していると今後について語っていただいた。

COMPANY PROFILE

会社名:
イーレックス株式会社(erex Co.,Ltd.)
創立:
1999年12月8日(事業開始:2000年1月4日)
代表者:
代表取締役社長 本名 均
本社所在地:
東京都中央区日本橋本石町三丁目3番14号
事業概要:
電力販売、発電、エネルギートレーディング
URL:
https://www.erex.co.jp/ 別ウィンドウで開きます
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