ニュースリリース

2017年3月8日

インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブでの次世代ものづくりソリューション「Meisterシリーズ」の実証実験について
~ 今年度の業務シナリオワーキングでの実証成果を公開シンポジウムで発表 ~

 当社の次世代ものづくりソリューション「Meisterシリーズ」が、一般社団法人インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(以下、IVI)のプラットフォーム注1の候補として採用され、2016年度の3つの業務シナリオワーキング注2で本ソリューションの実証実験が行われました。 本実証での成果は、IVIのワーキンググループにより、3月9日および10日に東京・汐留で開催されるIVIの公開シンポジウムで発表します。

 「Meisterシリーズ」は、メーカーとして当社が培ってきた知見と、エッジからクラウドまでの最先端のIoT技術やビッグデータ解析技術を駆使することで、バリューチェーン全体の情報収集・蓄積・活用を一気通貫で支援する「次世代ものづくりソリューション」です。
 今回、IVIの「予知保全プラットフォーム」と「設備管理プラットフォーム」の推奨プラットフォームとして「Meisterシリーズ」が選定され、「Meisterシリーズ」を採用した3つの業務シナリオワーキングでの実証実験において、商品の機能性および業務における適合性が検証されました。「ものづくり」や業務プロセスを熟知した当社のメーカーとしての知見がデータモデルやアプリケーションとしてパッケージ化されていることで、カスタマイズすることなく標準仕様のまま使用することができるなど、日本の製造業に適している点を高く評価していただきました。

 IVIは、2015年に設立された製造業を中心としたフォーラムで、IoT時代におけるものづくりにITを融合させて、「ゆるやかな標準注3」をコンセプトとして「つながる」ものづくりの実現を目的にしています。企業の垣根を越えて人と人がつながる「場」を提供し、日本版インダストリー4.0として日本発の「標準化」と価値の創造を目指しています。
 当社はIVIの発足時から参画し、IVIの委員会やプラットフォームワーキング、業務シナリオワーキングのファシリテータやメンバーとして活動を行ってきました。

 当社は、今後もIVIでの活動を通じて、実証の成果を次世代ものづくりソリューション「Meisterシリーズ」に反映し、日本のものづくりに貢献していきます。

図1:次世代ものづくりソリューション『Meisterシリーズ』概念図

図1:次世代ものづくりソリューション『Meisterシリーズ』概要図

注1:
IVIプラットフォームとは、アプリ、デバイス、インフラ、ツールといったITのコンポーネントが相互に連携して価値を提供する仕組み。
注2:
業務シナリオとは、ものづくりに関する企業活動の中で発生する特定の要求や課題を解決するための一連の流れを記述したもので25の項目がある。それぞれのシナリオについて、ワーキンググループ内で連携して課題解決に取り組む。
注3:
IVIが提唱する「つながる工場」の実現手段のこと。企業間で共通する領域を「協調領域」として定義し、オープン化することで、相互に連携することを目指す。

■次世代ものづくりソリューション「Meisterシリーズ」:https://www.global.toshiba/jp/products-solutions/manufacturing-ict/meister-factory.html

■インダストリアル・バリューチェーン・イニシアチブ:https://www.iv-i.org/

■エンドースメント
このたびの発表にあたり、エンドースメントをいただいています。

 「東芝の次世代ものづくりソリューション「Meisterシリーズ」を利用する事で、故障の予兆、異常検出の実証実験を短期に行うことができ、大変有意義でした。今後も現場の生産性向上にむけた東芝の次世代ものづくりの取組みに期待しています。」

IVI ワーキンググループ ファシリテータ 杉浦 信幸
(トヨタ車体株式会社 生産技術センター 生技総括室 IoT推進グループ長)

 「今回、次世代ものづくりソリューション「Meisterシリーズ」を利用することで短期間での実証が行え、パッケージ化されたIoTプラットフォームの価値を体感できました。今後、AIの適用など、生産現場とICTの融合がさらに進んでいくことを期待しています。」

IVI ワーキンググループ ファシリテータ 内藤 信吾
(株式会社ダイフク 経営企画本部 IoT企画推進室 室長)

■IVIの業務シナリオワーキングでの実証実験の概要
 業務シナリオワーキングのテーマと実証実験の内容は下記のとおりです。

  • 「突発的な設備故障に対する安価な予兆システム」ワーキング:
     故障時に代替が利かない工場内の搬送装置などの既存設備に対して、突発的な設備故障によるライン停止を抑制するために常時監視が可能なしくみを安価に構築すべく、センサによる稼働データの取得と分析、プラットフォームへの実装について実証実験を実施しました。その結果、安価なセンシング手法や分析による故障予兆モデルの生成、またプラットフォームによる監視、異常の予兆を検知することについて、実現可能性を確認することができました。
  • 「設備稼働データによる保守/保全の効率化」ワーキング:
     製造設備の異常の早期検知、保全計画調整の柔軟性確保と影響範囲の拡大を抑制することで、対応工数/時間を削減すべく、①作業履歴・センシング情報・設備稼働情報を収集・蓄積、見える化、②故障の予知/予兆判断を行うためのデータモデリング、予知・予兆結果の見える化について実証実験を実施しました。その結果、保全業務のスマート化、設備のパフォーマンス維持と保全コストの最適化を両立することについて、実現可能性を確認することができました。
  • 「保全ナレッジ活用による保守/保全の効率化」ワーキング:
     製造設備の故障予防やパフォーマンス維持のための保全業務を効率化すべく、過去10年分の保全記録からの不具合、原因、対処方法の相関などを抽出、体系化して「保全履歴のナレッジ化(知見などの情報共有)」を試みるとともに、テキスト情報のほか静止画、動画やセンシング・データ、スケジュールなどを組み合わせた「保全記録のデジタル化」を試行しました。その結果、従来、紙や人間ベースで行われていた保全業務の連絡・調査作業の効率化、知識・ノウハウなどの継承、故障の原因究明・対処の早期化などについて、実現可能性を確認することができました。

 


以上