ニュースリリース

2014年6月25日

データ同期性と大規模拡張性を両立した世界最高速データベースシステムを開発

当社は、株式会社Murakumo(代表取締役 新居 誠)と共同で開発を進めてきた「リアルタイム・スケーラブル同期データベースシステム」のプロトタイプ実機を用いた動作確認試験を行い、CPUの消費電力あたりの処理量が現行サーバー比注1で約40倍と世界最高速注2となり、さらに400台の同期拡張性を確認しました。

従来、サーバーにアクセスする端末が増えると、アクセス集中によるCPU処理の遅れやネットワークの渋滞により、データの読み出し速度が遅くなるという課題がありました。その課題を解決するためには、CPUの性能を上げたり、高速のストレージに置き換えたり、ネットワーク構造の見直しをする必要がありました。

本システムでは、サーバー間のすべてのデータ同期を高速に処理、保証する新たなミドルウエアと、複数のサーバーが接続された環境で実現する高速ネットワーク技術、HDDに比べて読み書きの速い当社製SSD、高速CPUなど先端デバイスを採用することで、同期された複数のサーバーに端末からのアクセスを分散させることで、高速性を実現しました。

本システムは、データの読み出しを高速に行えるため、ヘルスケア分野や、交通、セキュリティなどの社会インフラ分野で今後重要となるビッグデータ処理やM2M向けの処理などへの応用やスーパーコンピューターが担うような大容量データを高速処理するシステムに貢献することができます。

なお、本システムは、6月25日から28日まで福岡国際会議場で開催される第28回国際コンピュータ支援放射線医学・外科学会議(CARS 2014:大会会長 橋爪 誠 九州大学大学院医学研究院先端医療医学講座 教授)に展示する予定です。

近年、ビッグデータ活用など情報システムが扱うデータ量の飛躍的な増大を背景に、ますます多様化するデータベースシステムへのニーズに応えるため、今後も東芝グループが持つ幅広い技術を結集し、データベースシステムの開発を強化していきます。

注1 一般的なHDDを搭載したIAサーバ

注2 データベースの標準ベンチマーク(pgbench)で、データベースの同期性を有する条件で読み取り性能を比較し、500qps/W相当を記録。

新システムの概要

新システムは、機器のセンサーデータや個人情報などのデータを管理するデータベースが搭載された単一サーバを、データの同期性を保ちつつ並列に数百台を並べて即時アクセス処理を可能とし、必要な処理性能を拡張することができます。同期リプリケーション注3で常に同期のとれたミラーデータテーブル注4を配置し、ミラーを増設することで、400台連装までの処理速度の大規模拡張性を実現しました。

注3 データ複製をとる場合、複製元から複製先に更新データを送付し、複製先で完全に受信・記録が完了したのを確認して、複製元も更新完了を宣言する複製方式

注4 元データテーブルを、別の場所にリアルタイムに完全に同じ内容で保存されたデータテーブル

今後想定される応用例

大容量のデータをリアルタイムに高速処理する必要のある以下の領域において適用することができると考えています。
  • インテリジェント手術支援システム
    手術前の被験者のCT、MRI情報と手術中の内視鏡の大容量画像データをリアルタイムに3D画像に合成し、医師および手術アシストロボットへの手術ガイドデータとして提供できます。
  • 防犯用カメラ画像処理システム
    道路、駅、公共施設等多くの場所に設置された防犯カメラの大量の画像データをリアルタイム処理することで、入場口の監視カメラから望ましくない人物を特定して入場制限を可能とし、セキュリティを向上させます。
  • インフラ経年劣化モニタリングシステム
    高速道路・橋梁・トンネル等の社会インフラシステム経年劣化モニタリングへの適用し、画像データを含めた大容量センサ情報をリアルタイム解析することにより、これまでの歪センサーやGPS情報による位置ずれ情報といったデータ容量の小さいモニタリングをより情報量が大きい画像によるモニタリング、及びリアルタイムでのデータ処理・解析ができます。
  • 企業における業務・管理データの一元管理データベース
    企業の運営、管理情報(人事、営業、製造、調達、顧客など)の情報を一元管理し、各管理ラインでリアルタイムに業務分析、意思決定を可能にします。