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導入事例 株式会社安川電機

Innovation Report / 新製品の早期市場投入と徹底した製品品質の作り込みの実現を狙い、開発設計における業務改革を推進

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導入効果

見たい図面の入手に要する時間は1/10
クレーム対応の時間は約半分に

今回の導入によって、業務改革はどの程度進んだのか。同社は導入前から詳細なワークサンプリングを実施しており、効果の明確化に努めてきた。ワークサンプリングは全設計者が対象で、グループウェアを活用して、約30項目にわたる作業時間を記録。それらをモニタリングした結果、さまざまな業務で効率化が進んでいるという。ちなみに新製品のサーボドライブ「Σ-Vシリーズ」は、設計情報を試行的にPDMに入れて開発を行った。実際の開発設計業務で見えてきた効果を、高橋氏が次のように説明してくれた。

「実感として大きいのは、欲しい図面をすぐ入手できるようになったことですね。かつては設計した図面は保管庫に保管され、閲覧したい場合はそのたびに保管庫に出向いて探す必要がありましたが、現在は図面が電子化されてPDMに入力されているため、PCの端末から見たい図面をすぐ閲覧できます。ワークサンプリングの結果を見ても、設計に必要な情報を入手するまでの時間は、従来の10分の1以下に短縮されています」

他にも効率化された業務は多い。ナレッジマネジメントツールを活用して過去の失敗事例を漏れなくチェックしたり、細かな設計レビューを確実に実施する仕組みを構築することによって、設計起因の失敗が減り、クレーム対応の時間も約50%に減少。さらに図面を配付する業務もこれまでは手作業だったが、現在は大幅に短縮されている。同社は設計の品質に直接貢献しないこれらの業務を、低付加価値業務と定義づけている。それまで低付加価値業務に費やす時間は全体の業務時間の約15%を占めていたが、導入後は10%に減少。導入前と比べると全体の工数は増えていることを考慮すると、実質的には5%以上の短縮になっている。浮いた時間を設計のクリエイティブな業務に費やせば、設計起因の失敗が減り、さらに本来の業務に時間を費やせるようになる。この好循環に舵を切り替えられたことが、今回の導入の最も大きな成果といえるだろう。

将来展望

PDMとM-BOMとの連携で
迅速な営業活動もサポート

現在、同社は東芝ソリューションとともに、フェーズ2の開発を行っている真っ只中だ。フェーズ2では、PDMの上にプロジェクト管理パッケージ『ProjectMeister』を乗せるとともに、PDMをCADやM-BOMとも連携させる予定だ。

「弊社が目指している新しいインフラのイメージは、プロジェクト管理と連動したE-BOMによる成果物管理です。単純なE-BOM管理でも設計エビデンスを含めた設計成果物の一元化が可能となり、技術の伝承にも寄与していきます」(吉田氏)

プロジェクト管理が実現して開発の可視化が大きく前進すれば、開発期間の短縮も期待できる。それまで設計情報共有の仕組みが不十分であったため、進捗状況を都度照会することにより、次タスク開始時期を判断する必要が生じていた。しかし開発状況が可視化されれば、先行着手や新たな発生課題へ先手を打つことが可能となる。

また、同時に進めているM-BOMとの連携も大きい。製品の設計情報と生産情報が自動的につながれば、営業力の強化にも貢献するからだ。通常、1つの製品の設計にも、さまざまなバリエーションが存在する。例えばサーボドライブなら、モーターに合わせた容量によって複数のバリエーションがあるし、顧客のニーズに合わせたバリエーションもある。営業はそれらの派生情報を見て製品のシリーズ展開の予定を把握し、顧客への提案に活用することになる。

ただ、従来、派生情報は手作業で生産システムに落とし込んでいたため、生産情報の更新が遅れる場合もあった。そのため営業がその場で見積もりを提示したいケースでも、結局、設計に派生情報を問い合わせて確認する必要があり、それが迅速な営業活動を阻害する要因になっていた。

M-BOMと連携して設計情報を自動でERPに落とし込めば、設計からの情報提供がスピーディになり、営業も顧客の要望に対して迅速な対応ができる。また設計側も営業へ回答する業務の負担が軽くなり、さらに本来業務に集中できるようになる。

「これは営業にも設計にも大きなメリットのある部分なので、ぜひ早急に実現させたいですね。幸い東芝ソリューションさんとは、フェーズ1の構築を通して信頼関係を築くことができました。両社の関係も、いまや『言えばわかる』レベルから『言わなくてもわかる』に進化しているので、フェーズ2でもきっと満足できるシステムができあがると期待しています」と吉田氏が東芝ソリューションに寄せる期待も大きい。ちなみにフェーズ2の完成は07年7月末の予定だ。PDMの活用が広がることで、さらに同社の設計開発業務がどのように強化されていくのか。今後も要注目だ。

Solution Focus

ProjectMeister

製品の開発工程において、設計・開発に関わるすべての情報を一元管理し、工程の効率化や期間短縮を図る、プロダクトデータマネージメントと連携したプロジェクト管理を実現するソリューション。製造開発プロジェクトの「見える化」を実現して、製品開発のリードタイム短縮やコスト削減、コラボレーション設計を支援する。また100%Webベースのシステムで、企業グループ内での情報共有も容易に実現する。

COMPANY PROFILE

会社名 株式会社安川電機
創立 1915年7月
本社 北九州市八幡西区黒崎城石2番1号
代表 取締役社長 利島康司
資本金 199億円
従業員数 2,773名(単独)、8,056名(連結)(2007年3月20日現在)
事業 モーションコントロール事業、ロボット事業、システムエンジニアリング事業
URL http://www.yaskawa.co.jp/ (別ウィンドウで開きます)
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この記事内容は2007年4月に取材した内容を元に構成しています。記事内における数値データ、社名、組織名、役職などは取材時のものです。


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