先行IT調査チーム
リーダー
赤井 貴裕 様(左)
知的財産部
知財グループ
竹田 康二 様(右)
Case Study
製造
Category
プラットフォームソリューション
Solution
XMLソリューション
Product
TX1
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独自のブランド戦略と技術力でグローバルブランドとしての評価を高めるマツダは、大容量の非定型データを高速で検索できるXMLデータベースの活用を検討。先行評価のために選んだのは、膨大な特許情報を取り扱う社内開発者向けの特許情報検索システムだった。導入の結果、検索のレスポンスは大幅に向上。その結果を受けて、XMLデータベースのさらなる活用も視野に入れているという。
導入時期 2006年10月
before
RDBで構築した従来の特許情報検索システムはデータ件数の増加に伴いレスポンスが低下し、フリーワード検索の場合、数分たっても検索が終わらず、タイムアウトになってしまうケースが増えていった。その結果、ユーザーからの改善要求が多く寄せられていた。
after
検索のレスポンスが大幅に改善。ケースバイケースだが、コード検索に要する時間は以前の約1分前後から数秒に短縮。タイムアウトが多かったフリーワード検索も、10秒以内に検索結果が返ってくるようになった。新システムはユーザーにも定着して、アクセス数は約10倍になった。
導入背景
XMLDBの先行評価を目的に
適用可能なシステムを模索
マツダは、2002年より“Zoom-Zoom”(ズーム・ズーム:子供の時に感じた動くことへの感動)をグローバル・ブランドメッセージに掲げ、ブランド戦略を強化。走りの楽しさやデザイン、機能性などに「マツダらしい新たな提案や価値」を発揮した新世代製品群によって、日本国内のみならず世界のマーケットで存在感を示している。
こうしたブランド戦略の成果は着実に表れ、2002年には「マツダアテンザ」が2003RJCカー・オブ・ザ・イヤーを受賞、翌2003年には「マツダRX-8」が2004RJCカー・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど、2年連続でRJCカー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。さらに欧州カー・オブ・ザ・イヤーにおいても、2002年に「Mazda6(日本名:マツダアテンザ)」が2003欧州カー・オブ・ザ・イヤー2位、翌2003年にも「Mazda3(日本名:マツダアクセラ)」が2004欧州カー・オブ・ザ・イヤー2位と、2年連続で日本車中最高位を獲得。また2005年には「マツダロードスター」が「2005―2006日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、グローバルブランドとしての評価をより確かなものにしている。
マツダは新車の企画・開発から生産まですべてのプロセスにおいて、デジタル技術による革新を行う「マツダデジタルイノベーション(MDI)」を96年からスタート。このMDIを始めとして、同社はさまざまな業務で積極的にITを活用しているが、その先導役となっているのが、ITソリューション本部の先行IT調査チームだ。先行IT調査チームは、ITの技術トレンドを睨みながら、業務改善につながる最新のハードやソフトウェアを試験的に導入して、先行評価する役目を担っている。
06年初め、同チームは大容量かつ非定型データの管理に適した次世代のデータベースとして、XMLデータベースに着目。先行評価のための導入に適した社内システムを検討した結果、知的財産部が開発者向けに公開している特許情報検索システムに白羽の矢を立てた。
導入経緯
RDBで構築した検索システムはレスポンスに問題があり、
ユーザーからの改善要求が絶えず
知的財産部
知財グループ
竹田 康二 様
メーカーの開発者にとって、特許情報は重要な技術情報の1つである。何らかの課題に直面したときに特許情報を参照して技術的問題を把握するのはもちろん、他社の開発トレンドを予測して独自の方向性を打ち出すのにも活用している。
特許情報の数は膨大だ。日本で1年間に公開される特許情報は、約40万件。クルマづくりにかかわってくる特許情報は幅が広く、そのうち6〜7割は開発者が参照する可能性があるという。
これらの情報は、従来から知的財産部では商用データベースで検索し閲覧できる環境は整えていたが、開発者には公開していなかった。開発者に向けては、特許庁が毎週約5,000件ずつ公開する特許情報の中からクルマづくりにかかわるものをカテゴリ別に知的財産部がピックアップして開発部門ごとに紙で回覧させたり、開発者から個別の要望があれば、知的財産部が商用データベースなどで調べて回答するという方法を取っていた。
ただ、紙での回覧は一過性のもので再利用できず、また、知的財産部で個別対応するのでは回答には時間がかかりタイムリーさに欠ける。そんな中、昨今の急激なIT環境の進展に伴い、開発者自身が特許情報を自由に検索して、タイムリーに欲しい情報を閲覧できるシステムが切望され始めていた。
そこで同社は、01年に紙での回覧を電子化するとともに、02年にRDB(リレーショナルデータベース)を活用して、新たに開発者向けの検索システムを自社で構築。イントラネットで公開して、開発者がいつでも好きなときに利用できるような環境を整えた。
ところが、データ件数の増加に伴いこのシステムは検索のレスポンスが低下していった。あらかじめ知的財産部で分類したカテゴリに従って検索するコード検索の場合は、それなりのレスポンスがあった。しかし、自由に言葉を入力するフリーワード検索では、データベースのパフォーマンスが悪く、極端にレスポンスが低下。検索時間を最長5分に設定していたが、それでもタイムアウトが発生した。そのためユーザーからの改善要求が多く寄せられるようになった。
知的財産部知財グループの竹田康二氏は、当時を次のように振り返る。
「データの件数が多くなると、どうしてもパフォーマンスが落ちてしまうのが悩みでした。特許情報は93年から持っていましたが、それをすべて入力すると膨大な量になるので、01年分から登録。また開発に関係のない特許情報は事前に間引いて極力軽くするように努めたのですが、それでもレスポンスがいいとは言えませんでした。さらに毎週のように特許情報が追加されていくことも、将来的には大きな懸念材料でした」
先行IT調査チームからXMLデータベース先行評価の打診をされたのは、旧システムが手詰まり状態に陥っていた06年の4月のことだった。知的財産部にとって、この提案はまさに渡りに船。両部門の思惑が合致し、XMLデータベースの導入が決まった。
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