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導入効果
ホストコンピュータから完全に脱却し
販売店情報がリアルタイムで入手可能に
新しい販売管理システムは、これまでバラバラであったシステムを統合し、5つの本社と各販売店との資金・データの流れを整理して、可視化することを目的としていた。そのために、システム開発に先立って実施されたのが、5つの本社で異なっていた制度の統一であった。新システムの成果は、徐々に現れ始めている。
「システム導入前は、営業担当者が各販売店を回って情報を集め、紙にまとめた上で、そのデータを技術部門がホストコンピュータに入力していました。新システム導入後は、営業担当者がシステムにデータを直接入力するようになりました。その結果、これまでは1〜1.5カ月経たなければ分からなかった販売店の情報が、ほぼリアルタイムで確認できるようになりました」(岩木氏)
また、ホストコンピュータが完全になくなったことで、運用・管理面の負担が大幅に軽減されたと、西村氏は強調する。
「これまでは、東京本社ビルの五階にホストコンピュータのためのマシンルームがありましたが、現在は空いたスペースの有効利用を検討中です。また、ホストコンピュータの運用・管理に必要だったリソースが不要になり、コスト削減という意味では非常に大きいと思います。また、自社アプリケーション開発の要員は販売データの分析など新たな業務を担っています」(西村氏)
販売店の情報がリアルタイムで入ってくるようになったため、最終的に請求書を作成・印刷・発送するプロセスも大幅に効率化された。具体的には、システム側で請求書のPDFまでを作成し、それ以降の印刷・封かんの処理をアウトソースすることに成功したのである。
将来展望
今後の課題は、可視化された
データの分析と経営への活用
販売店の情報がほぼリアルタイムでつかめるようになったことで、今後は、把握したデータをどう生かすかが求められていると、関係者は口を揃える。
「これまでは、営業経費などの分析に時間と手間がかかっていましたが、今回のシステムにより、ほぼリアルタイムで確認できるようになったため、経営層からの期待も高まっています。われわれとしても、把握したデータをどう利用して、役員やスタッフに見せていくかが重要だと考えています。現在は、さまざまな検討をしているところです」(岩木氏)
なお、今回の販売管理システムには、情報分析用のBIツールがあらかじめ組み込まれている。その意図について、西村は次のように説明する。
「今後は、システムに求められるものも変わっていくと思います。今回のシステムにBIツールを組み込んだのも、そのためです。ただ単に販売管理を行うだけでなく、BIツールを使いこなし、蓄積されたデータを分析して、経営に役立つ情報を引き出していく必要があると思います」(西村氏)
現在は具体化されていないが、今回のシステムをほかの新聞社に展開することも視野にあるという。地方も含めると、日本には100を超える新聞社がある(日本新聞協会のデータによる)。作る紙面は異なっても、印刷して配送するという仕組みは共通しているため、具体化すれば多くの新聞社の注目を集めることになるだろう。
東芝ソリューションへの期待も高い。Maigateから数えると約7年の長期間にわたって関わってきた経験が持つ意味は大きい。後半からプロジェクトに加わったという制作技術局技術センターの新田利恵子氏も、次のように期待を込める。
「本システムで紙ベースであったデータをリアルタイムに入手するという当初の目的は、十分達成されたと思います。今後、そのデータをどう生かすかは、今後のわれわれの課題だと認識していますが、その展開のところで東芝ソリューションには、ぜひ引き続きご協力いただきたいと思います」(新田氏)
新聞業界を取り巻く環境が厳しさを増す中、まずは、無駄なぜい肉をそぎ落とし、筋肉質なカラダへと体質改善することが求められていると言えよう。今回の販売管理システムは、まさにその土台となるものだ。この土台の上に繰り出される次の一手が何か、全国の新聞社が毎日新聞社の一挙手一投足に注目している。
毎日新聞社 東京本社ビル
販売管理システム
販売店基本情報の管理を核とし、月次請求書作成に関わる各種の業務管理と、会計システムと連動した取引残高管理などを統合管理するソリューション。項目別・種類別に分類しながら業務情報を一元化し、分析ツールによる実績データの集計・分析が可能で、セキュリティ機能をもとに営業担当者レベルから局長クラスまで適切な情報開示を可能にする。また営業担当者による分散入力や、管理部による一括入力、FBデータによる入金処理など多彩な支援機能によって、請求・入金関連業務の大幅省力化を図ることが可能。
COMPANY PROFILE
会社名 | 株式会社毎日新聞社 | |
---|---|---|
設立 | 1872年2月21日 | |
東京本社 | 東京都千代田区一ツ橋1-1-1 | |
大阪本社 | 大阪市北区梅田3-4-5 | |
中部本社 | 名古屋市中村区名駅4-7-1 | |
西部本社 | 北九州市小倉北区紺屋町13-1 | |
北海道支社 | 札幌市中央区北四条西6-1 | |
代表者代表取締役社長 | 朝比奈 豊 | |
資本金 | 41億5000万円 | |
従業員数 | 3,200人 | |
通信網 | 総・支局101、通信部・駐在265、海外機関26 | |
印刷拠点 | 15工場 | |
事業 | 日刊新聞、雑誌、書籍の発行およびメディア事業、スポーツ・文化事業の企画開催 | |
URL | http://www.mainichi.co.jp/ (別ウィンドウで開きます) |
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この記事内容は2010年3月に取材した内容を元に構成しています。記事内における数値データ、組織名、役職などは取材時のものです。