お客様事業部
システム統括室
統合情報システム課
課長補佐
横田健樹 様(中)
お客様事業部
システム統括室
統合情報システム課
統合情報システム係長
尾ア準一 様(右)
お客様事業部
システム統括室
統合情報システム課
統合情報システム係
竹田祐一郎 様(左)
Category
業種ソリューション
Solution
オッズシステム
Product
――
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日本中央競馬会(JRA)が、全国10カ所の競馬場およびWINSをはじめとする37カ所の場外勝馬投票券発売所に、合計で約1200台設置している専用の情報端末がオッズボックスである。専用のプリペイドカードを使い、JRAの全国10カ所の競馬場で開催されるレースの最新オッズ(勝馬投票券が的中した場合の概算払戻率)や競走成績を、タッチパネル操作で簡単に印刷出力することができるというものだ。従来の端末は、文字放送信号を専用インタフェースで受信する方式をとっていたが、第2世代の端末はLANによるIP通信方式を採用。こうした新端末へのリプレースと管理サーバーの導入により、端末の一斉電源オン/オフ制御の実現や監視体制の強化も図られた。
導入時期
2008年
before
テレビ放送に含まれる文字放送信号を用いて、オッズボックス端末側にオッズ情報などのデータを配信していた。しかし、端末側から情報を収集する手段が乏しく、全国各地に設置された端末の監視と効率的な運用保守を行うことが困難であった。
after
オッズボックスの端末側で発生したエラー情報のほか、端末1台ごとの利用状況を統計情報としてセンター側で収集し、分析することが可能となった。これにより、用紙切れやハードウェア故障時などの早急な対処が可能となり、サービス品質の向上を実現した。また、経営の視点から、投資効果を検証することが可能となった。
導入背景
CLUB KEIBAのコンセプトのもとで
新たなファン層の獲得へ
日本中央競馬会法に基づく特殊法人として1954年に設立された日本中央競馬会(以下、JRA)は、農林水産大臣の監督下において中央競馬を主催・施行している。その設立趣旨は、「競馬の健全な発展を図って馬の改良増殖その他畜産の振興に寄与するため」とあり、一方で一般社会に対しても裾野の広い国民的レジャーを提供していくという意義を併せ持っている。
もっとも、近年における少子高齢化の進展やレジャーの多様化、景気の低迷などにより、競馬人口(総参加人員)は減少の傾向にある。そこでJRAとしては、世の中のニーズの変化をキャッチアップしたサービスやコンテンツの拡充を図り、新たな競馬ファン層を獲得していくことが求められている。この課題を見据え、JRAお客様事業部システム統括室統合情報システム課の課長補佐を務める横田健樹氏は、次のように語る。
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システム統括室
統合情報システム課
課長補佐
横田健樹 様
「現在JRAでは、“みんなで楽しむ競馬”の魅力を発信していくため、CLUB KEIBAをキーワードとするプロモーションを展開中です。“みんなでCLUB KEIBA”をテーマに、さまざまな誘い方・誘われ方のシーンをテレビCMなどでPRするほか、CLUB KEIBAのWebサイト、競馬場やWINS(場外勝馬投票券発売所)などで、お客様が直接ご参加いただける各種キャンペーンを開催しています。私どもの経営目標は、最終的には勝馬投票券(通称、馬券)の売上アップに行き着くのですが、その前段階として、お客様に競馬をより手軽に楽しんでいただくための環境づくりに注力しています」
そして、このJRAの考えは、IT投資のあり方にも強く反映されている。中央競馬では、各レースの発走時刻直前(2分前)まで勝馬投票券の発売を行っており、JRAでは、各地の発売窓口や自動発売機、電話、インターネットなどを通じて殺到する投票を、いかに確実かつスピーディに処理するかに主眼を置いたオンラインシステムの構築に全力を挙げてきた。引き続き、こうした基幹システムの整備・強化を推進していくのは当然のこと、「加えて、お客様が勝馬投票券を購入するに際して必要とされるさまざまな情報を、より簡便な形で提供するためのシステム構築にも、今まで以上に積極的に取り組んでいく考えです」と横田氏は語る。
導入経緯
勝馬投票券の組み合わせ数の
増大に対応した情報提供手法を模索
JRAが推進する情報提供サービス拡充への取り組みのひとつが、「オッズボックス」と呼ばれるシステムである。同システムは、全国10カ所の競馬場およびWINSをはじめとする37カ所の場外勝馬投票券発売所に、合計約1200台設置されている専用の情報端末において、専用のプリペイドカードを使い、開催されるレースの最新オッズ(勝馬投票券が的中した場合の概算払戻率)や競走成績を、タッチパネル操作で簡単に印刷できるというものだ。
同システムの原点は、1991年に導入された「オッズプリンタ」にさかのぼる。JRAお客様事業部システム統括室統合情報システム課統合情報システム係長の尾ア準一氏は、当時の状況をこう説明する。
「それまで枠番単位で発売していた枠連に馬番単位で発売する馬連が加わり、1レースにおける最大の勝馬投票券の組み合わせ数は、枠連の36通りから馬連の153通りへと大幅に増加しました。これに伴い、従来ディスプレイを用いて表示していたオッズ情報が、1画面では収まらなくなってしまったのです。そこで、お客様にご不便をかけないため、任意のレースのオッズ情報を紙で一覧できる仕組みを提供しようと、オッズプリンタを導入しました」
そして2004年には3連単の発売開始により、オッズ情報の組み合わせ数はさらに4896通りにまで膨らむことになった。
「こうなると、もはや単票式のプリンタでは印刷しきれません。そこで、ロール紙タイプのプリンタを内蔵した専用端末が必要ということになり、第1世代オッズボックスの導入へと至ったのです」と尾ア氏。
さらに、この第1世代オッズボックスのコンセプトを継承しつつ、データ配信インフラのアーキテクチャを全面的に見直すべく、第2世代オッズボックスの検討が始まった。
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統合情報システム係長
尾ア準一 様
「第1世代のオッズボックスは、文字放送信号を専用インターフェースで受信し、そこから指定されたオッズ情報を切り出して印刷するという方式を採用していました。しかし、地上波デジタル放送への移行によるアナログ放送の停波にともない、2011年7月以降、この方式は使えなくなってしまいます。そこで、第1世代オッズボックスが5年間の耐用年数を終え、ハードウェアのリプレース時期を迎える2008年をターゲットに、Ethernet LANによるIP方式でデータの受信を行う第2世代オッズボックスの導入計画を進めてきたのです」と尾ア氏は説明する。
こうしてJRAは、とりまとめた要求仕様を2007年1月に入札。大手メーカー数社が参加した競争入札となり、その結果、第1世代に続き第2世代オッズボックスについても東芝ソリューションが受注することとなったのである。
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