アジア最大の物流専門展示会
「国際物流総合展2018」レポート

更新日:2018年10月3日

2018年9月11日~14日の4日間、東京ビッグサイトにて、アジア最大の物流・ロジスティクス専門展示会である「国際物流総合展」が開催された。
13回目となる今回は、479社(2,435ブース)の物流関連企業が出展。
ベルトコンベアーやピッキングロボットなどの機械から配送管理アプリケーションまで、実に多彩なソリューションが展示・発表された。
最新のテクノロジーが集結する注目の展示会、その様子をレポートする。

「働き方改革」を支援する、ロボット、部品、ソリューションなどが集結!

「国際物流総合展」は、物流に関する機器、システム、車両、部品など、あらゆるものが展示される見本市だ。
「ロジスティクスの今を知り未来に触れる」というテーマのもと、国内だけでなく海外の企業を含む479社が出展し、4日間で約7万5,000人の来場者が訪れたという。

同展示会最大の特徴が、出展企業の幅広さ。
「保管機器システム」「仕分けシステム」「ピッキングシステム」「運搬車両」「パレット・コンテナ」「3PL」「情報機器・ソフトウェア」「エンジニアリング・コンサルティング」「リスクマネジメント」といった分野に関連する大小さまざまな規模の企業がずらりと揃い、開発中のシステムや試作機などを含む最新の機器・ソリューションなどがお披露目された。

全体を見渡して、特に目立っていると感じたのが、「働き方改革」を謳った展示物だ。
効率化・省力化、人手不足の解消をテーマにしたブースが多く、展示内容を案内する各企業のデモンストレーターからも「物流の働き方改革」という言葉が頻繁に飛び出していた。

東芝グループも「働き方改革」を支援するような機器・ソリューションを展示。
自動荷降ろしロボット、RFIDトンネル式ゲート、オートラベラー、移動式パレタイズシステムが物流拠点のラインのような形で並べられ、その周辺に、コンサルティング、倉庫管理ソリューションなどの説明スペースが設けられた。
物流拠点のラインを模した東芝グループブースのメイン展示
「これまではグループ各社で個別に製品を展示していたのですが、今回はグループ4社の製品を一連の流れで見せるような形にしたところがポイントです。
お客さまからも『各社製品の関わりがイメージできてわかりやすい』『グループの幅広さが伝わってきた』と好評でした。
東芝グループの総合力を訴求することができたのではないかと思っています」

こう語るのは、東芝インフラシステムズ ロボティクス・画像セキュリティ事業責任者の柚井英人氏。
4日間の展示で、確かな手ごたえを感じたと振り返った。
東芝インフラシステムズ ロボティクス・画像セキュリティ事業責任者の柚井英人氏

機械の力で荷物を運び、作業員の負担を軽減する
「直交型自動荷降ろしロボット」

「国際物流総合展2018」に出展した東芝グループの企業は、東芝インフラシステムズ、東芝テック、東芝デジタルソリューションズ、東芝ロジスティクスの全4社。
東芝ブースのもっとも目立つ位置に配置されていたのが、東芝インフラシステムズが開発した「直交型自動荷降ろしロボット」「ピースピッキングロボット」「移動式パレタイズシステム」だ。

なかでも注目を集めていたのが、「直交型自動荷降ろしロボット」。
重量のある荷物を、軽々とラインに供給できる。
重たい荷物を人力で供給するのはかなり負荷がかかる作業だが、機械の力を活用すれば、24時間、人の身体に負担をかけることなく、荷物を供給し続けることができるのだ。
荷物の形状は、RGBカメラと3Dカメラを組み合わせた独自の技術で解析され、特に設定などせずとも自動で識別できるような仕組みになっている。

複雑な設定をすることなく、ティーチレスに重い荷物を供給し、人の負担を軽減してくれるところがポイント。
来場者も、そのスムーズな動きと識別能力の高さに引き付けられている様子だった。
直交型自動荷降ろしロボット

ますます増えるRFIDに対応する、
「RFIDトンネル式ゲート」と「ロボットアーム型オートラベラー」

直交型荷降ろしロボットの先に配置されていたのが、東芝テックの「RFIDトンネル式ゲート」。
前後に自動開閉式のシャッターが設置されているところが特徴で、これによって、手早く確実にRFIDの情報を読み取ることが可能になったという。

「RFIDは、今、旬の技術です。
2017年4月、経産省が『2025年までにコンビニの全商品をRFIDで管理することをコンビニ5社と合意した』と発表しました。
この発表以降、注目度がどんどん高まっているなと感じますね。
今後ますます、RFIDタグを貼る作業と、読み取る作業が増えるはず。
そこにかかる負荷を、当社の機器を使っていただくことによって軽減できれば嬉しいです」

こう語るのは東芝テック オートIDソリューション営業推進部の家村雅弘氏。
トンネル式ゲートの隣ではオートラベラーが稼働しており、タグを読み取り、さらにタグを貼りつけるという作業が、すべて自動で行われる様子がデモンストレーションされていた。
RFIDトンネル式ゲート
ロボットアーム型オートラベラー

人や荷物の動きを見える化し、働き方改革を推進する!

物流拠点を模したデモ機器の横に、ひときわスマートな印象で展示されていたのが、東芝デジタルソリューションズの倉庫管理ソリューション「LADOCSuite」だ。
「LADOCSuite」は、在庫の管理だけでなく、作業の進捗や荷待ち時間などの“見える化”ができるシステム。
どのエリアの作業が終わっていて、どのエリアの作業が滞っているか、どこに待機時間が発生しているかなどが一目でわかり、これらのデータを参照することで効率よく人材を配置することができるようになるという。

他に、トラック内の温度や湿度をセンサーデバイスとスマートフォンで管理する「輸送品質見える化・分析クラウドサービス」、パレットやかご車にRFIDのタグを貼りつけ、配送ユニットの動きを見える化する「配送ユニットトレースソリューション」のデモンストレーションも実施。
3つのソリューションを使うことで、さまざまな角度から、手間をかけることなく情報を見える化することが訴求されていた。
東芝デジタルソリューションズの展示スペース
「『働き方改革』を全面に出した展示を行うのは、今回がはじめて。
足を止めてくださる方や、『ちょうど働き方改革のためのソリューションを探していた』と声をかけてくださるお客さまも多く、改めて、『働き方改革という言葉が注目されている』と感じました。
また、グループ他社と合同で展示を行うことで、『ソリューション、メカ、コンサルと、総合的に働き方改革について相談できる点が心強い』という、これまでの展示会にはなかったお声もいただいています」

こう語るのは東芝デジタルソリューションズ 流通・運輸サービスソリューション技術部の藤岡健太郎氏。
取材中も多くの来場者が足を止め、PCの画面や、システムと連動したスマートフォンなどに見入っていた。
東芝デジタルソリューションズ 流通・運輸サービスソリューション技術部の藤岡健太郎氏
また、「輸送品質見える化・分析クラウドサービス」「配送ユニットトレースソリューション」の説明を担当する同社流通・運輸サービスソリューション技術部の鞠谷達士氏は、「配送への意識が高まっていると感じた」と話す。

「空いているパレットやかご車が持って行かれてしまったり、作業員が情報を入力しそびれたりすることで、『正確な配送状況を把握するのが難しい』とお困りのお客さまが多いようでした。
当社の配送ユニットトレースソリューションなら、RFIDを活用し、情報入力の手間をいっさいかけずに配送状況を把握することが可能です。
RFIDの読み取り機をトラックの搬入出口に設置して、パレットやかご車のちょっとした持ち出しに影響されず、正しく荷物の動きを追えるようにしたところも特長のひとつ。
多くのお客さまが『こういうソリューションを探していた』と説明を聞いてくださいました」(鞠谷氏)
東芝デジタルソリューションズ 流通・運輸サービスソリューション技術部の鞠谷達士氏

経営レベルで物流戦略を考える「4PLコンサルティング」とは

最後にご紹介したいのが、経営レベルで物流の仕組を変えていく「4PLコンサルティング」を提供する、東芝ロジスティクスの展示スペース。
提供サービスのイメージが描かれた大きなパネルが掲げられ、「工場物流をかえたい」「輸配送・搬出入をかえたい」「国際間輸送をかえたい」「物流センターをかえたい」という4つの課題を解決するサービスがあることがアピールされていた。
東芝デジタルソリューションズの展示スペース
同社が提供するコンサルティングサービスは、3PL(Third Party Logistics)から一歩踏み込んだ、4PL(Fourth Party Logistics)という概念によって展開されている。
4PLとは、事業戦略を達成するためのロジスティクス戦略を立案し、改革を提案して、それをマネジメントやオペレーションに落とし込んでいく手法や考え方のこと。
単にオペレーションを引き受けたり、現場だけに注目した改革を行ったりするのではなく、例えば輸送コストを抑えるための製品設計やパッケージ開発を行ったり、協業を支援したりと、より大きな視野で総合的にロジスティクスから企業の課題を解決することを目指している。

「こうした特徴を、タブレットを使いながら丁寧にご説明しています。
より上流から、総合的に企業の課題を解決する、というスタイルに興味を持ってくださるお客さまが多いようです」

こう語るのは、東芝ロジスティクス 物流改革推進部の大野英俊氏。
続けて「東芝デジタルソリューションズと共同開発した活動量計も注目度が高い」と話してくれた。

「現場の作業員にリストバンド型の活動量計を身に付けてもらい、作業実績をデータ化して標準工数と比較し、無駄を洗い出すような仕組みをつくりました。
データに基づいて作業員を再教育したり、棚の配置を変えるなどして、大幅に業務効率を上げることに成功しています。
現場の方からは、『身に付けるだけでいい』『面倒な入力作業が必要ない』というところがとても好評でした」(大野氏)
リストバンド型の活動量計
ブースには活動量計の管理画面や、リストバンド型のデバイスも展示。
実際に腕にはめてみる来場者や、ウェアラブルデバイスを装着する来場者を興味深げに見守る人々の姿も見受けられ、関心の高さがうかがえた。

その他、最新の技術を活用した開発段階のシステムをはじめとする、次世代を感じさせる参考出展も。
物流業界が抱える課題を戦略とテクノロジーがドラスティックに変えていく、そんな未来を想像させる刺激的な展示会となっていた。