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イベントレポート 
データヘルス・予防サービス見本市2017

見本市レポート!データヘルス関連ソリューション最前線

年の瀬が押し迫った2017年12月13日(水)に、愛知県名古屋市にある“ポートメッセなごや”にて「データヘルス・予防サービス見本市2017」が開催された。30を超える企業や団体が出展し、2018年よりスタートする第2期データヘルス計画策定とその実行に関連したソリューションが数多く紹介されており、医療保険関係者や事業主など多くの参加者が会場に詰め掛けた。そんな活況を呈した見本市の様子とともに、医療費や有病率が増加傾向にある糖尿病に関する重症化予防の最新トレンドについて見ていきたい。

2017年のテーマは「協働・連携の深化から成果へ」

高齢化率が進む日本において、企業にとって従業員の健康づくりは重要な経営課題の1つとなっているが、2008年にレセプトの電子化に加えて健診データの電子的標準化が実現するなど、保健事業をPDCAサイクルで運用できる環境整備が着々と進んでいる。そして、2013年には政府が財政政策に続く“第3の矢”として発表した「日本再興戦略」にて、“国民の健康寿命の延伸”が重要な柱の1つに位置づけられることになったのは、皆さんもご存知のとおりだろう。この具体的な施策として登場したのが、すべての医療保険者が加入者の健康保持増進のための事業計画“データヘルス計画”だ。このデータヘルス計画の策定・公表、事業実施、評価などの取り組みを進めていくことが、今まさに求められているわけだ。

そんなデータヘルス計画を実施するために役立つソリューションが一堂に会したのが、2018年1月に開催される東京会場に先んじて名古屋で開催された「データヘルス・予防サービス見本市2017」だ。“協働・連携の深化から成果へ”をテーマに、セミナー会場では後期高齢者支援金の加算・減算制度やコラボヘルス事例、重症化予防などデータヘルスに関連した各種セミナーが開催され、展示エリアには「データヘルス計画(データ分析・計画策定)」「予防・健康づくりのインセンティブ」「生活習慣病の重症化予防」「健康経営・職場環境の整備」「わかりやすい情報提供」「後発医薬品利用推進」という6つのゾーンに分かれてソリューションが紹介されていた。ブース内でミニセミナーを開催する出展社も多く、ブースに立ち寄った多くの来場者が耳を傾けていた。

参加者注目のセミナー「コラボヘルス最新事例」

会場内に設置された2つのセミナー会場では、データヘルスに関連したさまざまなテーマで講演が行われたが、事前登録が必要だったこともあり、セミナーの多くが数日前から満席状態に。予約できなかった参加者が当日枠を求めて列に並ぶ姿も見られるなど、注目の高さがうかがえた。なかでも注目されていたのが、被用者保険組合と事業主が協働・連携する“コラボヘルス最新事例”だろう。

セミナーでは、特定非営利活動法人 健康経営研究会 理事長である岡田 邦夫氏が登壇し、コラボヘルスの重要性をはじめ、健康事業への取り組み方、健康に対する企業の効果的な投資について説明しながら、ミシガン州の公衆衛生局のデータを活用しつつ、企業が積極的に健康づくりに取り組むことで高い費用対効果を生むことが実証されていると説明。従来運用をしても費用対効果が出ないとされているが、実際には保健指導のクオリティを高めていかないと費用対効果が出てこないと力説した。

また、事業主側の代表として株式会社デンソー 常務役員 下方 敬子氏が登壇し、社員自ら意識を持って健康管理に取り組むための健康推進部に関する活動について紹介。肥満予防や特定保健指導、体力作り教室、社員食堂活用による食育、生活習慣改善に向けた情報の見える化、喫煙対策など、多くの活動を通じて全社をあげて健康づくりに取り組んでいると説明した。

そして被用者保険組合の代表として登壇した大和ハウス工業健康保険組合 常務理事 間野 尚志氏は、2017年に1業種から1社しか選ばれない「健康経営銘柄2017」に選定され、かつ「健康経営優良法人(ホワイト500)」にも選ばれたことを最初にアピール。評価の1つに挙げられたのが健康分析システムの導入で、データを活用した生活改善活動に積極的に取り組んでいる状況にあるという。健康保険組合の特色として、定期健診や特定保健指導などへの取り組みについて紹介し、データヘルス計画への注力ポイントにも言及した。

それぞれの立場から従業員、加入者の健康に対するアプローチの具体的な手法について紹介され、会場ではメモを取る方が多く見られた。

6つの展示エリアで注目されたソリューション

展示会場に目を向けると、30を超える企業や団体がデータヘルスに関連したさまざまなソリューションを展示。6つのテーマで区切られた各ゾーンでどんな展示が行われていたのか、その一部をご紹介しよう。

「データヘルス計画(データ分析・計画策定)」ゾーンでは、医療や健康情報をもとにデータ分析を行い、データヘルス計画の策定から対策実施、効果測定、計画の改善まで含めたPDCAを支援するデータヘルス計画トータルソリューションが紹介されていた。特定健診や特定保健指導の実施率向上をはじめ、重症化予防支援の効果向上やコラボヘルス・健康経営推進といった現場の課題を解決すべくコンサルティングを実施し、第2期データヘルス計画で策定した目標達成を支援してくれるものだ。データヘルス計画全体をうまく体系立てて進めていく仕組みだけに、事業主や医療保険者など関係者全体を巻き込んだ大規模向けのソリューションとなっていた。

「予防・健康づくりのインセンティブ」ゾーンでは、日々の活動によって重症化を予防し、健康づくりに貢献する各種ソリューションが数多く展示されていた。快適な睡眠やメンタルヘルスに関連したeラーニングから、スマートフォンアプリによる日々のウォーキング支援など、データヘルス計画におけるPDCAのDo部分を担うソリューションが中心となっており、なかには健診データをもとに詳細な分析を実施し、自身の健康状態を見える化、健康意識向上を図るためのナビツールを提供する企業も。腹部にベルトをまくだけで手軽に内臓脂肪面積が測定できるツールなど、ユニークなソリューションもあった。

「健康経営・職場環境の整備」ゾーンで注目したのは、自社の健康経営宣言に基づいて社内で取り組んでいるソリューションだ。ウォーキングなど取り組みやすいメニューからポイントを付与していく健康ポイントソリューションや診断の受診率を向上させるための受診率向上プログラムなど、実際現場で生かされている仕組みがそのまま活用できる形で展示されていた。また、労働適応能力と組織活性化ツールで健康経営を目指すソリューションを4社共同で展開しているところもあり、課題に応じてソリューションが柔軟に選択できる環境をそろえるなど、健康経営や職場環境へ具体的に落とし込む際に役立ちそうなものも見受けられた。

「わかりやすい情報提供」ゾーンでは、脳や心血管疾患の発症ゼロを目指し、血圧計を中心に日々の変化を収集していくソリューションが目を引いた。血圧は健康診断の時は問題がなくても常に変化していくため、その兆候をとらえるのであれば血圧測定の頻度を高めていくことが重要になる。もともと血圧計を提供しているベンダだけに、腕時計型の血圧計を参考出品するなど、情報取集の効率性を高めるためのソリューションとなっていた。

「後発医薬品利用推進」ゾーンは1つのブースだけの展示ではあったが、ジェネリック医薬品の差額通知ソリューションが紹介されていた。従来は紙で行われていた差額の通知を、会員登録を前提にWebやメールで通知するソリューションで、調剤レセプトから対象者を抽出し、医科レセプトなどから病名をチェック、実際にジェネリックに切り替えた場合の差額を通知することでその効果測定が可能となるサービスだ。まさに後発医薬品の利用促進につながるソリューションと言えるだろう。

そして「生活習慣病の重症化予防」ゾーンは、糖尿病や高血圧をはじめとした生活習慣病に対する重症化予防のためのソリューションがその中心だ。レセプト情報や生活習慣病の再発予防研究をベースにしたオンラインによる重症化予防支援を行うソリューションをはじめ、かかりつけ医との連携による健康づくり支援などのソリューションが展示されていた。興味深かったのは、LINEやSlackなど利用者の使い慣れたSNSを使った、遠隔による特定保健指導を行うサービスだ。対面での保健指導を補完するもので、栄養士など専門家のコミュニティを活用し、保険者の家族を含めた遠隔指導が可能となっている。また、健康診断が直接受けられない家族や特定保健指導後の効果測定などに役立つ輸送血液検査サービスでは、会場で実際に血液採取からその輸送までのデモを行うなど、多くの来場者が足を留めていた。

生活習慣病のなかでも注目される“糖尿病”に特化した重症化予防ソリューション

ゾーンごとに多くの人が詰め掛けていたが、なかでも重症化予防について来場者の関心が高く、熱心に話を聞いている来場者の姿が印象的だった。特に最近では、医療費や有病率が増加傾向にある"糖尿病"に着目した生活習慣病対策を中心に保健事業へ取り組む企業や自治体が増えており、その対策に興味を持っている関係者は少なくない。

残念ながら今回の見本市には未出展ながら、関心の高い糖尿病に特化した重症化予防ソリューションを提供する企業の1つとして注目されているのが、東芝デジタルソリューションズ株式会社だ。同社が提供する重症化予防ソリューションは、健診データやレセプトデータをもとに個人別データを生成し、独自の分析を行ったうえでハイリスク者を抽出、その情報をもとに施策案を提示し、重症化予防のためのPDCAサイクル支援を行ってくれるものだ。対象者の抽出には、提供されている薬のコードや診療行為を確認するだけでなく、紙レセプトも分析対象に加える徹底ぶりで、抽出条件も要望によって自由に対応でき、未治療者・治療中断者も逃すことなく、正確に分析・抽出が可能なノウハウを持っているのが大きな強みだ。

今回の展示会では、冒頭に紹介したとおり“協働・連携の深化から成果へ”が重要なテーマとなっているが、東芝デジタルソリューションズ株式会社が提供する重症化予防ソリューションも、まさに事業主と医療保険者、産業医や保健師などの医療職が一体になって取り組むコラボヘルスに活用できるものだ。昨今注目されている糖尿病に着目した重症化予防の仕組みだけに、データヘルス計画の具体的な施策の1つとしてチェックしておきたい。なお、このソリューションは実際に東芝健康保険組合にて活用されており、その事例も公開されている。ぜひ参考にしてみてはいかがだろうか。

ライタープロフィール

フリーライター:てんとまる社 酒井 洋和