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久慈市様

 

学校や公共施設に「電力見える化」システムを導入、省エネや環境教育への活用を目指す

再生可能エネルギー活用の第一歩として、電力見える化システムを市内29カ所の小中学校と公共施設に導入。その内、3校は太陽光発電設備を導入し、更にその内1校には蓄電池設備も併せて導入し、節電対策モデルに。小中学校には電力使用量を分かりやすく表示するディスプレイを設置、節電と環境エネルギー教育の推進を目指す。

導入前
再生可能エネルギー活用・供給拠点としての役割を担えるまちづくりの推進を目指していた。その第一歩として、小中学校と公共施設への電力見える化システムと太陽光発電・蓄電池の導入を計画。

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導入後
東日本大震災による被災からの復興を目指し、久慈市復興計画を策定。その基本方針のひとつとして、市内の小中学校24校と公共施設5カ所に電力見える化システムを導入(内3校には太陽光発電設備、その内1校には蓄電池設備を設置)し、電力の使用状況をディスプレイで分かりやすく表示。児童・生徒の節電意識の向上と環境エネルギー教育推進のきっかけにすることができた。

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導入の背景

再生可能エネルギー活用の第一歩として、電力見える化に取り組む
北限の海女北限の海女

2013年4月に放送が開始されたNHKの連続テレビ小説『あまちゃん』の主要舞台(番組では「北三陸市」)として有名になった久慈市は、岩手県北東部の沿岸地域に立地する人口3万6,000人余りの自治体だ。同市は、海女が漁をする国内最北端の地域で「北限の海女」のまちとして知られ、西側は標高1,000m以上の山嶺を有する北上高地の北端部、東側は太平洋に面して、小袖海岸などで知られる「陸中海岸国立公園」の北の玄関口となっている。総面積のうち、森林面積が87.3%を占めており、平庭高原の白樺林や久慈渓流が織りなす久慈平庭県立自然公園がある。

久慈市は2011年3月11日に起きた東日本大震災の巨大津波で大きな被害を被ったことを受けて、2012年7月に「久慈市復興計画」を策定、5つの基本的視点に立って、新たなまちづくりに取り組むことにした。その中のひとつである「水力、風力、太陽光などの再生可能エネルギーの活用・供給拠点としての役割を担えるまち」の実現のための第一歩として、久慈市では学校や公共施設における電力見える化システムと太陽光発電の導入事業を進めることにした。

久慈市教育委員会 事務局総務学事課 課長 米澤 喜三 氏の写真久慈市教育委員会
事務局総務学事課
課長 米澤 喜三 氏

その取り組みについて、久慈市 教育委員会事務局 総務学事課 課長 米澤 喜三氏は語る。「事業は、総務省の平成23年度被災地域情報化推進事業に、スマートグリッド通信インタフェース導入事業として応募、補助金の交付決定を受けました。その目的は、学校や公共施設などの使用電力を見える化し、電力使用量が設定値を超過した場合にはメッセージを流して、節電意識の向上と環境エネルギー教育の推進を図ること、そして、学校数校に太陽光発電や蓄電池を導入、節電対策モデルにすることです」。

具体的には、市内の小中学校24校と市役所などの公共施設5カ所、計29カ所において、電力使用量を見える化するシステムを導入、電力の使用状況をネットワークで管理し、使用状況をグラフィックに表示する。そして、設定値を超えそうな時にはアラームなどで、電力の使用状況を知らせて節電を促す。併せて、小中学校2校には太陽光発電設備、小学校1校に太陽光発電設備と蓄電池設備を設置、節電対策モデルとする。

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導入の経緯

東芝ソリューションが太陽光発電も含めてプロジェクト全体をまとめる
久慈市教育委員会 事務局総務学事課 庶務グループ 総括主査 中村 紀保 氏の写真久慈市教育委員会
事務局総務学事課
庶務グループ
総括主査 中村 紀保 氏

久慈市の要件にもとづき入札が行われ、選ばれた東芝の東北支社が中心となり、東芝の太陽光発電や蓄電池の部門と東芝ソリューションの電力見える化システム担当部門がチームを組み、東芝グループの総力を上げたプロジェクトとなった。全体のプロジェクトリーダーは東芝ソリューションが担い、電力見える化システムは、東芝ソリューションの「電力見える化クラウドシステム」をオンプレミス(自社運用システム)にて提供することとなった。

久慈市側のプロジェクト担当で、東芝との窓口役となった久慈市 教育委員会 総務学事課 庶務グループ 総括主査 中村 紀保氏が振り返る。「プロジェクトが実際にスタートしたのが2012年11月、期限は2013年3月末なので、時間が限られていました。そこで仕様書ではプロジェクト会議は月1回以上開催することとなっていますが、毎週1回開いて、課題や進捗状況を確認しながら作業を進めました。加えて、被災地支援事業なので、太陽光発電や蓄電池などの設置工事は地元の工事業者が担当しました。東芝グループの皆さんは短い期間の中で、工事のための設計書や指示も行わなければならず大変だったと思いますが、しっかり取り組んでくれました」。

プロジェクトで一番難しかったのは、太陽光発電設備と蓄電池設備、電力見える化設備(デマンド機器)の設置に関する工事仕様の設計だった。設計作業では、太陽光発電パネルの並べ方や枚数、配置場所、配線などを図面にする。それが各学校や公共施設で設置作業を行う地元の工事業者の入札のための設計書になる。それを作成し業者も交えて設計の確認を行い、詳細まで書き込んだ設計図を工事業者に渡して、設置工事を行っていった。

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導入のポイント

児童や生徒、地域住民が注目するように電力使用量表示画面を工夫

設備の据え付けは現地を調査して細かな指定を行ったが、学校によっては設備の状況などから予定した機材が使えず、見直しをしなければならないところもあった。また、電力見える化システムは、設置先の市役所や学校などの施設を停電させて取り付ける。そのため工事日は週末に行う必要があり、あらかじめ日程が決まっていて、その日までには部材を揃える必要があった。機材の中には電力センサーなどもあるため、別々のメーカーから個別に出荷してもらわなければならないこともあった。また、部材を現地に送ってみると、現地調整の段階で最適な部材は別のものだったことが分かり、現場の希望で変更を求められ、追加送付をしなければならないケースもあった。

一方、電力見える化システムで、電力使用量を表示するエントランス画面のデザインは、東芝ソリューションが東芝のデザイン部門とともに、教育委員会様のご意見を伺いながら創りあげていった。画面デザインは、児童や生徒が注目することを目標にして、節電目標を達成すると、四季折々で咲く花が変わり、卒業時期の3月に一番賑やかになるなどの工夫をした。また、久慈市の公式ホームページのトップ画面には、電力見える化システムによる施設ごとに、その日の電力使用量グラフが表示されるようになっている。

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導入の効果

学校での授業と併せて、節電や環境問題に関する意識向上をはかる
使用電力量の大型ディスプレイでの表示の写真使用電力量の大型ディスプレイでの表示

こうして、久慈市の小中学校24校と5カ所の公共施設で電力見える化システムの稼働が始まり、各学校では、毎日の使用電力量が大型ディスプレイで表示されるようになった(図)。ディスプレイは、児童や生徒の一番目に付く場所に置かれ、「現在の電力使用量」「今年使った電気の総量」「1時間ごとの電気使用量の合計」が分かるようになっている。

また、児童や生徒にゲーム感覚で視覚的に分かるように、省エネ目標を達成すると季節の花が成長したり、リスの走っている姿と汗の量で使用電力を表現したり、お正月や節句、クリスマス、学校イベントの時だけにキャラクターを登場させるなどの工夫がされている。

久慈市立平山小学校 校長 菊池 博文 氏の写真久慈市立平山小学校
校長 菊池 博文 氏

導入された電力見える化システムと太陽光発電装置と蓄電池装置の効果について、久慈市立平山小学校 校長 菊池 博文氏が語る。「災害が起きると、学校の体育館は地域の人たちの避難所になります。今までは発電機がなかったのですが、今は蓄電設備があるので、電気が供給でき、避難所の役割を果たすことができます。また、電力見える化システムのディスプレイは子どもたちが見やすい場所に壁掛け式で設置してもらいました。使用電力量によって、リスがクルクルとリングを走るので、子供たちが興味深そうに眺めています。6年生の3学期に環境やエネルギーについて学ぶ授業があるので、その中で教えることで、子どもたちにとってより身近なものに感じることができるだろうと思います」。

久慈市立小袖小学校 副校長 川戸 司朗 氏の写真久慈市教育委員会
久慈市立小袖小学校
副校長 川戸 司朗 氏

太陽光発電装置と電力見える化システムを導入した久慈市立小袖小学校 副校長 川戸 司朗氏も語る。「子どもたちは節電目標が達成されると、花が咲いたり、動物が増えていくのを楽しそうに見ています。ディスプレイは玄関部分に置いていますが、いつでも見られるので、子どもたちが節電や環境問題に関する意識を持つきっかけになります。画面はとても簡潔で、使用電力量や発電量が棒グラフになっているので、視認性が高く分かりやすいと思います」。

学校だけではなく、公共施設の使用電力量もホームページで確認が出来ることで、使用電力に関する関心が確実に高まっている。
「今後、学校や公共施設の電力使用量のデータが出てくれば、削減効果を明確に示すことができます。それによって、電力見える化システムが市役所の他部署や市民の間でも、より注目されていくと思います」と米澤氏は語った。

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将来展望

システムを活用、学校や公共施設でのさらなる節電・教育活動に取り組む
久慈市教育委員会 事務局総務学事課 米澤 喜三 氏(右)中村 紀保 氏(左)の写真久慈市教育委員会 事務局総務学事課
米澤 喜三 氏(右)
中村 紀保 氏(左)

電力見える化システムが稼働したことで、久慈市内の小中学校では、毎日、どれだけ電力を使っているかが目に見えるようになった。今後、久慈市教育委員会では、各施設や学校で得られるデータを使って、各学校の節電計画を立てていく予定だ。中村氏は「今、最大の問題は体育館の水銀灯と白熱灯です。体育館を使うと、電力使用量が非常に大きくなることが分かりました。これをどう減らしていくかを考えていきます。そのほかにも、データを集める中で、より深い観点で分析し、それをどのような計画にするかという点を考えていく必要がありますので、東芝グループには、引き続きアドバイスや協力をお願いしたいと思います」と語る。

久慈市では今後、小中学校での節電意識の向上や環境エネルギー教育の推進に向けて、今回導入した電力見える化システムと太陽光発電設備、蓄電池設備をさらに活用していく考えだ。


本事例への取り組み記事(東芝ソリューション社員インタビュー)はこちら

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お客様の情報

名称:
久慈市
市制施行:
平成18年(2006年)
市役所所在地:
岩手県久慈市川崎町1番1号
代表者(市長):
山内 隆文
人口:
35,924人(推計人口、2013年6月1日)
概要:
岩手県北東部に位置し、太平洋に面する市。市の中心部は久慈湾の奥部にある。三陸復興国立公園の北部に位置し、国内最北端の海で漁をする「北限の海女」の町。また、世界有数かつ国内最大の琥珀の採掘産地としても知られる。
URL:
http://www.city.kuji.iwate.jp/cb/hpc/index.html別ウィンドウで開きます
久慈市観光PR写真
久慈市観光イメージ:つりがね洞、ワカメ漁、琥珀

本記事は2013年7月10日に取材した内容をもとに構成しています。記事内における数値データ、組織名、役職などは取材時のものです。

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