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エフピコ物流株式会社様

 

SCMに求められる精度の高い在庫管理に貢献 顧客の成長とともに拡張する倉庫管理システム「LIGNS-R」

6,000ものアイテム数を誇る自社製品と30,000を超える他社からの仕入商品の在庫精度を高めるため、全国に展開する配送センターおよびピッキングセンターに倉庫管理システム「LIGNS-R」を導入。無線ハンディターミナルを活用して入出荷処理の精度を高め、自社製品と仕入れ商品の同梱によって配送する小口数を減らし顧客満足度の向上を成し遂げる。

導入前
ビジネスの拡大に応じて自社製品を含めた仕入商品のピッキングに対するニーズが急増。SCMシステムによってサプライチェーンが有効に機能している自社製品と同様の、在庫精度が高く、効率的な仕組みを実現したい。

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導入後
これまで自社製品向けに展開してきた倉庫管理システムを仕入商品のピッキングにも応用。顧客に配送する小口数を13%減少させ、結果的に顧客満足度の向上を実現。また、効率化により経済効果を上げ、さらなる競争力の強化にも取り組んでいる。

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導入の背景

SCM導入によって必要となった精度の高い在庫管理を求めて
数万種類にものぼる取扱品を保管する倉庫の写真数万種類にものぼる取扱品を保管する倉庫

1962年に広島県福山市にて創業、今年で50周年を迎えた株式会社エフピコは、スーパーマーケットや食料品店などで使用される簡易食品容器(食品トレー)の専業メーカーである。売り場づくりを提案するイベントの定期開催をはじめ、顧客とともに製品開発を行うためのキッチンスタジオを有するなど、よりユーザーの視点に立った製品開発で業界をリードしている。この簡易食品容器の保管から全国の顧客への配送を手掛けているのが、物流子会社であるエフピコ物流株式会社だ。同社では、製品をロット単位に保管して配送する全国7ヶ所の配送センターと、顧客のニーズに合わせて製品を小口に分けて出荷する、ピッキングセンターを11ヶ所保有。メーカーの物流子会社としての顔を持ちながら、共同配送の形で仕入商品も一緒に配送する卸売の機能も備えるなど、顧客のニーズに合わせた資材の配送によって差別化を図っている。

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エフピコ物流株式会社様の写真エフピコ物流株式会社様

同グループの物流における基本的な考え方は、自社での内製化だ。現在は、物流業務を行う倉庫は主に自社にて保有しており、延べ床面積でおよそ16万坪(東京ドーム11個分*1)を誇る膨大な施設となっている。「自社倉庫の割合は93%ほどに達しています。自社で運営することは償却資産などの面でリスクも伴いますが、借庫に比べてコストを圧縮できます。コストがマネージメントできるというメリットは大きい」と代表取締役社長 小泉 哲氏は物流への考え方をこう語る。

そんな同社がWMS(Warehouse Management System)と呼ばれる倉庫管理システムを導入したのが2001年のころ。ホストにある受発注データや入荷情報、製造情報などをベースに紙による在庫管理を行っていたが、販売計画から原材料の調達、製造、在庫管理など製品全体の流れを管理するSCM(Supply Chain Management)システムの導入を機に、在庫を正確に把握できる倉庫管理システム導入を決意することになる。

*1)160000÷0.3025÷ドームの敷地面積(建築面積)46,755平方メートルで計算。

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導入の経緯

ピッキングのニーズが飛躍的に向上、WMSの拡充を計画

同社が内製化にこだわるのは、製品に占める物流比率の高さが理由だと小泉氏。「食品容器は、かさばる割には単価が安いものです。売上に占める物流費は、付加価値の高い商品を扱っている企業なら1〜2%程度が一般的。しかし、単価が安くてスペースが必要な食品容器は、トラックにもそう多くは積みこめない。結果として、売上の10%ほどが物流費となってきます。この物流費をいかに抑えるのかが価格競争力に繋がります。だからこそ、リスクはあるものの、価格がマネージメントできる自社倉庫にこだわっているのです」。

エフピコ エコトレーの写真業界初のエコマーク商品に認定されたエフピコ様の「エフピコ エコトレー® エフピコ エコAPシリーズの写真「エフピコ エコAPシリーズ®
これまで難しいとされていた透明容器のリサイクルもスタート

以前から、資材の調達から製造、在庫管理、製品の配送までを統合的に管理できるSCMの導入を計画していたが、特に在庫管理の徹底は同社にとって急務だったと小泉氏。「在庫管理が徹底できていなかった以前は、製品の先入れ先出しなどの鮮度管理を含めた在庫管理に課題がありました。そこで、SCMを推進すると同時に、WMSと呼ばれる倉庫管理システムの導入を検討しました」。

そこで、新たに設立されたSCM本部のもとWMSの検討を開始し、東芝ソリューション(当時は東芝)が提供する「LIGNS-R」が選ばれる。このWMSは、2001年に第一段階として製品をロットで保管している配送センター(DC)に導入され、その後、第二段階として製品を小分けして店舗単位にピッキングを行うピッキングセンター(PC)への展開を実施。「SCMを導入したことで販売計画をベースに製造計画が立案できるようになり、倉庫への入荷予定も正確なものになりました」。

しかし、これはあくまで自社製品だからこそ。外部から調達する、例えばアルコール洗剤や長靴などの資材をはじめ、容器に貼るセール用のシールや弁当の中に入れるバラン、菊の花など食品資材については、製造計画に当たる正確な仕入計画が存在しておらず、入荷実績から在庫引き当てを行う簡易の仕組みのみが稼働していたという。ただ、自社製品を含めた仕入商品のピッキング業務がビジネスとして飛躍的に拡大したことで、正確な在庫管理が求められるようになった。「製品における在庫管理と同じように、社外からの仕入品、いわゆる商品についても自社製品同様の在庫管理を目指し、WMSを展開することになったのです」(小泉氏)。

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導入のポイント

現場の運用が反映された“リアリティ”のある仕組みだった

2001年当時、複数の倉庫管理システムの中から東芝ソリューションが提供している「LIGNS-R」が選ばれたのは「リアリティがあったから」と小泉氏は当時の担当責任者からの報告を振り返る。製品を選定する過程で、東芝グループが実際に行っている物流の現場に足を運び、その使い勝手を担当者が見学する機会があったのだ。「市販されている多くの倉庫管理パッケージが“売るため”に作られていたという印象でした。しかし、LIGNS-Rは当時の東芝物流(現在の東芝ロジスティクス)が現場の視点に立って"使うために“開発したもので、実際にLIGNS-Rで運用している現場を目の当たりにし現場の運用がしっかりシステムに反映されており、他の製品に比べてリアリティを感じたと報告を受けたのです」と小泉氏。

そこで、第一段階に当たる配送センターへの導入を皮切りに、第二段階として製品を小分けして店舗単位にピッキングを行うピッキングセンターへLIGNS-Rを展開。そして、これまでWMSにて在庫管理を行っていなかった仕入商品にも新たに展開すべく、製品を小分けしていたピッキングセンターと仕入商品を取り扱っていた倉庫を統合し、同一梱包にて配送する第三段階のWMSが2011年より動き始めることになる。

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導入の効果

87%にまで配送の小口数を圧縮、在庫精度の向上にも寄与
小泉 哲 氏の写真代表取締役社長
小泉 哲 氏

現在は、関東と福山の二大拠点を中心に、北海道や東北、中部、九州の各配送センターおよび関東、福山、中部、西関東のピッキングセンターに無線ハンディターミナルが350台ほど導入され、6,000ものアイテム数を誇る自社製品と30,000アイテム数を数える他社からの仕入商品に対する在庫管理を行っている。基本的な流れとしては、入荷予定情報に基づいて無線ハンディターミナルにて入荷検品を行い、指示されたロケーションへ製品および商品を搬送することで在庫実績として確定させる。出荷の際には、ピッキングリストをベースに指定のロケーションから必要な数量の商品をピッキングし、出荷検品を経て出荷されるといった運用だ。

今回新たに導入した第三段階のWMSでは、分納などに対応した仕入商品の入荷検品フローや入庫シールの出力などの機能を新たに追加し、仕入商品の在庫管理を強化する仕様が加わっている。また今回のWMSでは、これまでの仕組みと位置付けが異なっていると小泉氏は指摘する。「これまで構築してきた仕組みは、メーカーとして“何をしないといけないのか”という課題から来たものです。実際には、製品の鮮度管理や在庫管理をしっかり実施することで、製造効率や在庫効率を上げていく必要がありました。しかし、今回の仕組みは“梱包箱をもっと減らして欲しい”というお客様の要望から出たものでもあるのです」。現在は関東と中部のピッキングセンターで自社製品と仕入商品の同梱を行っているが、顧客に届ける小口数を13%減少させることに成功、顧客からも保管場所が少なくて済むと感謝の声を頂いている、と小泉氏は評価する。

ただし、仕入商品の在庫管理については、自社製品ほどの精度にまでは至っていない部分もある。「自社製品であれば入荷予定通りに製品が製造されますが、仕入先はそう簡単にはいきません。だからこそ、取引先企業とともに成長していく必要があります」。また、現在は自社製品と仕入商品が別々のスペースに置かれており、作業効率が改善していない面もある。「品物に関係なく、よく出荷されるものをまとめて置くなど、効率的な導線管理も含めたロケーション配置について工夫することで、作業効率をさらに高めていきたい」と小泉氏は意欲を語る。

開発および導入を支援している東芝ソリューションに対しては「私から現場に出す指示は、基本的に早急な対応が必要な内容ばかり。それにしっかりと対応いただいているという面でも大変感謝しています」と小泉氏。

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将来展望

ピッキング効率の改善と東芝ソリューションに対するさらなる期待
小泉 哲 氏の写真

すでに一部のピッキングセンターで自社製品と仕入商品を同梱させて配送する仕組みを稼働させているが、今後は仕入商品の発注精度をこれまで以上に高めながら、完成度の高い製品の仕組みにどこまで近づけていけるのかが課題だと小泉氏。「自社製品は、販売計画から在庫管理に至る一連のサプライチェーンが有効に機能するまでにSCMシステムが成長したことで、ほとんど欠品が発生しない状況にまで成熟しています。仕入商品も同様のレベルにまで引き上げていきたい」(小泉氏)。

また、ロケーション配置も含めたピッキング効率を高める工夫を現場とともに取り組みながら、さらに“一緒に梱包できるもの”と“一緒に梱包して欲しくないもの”を現場ごとにしっかりと分析し、小口数を最小限にまで抑えることで顧客満足度を向上させるための様々な施策にも取り組んでいきたいという。

東芝ソリューションに対しては、「今後も拠点の拡張計画があるため、様々なソリューションを検討する必要があります。私たちのビジネスについても今まで以上にご理解戴くとともに、従来通り自前の商品にこだわらずパートナー企業が提供している良いソリューションを活用いただくなど、お互いに持っている情報はすべて開示できるよう、これからも信頼で結ばれたパートナーシップを継続していきたい」と期待を寄せている。東芝ソリューションは、エフピコの戦略と流通業界の将来をしっかりと見据え、今後のエフピコの成長のため、その力の総てを発揮していくだろう。

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お客様の企業情報

会社名:
エフピコ物流株式会社
設立:
1979年7月
代表者:
代表取締役社長 小泉哲
従業員数:
91名(2011年3月31日現在)
本社所在地:
広島県福山市箕沖町127-2
事業内容:
スーパーマーケットや食料品店などで使用される簡易食品容器(食品トレー)の専業メーカーである株式会社エフピコの物流を請け負う。メーカーの物流子会社としての顔を持ちながら、共同配送の形で仕入商品も一緒に顧客に配送する卸売の機能も併せ持つ。
導入プロダクト:
LIGNS-R
URL:
http://www.fpco-logistics.jp/別ウィンドウで開きます

本記事は2012年9月4日に取材した内容をもとに構成しています。記事内における数値データ、組織名、役職などは取材時のものです。

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