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社員インタビュー

タブレット端末にAI搭載、音声認識によるセルフオーダーを実現
沼津魚がし鮨様で、お客さまから高い評価を得る

 人手不足が深刻化する中、東芝テックは飲食業界向けにお客さま自身がタブレット端末で注文するセルフオーダーシステムを提供、多くの店舗で採用されている。このシステムをさらに発展させて、食事をもっと楽しめるようにしようと、東芝のコミュニケーションAI「RECAIUS(リカイアス)」の音声認識ミドルウェアを組み込んだタブレット端末を使用し、2019年の「沼津魚がし鮨 沼津港店」における実証実験で、お客さまから高い評価を受けた。この取り組みについて、東芝テックと東芝デジタルソリューションズの社員に話を聞いた。

導入の背景

効率性とエンターテインメント性を両立させた
セルフオーダーシステム

 東芝テックは、POSシステム、デジタル複合機、自動認識システム、インクジェット技術などを有し、店舗、物流、製造、オフィスの各領域をつなぐ幅広いソリューションを提供する企業だ。人手不足が大きな社会問題となり、外国人スタッフも増えている中で、飲食店では店舗をいかにスムーズに運営するかが大きな課題となっている。東芝テックはお客さまが好きな時に気兼ねなく注文できるタブレット型セルフオーダーシステム「Relax Order」を提案。店側は少ない人員でのより良いサービス提供が可能となり、機会ロスの削減、提供時間の短縮を実現。このセルフオーダーシステムは、焼き肉店、居酒屋を始め、追加オーダーが多い業態を中心に普及し、今後も大きな伸びが期待されている。

福田 匡史氏

東芝テック株式会社
リテール・ソリューション事業部
商品・マーケティング統括部
飲食店・ISソリューション商品部
飲食店ソリューション担当

福田 匡史氏

 「セルフオーダーシステムを提供することで、飲食店のオーダー業務の省力化の対応はできるようになりました。ただお客さまに食事を楽しんでもらうのが飲食店の本来の目的ですから、そこに向けた付加価値を付けていかなくてはなりません。そのために効率性とエンターテインメント性を両立させ、お客さまの満足度を向上させることができないかと考え始めたのです」と東芝テック リテール・ソリューション事業部 商品・マーケティング統括部 飲食店ソリューション担当 福田匡史は語る。

 そこで、長年、東芝テックと共に新たな価値の創出に取り組んできた東芝デジタルソリューションズと共同で、効率性とエンターテインメント性の両方を実現する製品開発プロジェクトを立ち上げた。東芝テック 商品・技術戦略企画部 リサーチ&デベロップメントセンター 参事 関根直樹は、「東芝テックには、各事業部を横断して共通の要素を先行開発していくR&Dセンターがあります。その中で、私は20年間、音声技術を製品に取り込むための研究開発を担当しています。その経験が、今回、音声認識ミドルウェアを組み込んだタブレット端末の開発に大いに生きると思いました」と説明する。

導入の経緯

店舗などでメニュー音声と環境音を収録、
実用化に向けて精度確認

 東芝テックは、東芝デジタルソリューションズと共同でRECAIUSの音声認識ミドルウェアを組み込んだオーダー端末のデモ機を開発、2019年3月の展示会「リテールテックJAPAN」で紹介した。来場者へのヒアリング結果から、音声入力に大きな可能性があると判断。タブレット端末の新モデル開発に合わせた実用化プロジェクトを本格的にスタートさせた。

 まず最初のハードルは認識精度である。実際の店舗で使用した場合、どの程度正解するのか、プロジェクトメンバーが店舗などの実環境で音声を収録し、シミュレーションを行うことにした。例えば、メンバーがフードコートの雑踏の中で100種類ぐらいのメニューを読み上げて録音。それをRECAIUSがどの程度認識できるか分析した。実際には、認識する言葉は膨大な数に上り、音量や、飲食店の中の環境音の影響も様々であった。そこでメニューを読み上げた音声と環境音を別々に録音、両者を計算機で組み合わせ、実験室でパラメータ調整などを行いながら、様々なシミュレーションを3、4カ月かけて行った。

吉岡 寿朗氏

東芝デジタルソリューションズ株式会社
RECAIUS事業推進部
事業・商品開発部
事業開発第二担当 主任

吉岡 寿朗氏

 「東芝テックとの間では、たとえ認識率が100%でなくとも、どうすれば使えるかという地に足のついた現実的な議論をすることができました。さまざまな視点でシミュレーションし、結果的にタブレットに組み込んでも大丈夫だと判断することができました」とRECAIUS音声ミドルウェアの商品企画を担当する東芝デジタルソリューションズ RECAIUS事業推進部 事業・商品開発部 事業開発第二担当 主任 吉岡寿朗は振り返る。

 また「社内では他社ベンダーを推す声もありましたが、当社に寄り添ってもっとも丁寧に分析に付き合ってくれたのが、東芝デジタルソリューションズでした」と関根は語る。

導入のポイント

お客さまの発声で注文したいメニューの検索が可能に

 次のハードルは、お客さまに使って頂ける協力実験店探しである。「新しいことにチャレンジする気持ちにあふれていて、やってみようと言ってくれたのが『沼津魚がし鮨』様でした。承諾くださった時は本当に嬉しかったですし、ほっとしました」(福田)。

吉田 純氏

東芝デジタルソリューションズ株式会社
ICTソリューション事業部
流通・運輸ソリューション営業部
流通・運輸ソリューション営業第一担当 参事

吉田 純氏

 そして、東芝テックのタブレット型セルフオーダーシステムに、音声認識機能が組み込まれ、お客さまの発声でメニューを検索する機能が追加された。お客さまがタブレットに向かって食べたい料理や飲み物の名称を言う。例えば「まぐろ」と言うと、関連する刺身やお造り、握りなどが候補として画面に表示されるので、その中から選んで画面の買い物カゴに入れ、注文をする。「生中」などいろいろな呼び方があるビールなどは、どんな呼び方でもメニューが画面に表示されるように、複数の表現が音声認識辞書に組み込まれている。「ビールに限らず、お客さまの求める商品が適切に画面に表示されるようにするために、音声認識辞書をはじめ、いろいろな仕組みを作り込んでいます。関連するメニューや類似候補も表示することが可能になっているのです」と東芝テックとの共創を担当する東芝デジタルソリューションズ ICTソリューション事業部 流通・運輸ソリューション営業部 流通・運輸ソリューション営業第一担当 参事 吉田純は語る。

 2019年8月、ついに音声認識が搭載されたセルフオーダーシステムが沼津魚がし鮨 沼津港店で試験運用された。そして画面の見やすさ、使いやすさまでを含めてテスト・評価し、画面デザインなどの改善にも取り組んだのである。

導入の効果と将来への展望

400人を超すお客さまからの評価を受け、製品化の検討を加速

 実際に、音声認識が搭載されたセルフオーダーシステムを利用したお客さまからは、「タッチパネルに手を触れずに操作できて自分が食べたいものを探すことができるし、探す時間も短くなった」と好評だった。また、アンケートでは400人を超える人たちから実際に使ってみた感想や意見が寄せられた。「『使うのは恥ずかしくないか』という質問に対しては、恥ずかしいという人はほぼおらず、『認識精度はどうか?』について否定するような声も殆どありません。『音声を使ったオーダー』に抵抗ない、という声も80%を占めていましたので、全体的に見て、肯定的な評価が多く、いよいよ音声認識の時代が到来したと実感しました」(関根)。
また、ファミリー層だけでなく、年配者からも好評で、今回の実証実験では広いお客さまに使ってもらえる可能性を見出すことができた。

関根 直樹氏

東芝テック株式会社
商品・技術戦略企画部
リサーチ&デベロップメントセンター
ソフトウェアコンポーネント担当 参事

関根 直樹氏

 「今後は、例えば『きょうはパスタが食べたい』というと、音声対話で『トマト味がお薦めです』など、店員に代わって対応できるようなシステムを考えています。このような取り組みは、飲食業界が抱える人手不足という課題に対して、解決の一助となります」と関根はさらなる未来を語る。

 また「今回の取り組みを通じ、RECAIUSが人の働きを支え、コンシェルジュのような役割を担っていく、その第一段階が始まったと考えています」と吉岡も同調する。

 

 東芝テックでは、今回の成果を受け、今後、音声認識機能を搭載したタブレット型セルフオーダーシステムの製品化に向けた取り組みを加速させていく。RECAIUSの音声認識機能を組み込んだこのセルフオーダーシステムは、飲食店の接客業務をさらに大きく変革し、飲食店の未来をより良く変えていくだろう。

プロジェクトメンバーの皆様

お客さまからの声:沼津 魚がし鮨 沼津港店 店長 匂坂様

匂坂様

沓間水産株式会社 魚がし鮨 沼津港店 店長

匂坂様

AIの入った仕組みを取り入れたオーダー端末を活用したのは初めての試みでした。ご来店されたお客さまが端末に話しかけると、その言葉(音声)に反応して検索し、メニューを絞り込んで画面に表示してくれるという事で、画期的だと思いました。当店は鮨屋ですので、年配のお客さまも多くいらっしゃいます。端末を使い慣れておらず、どのように検索したらよいのか戸惑う方もいらっしゃいます。ですので、音声で話しかけられるのは、とても良い仕組みだと思いました。
当店では、外国のお客さまも多いので、今後は、色々な言語に対応できるシステムを期待しています。会社としては次の時代に向けて、新しいシステムや仕組みをどんどん取り入れようとしています。ぜひ、ほかの店舗でもこのような事をやっていけたらよいと思います。

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この記事の内容は2020年2月に取材した内容を元に構成しています。
記事内における数値データ、組織名、役職などは取材時のものです。

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