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お客さまインタビュー

専門性の高い「ネット遺言信託相談サービス」の展開を短期間で実現
Webの活用により、顧客との接点を拡大

カンパニー:三井住友信託銀行 × ネット遺言信託相談サービス

プロジェクトメンバーの皆様

 国内唯一の専業信託銀行として、資産の世代間移転を支援する幅広い商品・サービスを提供している三井住友信託銀行株式会社。Webサイトにて「遺言信託」の相談を始められる「WEB遺言信託サービス」を提供している。この仕組みの基盤となっているのが、東芝デジタルソリューションズ(以下、東芝)が提供している「ネット遺言信託相談サービス」だ。

高齢化が進み相続対策ニーズが高まる中、お客さまに「遺言信託」を身近に感じてもらえるよう検討したのが、店舗に来店をしなくてもWeb上で遺言信託の相談を始められるサービスの仕組みだった。また、相談が増加する中、効率的に業務を進めることができる仕組みも構築したいと思っていた。

東芝の「ネット相続相談サービス」に実装された機能をベースに、同社のノウハウを活用しながら短期間でサービスを導入。柔軟なカスタマイズが可能な仕組みだからこそ、利用者が入力しやすい環境を整備することができた。これまで遺言信託が身近でなかったお客さまや相談の時間がとれなかったお客さまにも、WEB上で時間や手間をかけずに遺言信託の相談できる環境を実現。店頭でも活用することで、効率的な相談フローの構築にも成功した。

導入の背景

導入の背景:遺言信託における新たなチャネルを開拓

 三井住友信託銀行株式会社は、「The Trust Bank」をコーポレートスローガンに、専業信託銀行グループの中核企業として個人・法人に向けた各種ソリューションを提供している。

 個人向けのソリューションとしては、預金業務から相続関連業務まで幅広いサービス領域において、「銀行・信託・不動産」を一体とした高度な専門性と総合的な解決力を発揮している。

藤田 基氏

人生100年応援部 主任調査役

藤田 基氏

 医療技術の進歩等によって平均寿命が延び、まさに「人生100年時代」を迎えている日本。この時代にマッチしたソリューションを提供すべく、2019年4月に“人生100年応援部”を設置。長寿化により多様化するニーズを的確にとらえながら、信託銀行グループならではのノウハウを生かした各種ソリューションを展開している。

 今回、同部で検討を開始したのが、遺言書作成の相談から遺言書の保管、遺言の執行まで、相続に関する手続きを請け負う「遺言信託」における新たな相談チャネルの開拓だった。「数年前の相続税法改正によって新たな課税層が登場したことを受け、相続や遺言に関するサービスラインアップを拡充してきました。ただし、利用するには当行へご来店いただく必要がありましたので、今回のような新しいサービスを検討し始めたのです」と人生100年応援部 主任調査役 藤田 基氏は当時を振り返る。

導入の経緯

顧客との接点を増やしながら、効率的に業務を進めるツールとしての活用も目指す

 Webサイトというチャネルに目をつけたのは、自然な流れだったという。「Webサイトを商品やサービスの入り口にすることで、電話はしづらいという方であっても、困りごとを相談してみようという流れを作り出しやすい。そこで、他行に先駆けてサービスの開発を進めようと考えたのです」と語るのは、デジタル企画部 企画チーム 調査役 髙橋 菜穂子氏だ。

 これまで遺言信託の顧客は、主に高齢の方が中心だが、民法改正なども影響し、早くから相続対策を検討される方が増えてくると想定していた。「今の60代の方の多くがスマートフォンを持っており、おそらくITリテラシーを持った高齢のお客さまもこれまで以上に増えてくるはずです。対面でのご相談は従来通りに重視しながら、Web環境でコンタクトされる方へのサービスも充実させる必要があると考えています」と藤田氏。

髙橋 菜穂子氏

経営企画部 デジタル企画部
企画チーム 調査役

髙橋 菜穂子氏

 遺言信託のご相談は、相続人関係や財産の内容、配分など、お客さまの希望を確認するところから始まる。「通常であれば、専門スタッフである財務コンサルタントがお客さまとお話しする中で確認していくのですが、相続ニーズの高まりに伴い、必要な情報をスムーズに共有できる環境整備が必要になってきていると感じていたのです」と語るのは、営業店へのサポートを行っている個人業務推進部 コンサルティング推進チーム 調査役 末吉 健太郎氏だ。さらに、効率的に業務を進めるためのツールとしての活用も視野に、新たな仕組みを検討していったのである。

導入のポイント

実績とパッケージ化により短期間で稼働可能な点を評価

 新たな仕組みで重視したのは、誰でも負担なく入力できるよう、シンプルな言葉づかいや簡素なステップで遺言信託の相談が可能で、できる限り早期にサービスをリリースできる環境づくりだった。「さまざまな点を考慮し、すでにノウハウがパッケージ化されたもので、業務部門でも負担が少なくカスタマイズできるものが欲しいと思ったのです」と髙橋氏。

 そこで、具体的なパートナーの選定に入ったが、世の中に遺言信託を扱った既存のサービスは存在しなかった。「複雑な情報を分かり易く表示することや、操作性の良さを確保すること等、お客さまに入力していただくうえでのUX(ユーザーエクスペリエンス)を重視していました。それらの点に対して、しっかりとした実績に裏打ちされた満足できるレベルの提案をしてくれたのが、東芝でした」と藤田氏。

 同行が注目したのが、東芝が提供している「ネット相続相談サービス」だった。「当初、東芝が相続分野に強いというイメージはありませんでした。しかし、お客さまと会話形式で希望を確認できる点、複雑なパターンが発生する相続人関係の把握が的確に行える点など、東芝のソリューションは質の高い状態ですでにサービスとして完成されたものでした。既に相続関連サービスの導入実績もあったことで、多くの部分が私たちの業務に応用できるのではないかと考えたのです」と藤田氏は説明する。

 「すでにリリースされているサービスだけに、実績に対する信頼感もありました」と髙橋氏。提案段階で実際に動く仕組みを確認できたことと、スムーズに導入できるという点を高く評価。東芝の「ネット遺言信託相談サービス」を採用、これをベースに構築することとなったのである。

  • ■図1 お客様の状況確認

    図1 お客様の状況確認
  • ■図2 ご相続人関係の確認

    図2 ご相続人関係の確認
  • ■図3 財産と配分割合の確認

    図3 財産と配分割合の確認
導入の効果

最適なUXで利用者の負担を軽減、利用者の層が広がった

 2019年10月から同行のWebサイトにて「WEB遺言信託サービス」の提供を開始、およそ半年という短期間のうちにクラウド上で顧客サービスリリースを実現した。ホームページ等から同サービスのご相談に訪れる個人の顧客の他、店舗にいる営業担当者なども、来店された顧客と一緒に案文を作成するため、本サービスを活用している。
 また、入力された情報はRPAの仕組みを活用して、社内にある信託システムを連携することで、業務効率化にも大きく貢献している。

石倉 洋輔氏

個人業務推進部
コンサルティング推進チーム 調査役

末吉 健太郎氏

 リリース後の反響は上々で、期待通りの幅広い層へリーチできる手段として大いに役立っている。「 “遺贈(いぞう)”のような難しい言葉も登場しますが、流れに沿って適切な解説が画面に表示されるなど、使い勝手に関しても好評をいただいています」と藤田氏。実際のサービス利用者からは、入力の手順がシンプルなため、負担なく入力できた、などという声も寄せられている。
 なお、現場の営業担当者からも、お客さまと一緒になって対応できると好評だ。「導入時に、100名規模の研修で実際に同サービスの体験入力を実施しましたが、参加者から、“分かりやすい”、“操作しやすい”など、評価が高かったですね」と末吉氏。

 今回、短期間での導入が可能となった陰には東芝の技術者たちの熱意と努力も忘れてはならない。「遺言は死後のことを生前に記載しておくものなので、言葉の遣い方が難しい。彼らは、自ら勉強して多くの選択肢を提示してくれました。お互い苦労はしたものの、見事に難題を解決してくれたのです」と藤田氏は高く評価する。「私たちの意向をくみ、ユーザーの観点からもアドバイスしてくれました。UI(ユーザーインターフェイス)やUXの検討にも多くの時間を割きましたが、それをうまくシステムに反映してもらえたので、とても感謝しています」と髙橋氏。

将来の展望

サービスの多様な活用を通じて、遺言信託の認知度をさらに高めたい

 今後は、お客さまを訪問した時にタブレットから直接入力するなど、PC以外のデバイスでも活用できるような運営も意識しながら、さらに活用の幅を広げていきたい考えだ。「将来的には、このWEB遺言信託サービスを、地域金融機関をはじめとする代理店にも活用していきたいです。案文作成の自動化など、活用範囲を広げていきたいですね。そして、さらに進んでいく高齢化社会において、信託銀行ならではのお手伝いが出来ればと思います」と藤田氏は語る。

 東芝は高齢化社会を見据えたサービス充実のため、疾病予測AIを使った健康サポートや、相続業務のノウハウを生かした遺産整理業務相談などをサービスとして拡充していきたいと考えている。人生100年時代を迎えた今、誰もが将来に備えた準備をする時代がやってきている。今後も、東芝は同行と一緒に顧客サービスやビジネスを考え、ともに成長していくことだろう。

SOLTION FOCUS

ネット遺言信託相談サービス

「ネット遺言信託相談サービス」は遺言信託をお考えのお客さまが金融機関との相談をスムーズに行うために、Webサイト上の仮想相談員とのやりとりを通じて、手続きの流れや必要書類の把握・疑問点の解決、家系図(相続人関係図)や保有財産(金融資産や不動産など)の登録、資産分配シミュレーションの実施、諸データの金融機関へのセキュアな送付、金融機関の来店予約などができるサービスです。「ネット遺言信託相談サービス」の他にも、相続手続きのご案内をWebサイト上で行う「ネット相続相談サービス」もある。

【ディスクレーマー案】
■WEB遺言信託サービスは、お客さまに入力いただいた情報を一般的な遺言の形式に反映するものです。実際に遺言を作成される際には、ご来店によるご相談および遺言信託の費用が必要です。
■遺言信託では以下の費用が必要です。(お申込時)880,000円(遺言執行時)当社所定の遺言執行報酬を申し受けます(最低報酬額:330,000円)(2020年1月4日現在/消費税込み)*以上はお支払いプランの一例です。他のお支払いプランもあります。詳しくはWEB遺言信託サービスをご確認ください。

この記事の内容は2019年12月に取材した内容を元に構成しています。
記事内における数値データ、社名、組織名、役職などは取材時のものです。

COMPANY PROFILE

会社名
三井住友信託銀行株式会社
設立
1925年7月28日
代表者
取締役社長 橋本 勝
本社所在地
東京都千代田区丸の内一丁目4番1号
URL
https://www.smtb.jp/ 別ウィンドウで開きます

お問い合わせ

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