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お客様インタビュー

グローバル展開も視野に入れた調達基盤を半年で構築
高度な見積業務とサプライヤー管理をノンカスタマイズで可能にする「Meister SRM™

カンパニー:アサヒグループホールディングス株式会社×ソリューション:高度な見積業務とサプライヤー管理をノンカスタマイズで可能にする「Meister SRM™」
本部ビル

アサヒグループのホールディング体制移行に伴って、ガバナンスの強化を図るとともに、グループ全体でのシナジー効果を発揮するためのインフラ作りに着手。事業会社ごとに行われていた調達業務の可視化と、戦略的な調達業務を可能にする基盤作りを実現した。多くのサプライヤー情報の一元管理や見積業務の高度化を支える調達インフラとして、株式会社東芝 インダストリアルICTソリューション社が提供する戦略調達ソリューション「Meister SRM™」が活躍している。

ホールディングス体制への移行をきっかけに、グループ全体でのシナジーを最大限に発揮するための情報統制の在り方を模索。ガバナンス強化を実現しながら、グループ全体での戦略的な調達業務を可能にするための、情報の可視化につながる情報基盤の構築が検討されていた。
グループ内の各事業会社の調達部門で行われているサプライヤー情報を統合的に管理し、現場で閉じていた見積情報をMeister SRM™ を通じて入手、情報収集によって見積業務の見える化を徹底。クラウドサービスを活用した戦略的な調達基盤を、わずか半年で整備することに成功。カスタマイズなしで実業務をスムーズに行うことが出来る基盤を手に入れた。
導入の背景

グループ全体でのシナジーを生み出すための情報管理が急務

スーパードライ(左)、三ツ矢サイダー(右)

 「その感動を、わかちあう。」をグループ共通のコーポレートブランドステートメントに据え、世界で信頼される企業グループを目指しているアサヒグループホールディングス株式会社。主力ブランドである「スーパードライ」や2016年に発表した新ブランド「アサヒ ザ・ドリーム」を手掛けるアサヒビールを中核に据えた酒類事業をはじめ、「三ツ矢サイダー」「カルピス」などさまざまなブランドを展開する飲料事業、タブレットやお菓子、乳幼児食品、フリーズドライ食品などの食品事業、中国や豪州を中心に飲料・食品を提供する国際事業など、多岐にわたる事業を展開している。

 2011年には新たにホールディングス体制に移行し、「『食の感動(おいしさ・喜び・新しさ)』を通じて、世界で信頼される企業グループを目指す」を長期ビジョンとして定め、長期安定的な成長を目指した施策に取り組んでいる。

 このような中、グループ全体でのシナジーを生み出すための情報管理を徹底することとなった。「新たな企業がグループに参画する機会が増え、ガバナンスの強化を目指した情報統制の在り方を模索していました。その中で議論が進められていたのが、調達業務における統合的な情報統制基盤でした」と語るのは調達部門 グローバル調達戦略推進センター マネージャー 澤 英司氏だ。

導入の経緯

サプライヤーの一元管理と調達における見積情報の可視化を目指す

齋藤 宏樹 氏

IT部門 マネジャー

齋藤 宏樹 氏

 2000年に入ってから、ニッカウヰスキーとの営業部門統合を皮切りに、ベビーフード国内最大手の和光堂やフリーズドライを手掛ける天野実業、ニュージーランドや豪州、マレーシアの飲料会社の株式を次々に取得。2012年にはカルピスが新たに持ち株会社の傘下に入るなど、多くの企業が同グループに参画しており、グループ全体で考えると調達額も相当なものとなっていた。だからこそ、グループでの情報統制を強化しながら、いかに戦略的な調達が可能になるのか、グローバルも視野に入れた情報管理基盤の整備が急務となっていたのである。一方で、工場の稼働率を高めていくために事業会社の垣根を超えた生産体制が敷かれており、同社主導で相互に原材料を一括調達し、酒類事業や飲料事業など各事業会社に支給する運用も同時に進められていた。「この一括調達を実現するため、アサヒビールやアサヒ飲料、カルピス、ニッカウヰスキーの飲料4社では品目コードと呼ばれる原材料コードを統一したのです」とIT部門 マネージャー 齋藤 宏樹氏は当時の状況を振り返る。

 ただし、砂糖や段ボールなど調達量の多い原材料はホールディングスによる一括調達が可能でも、さらに細かな原材料になるとそれまで持っていた情報システムだけでは十分でない場面も。だからこそ、いつでも新鮮な情報を取得できるような環境作りが必要だったという。同時に、グループ全体で取引のある1200ものサプライヤー情報を管理する基盤も求められていた。「調達業務自体が事業会社に閉じてしまうことのないよう、情報を可視化していくための基盤が必要でした」。そこで求められたのが、サプライヤー情報を一元管理するとともに、調達における見積情報を可視化するための仕組みだったのだ。

導入のポイント

柔軟なインターフェースと機能拡張が期待できるクラウドが魅力

澤 英司 氏

調達部門
グローバル調達戦略推進センター
マネジャー

澤 英司 氏

 基盤作りの大前提として考えていたのが、カスタマイズなしで利用できるパッケージの選択だった。「他社でベンチマークを行いましたが、調達部門にITの専門家を配置しないと利用できないような仕組みは避けるべきだと考えたのです」と齋藤氏はポイントを語る。

 そこで同社の目に留まったのが、東芝が提供する戦略調達ソリューション「Meister SRM™」だった。「同じ原材料でも運搬する距離や印刷内容によって価格が変わるため、原材料と価格の組み合わせが複雑」という業界特有の事情がある中で、Meister SRM™であれば、Excelなどを用いて見積パターンが作成できるなど、インターフェースの柔軟性が高い。「ガバナンスがしっかり機能するだけでなく自由度も高い。“標準化”と聞くと現場に抵抗感を与えやすいものですが、柔軟なインターフェースだからこそ受け入れてもらえると考えました」と澤氏。

 サプライヤー管理においては、定期的な更新やサプライヤー自身での更新作業など、実態に合わせながら情報鮮度を保つことができるスキームを高く評価。「サプライヤー情報の管理だけでなく、戦略分析やBCP対策など戦略的な調達業務に役立つさまざまな機能が拡張できるようになっている点も魅力的でした」と澤氏は力説する。

 システム的な側面では、グローバルで活用できる基盤であることと、事業会社がそれぞれ利用できるマルチカンパニーの仕組みであることが要件だった。「現在は海外の企業も含めてM&Aを加速させており、グローバル展開を視野に入れた場合、国内問わずインターネット環境で利用できるクラウドを利用するほうが最適です。東芝のMeister SRM™はまさに私たちの求めていたものでした」(齋藤氏)。

 また将来的には調達における見積構造を分析し、戦略的な調達活動に役立つローデータがしっかり取得できることが求められた。「特に素材代だけでなく、どんな加工が必要で、その単価がどのくらいなのかという詳細な情報はこれまで紙やPDFのやり取りで行われていました。これら詳細な見積情報をデータとして可視化できるようなインフラとして、Meister SRM™が適していると判断したのです」(澤氏)。

 結果として、グループ全体の戦略的な調達基盤として、Meister SRM™が選択されることになった。

導入の効果

カスタマイズなしで戦略的な調達業務に役立つ基盤を構築

 現在は、アサヒビールおよびアサヒ飲料、カルピスの3社における約300社のサプライヤー情報の管理や原材料の見積を行う基盤としてMeister SRM™が活用されており、各事業会社の調達部門も含めておよそ50名がシステムを利用している。大きな分類でみれば30程度の品目カテゴリだが、SKU(*1)でいえば数万単位の品目を管理している状況だ。それでも、レスポンス的には全く問題ないと澤氏は言う。(*1 Stock Keeping Unit:最小管理単位)

 基本的な見積管理の運用としては、従来紙やPDFでやり取りしていたサプライヤーへの見積業務をMeister SRM™を通して行うというものだ。見積のタイミングは年間契約のものから都度発注の原材料までさまざまあるが「新商品が出れば印刷の色数やロットの数が変わりますので、すべて調達し直しです」と澤氏は現状のフローを説明する。また、飲料業界では市況の変化に対応すべく、年に一度すべての原材料について価格改定が発生する。このタイミングでもサプライヤーに一括依頼ができるような仕組みである。

 サプライヤー管理については、初期に一括登録したうえで、企業の決算発表が出揃う 6月ごろにメンテナンス通知をサプライヤーに依頼する流れだ。「グループ会社同士の取引など特別なもの以外はすべてサプライヤー情報をMeister SRM™に集約します。紙などを用いてサプライヤーとやり取りするのは担当者にとって大きな負担でしたが、これが解消できたのは大きい」と澤氏。情報管理の徹底はホールディングス側で行い、各事業会社の調達担当者が実業に注力できるような環境作りにも大きく貢献しているという。

 また電子見積については「コスト構造が見える化されることで、素材や加工賃など詳細な情報が把握できるようになりました。このデータを生かしてコスト戦略をグローバルで立案する際に大いに役立つと思います」と澤氏は期待を寄せる。情報の可視化が進むことで明細単位の交渉が可能になるなど、各事業会社の調達部門からの評価も上々だという。「サプライヤーもインターネットに接続さえできればすぐに見積依頼に回答できます。セキュアな環境でSaaSが利用できるため、電子証明書をわざわざ取得することもありません。サプライヤーにとっても使いやすい仕組みです」(齋藤氏)。

 なお今回のプロジェクトは、要件定義は1カ月半程度で終わり、わずか半年あまりで本稼働することができた。その理由については、東芝ならではの開発の進め方だと齋藤氏は分析する。「機能やマスターなどを最初に説明いただき、具体的な画面を見ながら運用イメージを膨らませることができました。ハードウェア調達も開発も不要で、これまでトラブルはありません」とその高い品質についても評価が高い。

 IT部門としては、ユーザ会についても大きく期待を寄せている部分だ。「食品業界の調達をさらにいいものにしていくためにも、他社のベンチマークをしたいという思いが強い。日本有数の企業の調達部門の方とコミュニケーションできる機会は大変貴重」と澤氏は高く評価する。また、齋藤氏は「システム作りはつまるところ“人”です。誰が担当するのかという視点で評価することが必要で、その意味では東芝の担当者は、心から信頼できる方でした。こちらの要望に対する回答レスポンスも的確で迅速でしたし、大変感謝しています」と語る。

将来の展望

他グループ会社への展開とBCP対策などさらなる機能拡張へ

澤 英司氏(左)、齋藤 宏樹氏(右)

澤 英司氏(左)、齋藤 宏樹氏(右)

 今後について澤氏は「ほかのグループ会社へ水平展開を行っていきながら、グローバルな対応も視野に入れています。同時に、見積項目やカテゴリを少しずつ広げながら、データ活用できる環境を進化させ、戦略的な調達に生かしていく予定です」と語る。データの活用については、将来的には各事業会社の調達部門が独自にデータ分析し、自ら戦略を立てていけるような環境にしたいという。

 Meister SRM™にはアンケート機能や汎用文書交換機能など豊富な機能が備わっており、サプライヤー管理をより一層強化していく際に利用したいと澤氏。「いまや調達しているサプライヤーの社会的責任も問われる時代となっています。従来のような取引先調査だけでなく、アンケート機能を使って情報収集を行ったり契約書を含めた文書のやり取りを徹底したりするなど、活用したい」(澤氏)。

 ほかにも、農産物も扱っている同社だからこそ、天候リスクを考慮したうえでBCP対策にもMeister SRM™を活用していきたいという。

 グループ全体の戦略的な調達を可能にする情報基盤「Meister SRM™」。情報収集による可視化から調達分析まで、これからもグループの情報管理を支える重要な役割を担っていくことだろう。

この記事の内容は2016年1月20日に取材した内容を元に構成しています。
記事内における数値データ、組織名、役職などは取材時のものです。

COMPANY PROFILE

会社名
アサヒグループホールディングス株式会社
創業
1889年(明治22年)
設立
1949年9月1日
代表者
代表取締役社長 兼 CEO 泉谷 直木
本社所在地
東京都墨田区吾妻橋1-23-1
事業概要
グループの経営戦略・経営管理
URL
http://www.asahigroup-holdings.com/ 別ウィンドウで開きます

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