東芝デジタルソリューションズ株式会社

「TUG 50th ANNIVERSARY 1965-2015 スペシャル 対談」(株)東芝 執行役上席常務 インダストリアルICTソリューション社 社長 錦織 弘信 、東芝ITユーザ会(TUG) 会長 藤原 格 東芝ITユーザ会創立50周年を迎えて

東京オリンピック翌年の1965年に誕生した東芝ITユーザ会(以下TUG)が、今年で創立50周年を迎えた。TUGは会員相互の情報交換やスキルアップ、親睦交流を目的に発足し、「真に会員企業に役立つユーザー会」を目指し積極的な活動を重ねている。 この節目に、TUG会長の藤原格氏(日野自動車株式会社 参与 IT推進部長)と錦織弘信氏(インダストリアルICTソリューション社 社長)の特別対談を取材した。

創立50周年を迎えられた今の想いをお聞かせいただけますか。

対談写真(藤原会長)
藤原会長
TUGは50年前、「TOSBAC研究会」という東芝のコンピュータ名がついた研究会でスタートしました。当時は電子計算機の黎明期でしたので、ユーザー企業が集まって、その活用法について意見交換や相互研鑽をはかっていたのです。最初21社だった会員企業は現在では470社になり、2004年に「東芝ITユーザ会」と名称を変えて、「異業種交流」「課題解決」「人材育成」を柱とした活動を全国で展開しております。 半世紀も活動を続けられたのは、会員企業の皆さま、歴代のTUG会長と役員の皆さま、そして東芝TUG事務局が一体となった取り組みと努力の賜物だと思います。大変意義深い50周年の節目に縁あって私が会長を務めさせていただいている事をありがたく思います。
錦織社長
激動の時代の中、50年という長きに亘り活動を継続していただきましたことに、藤原会長をはじめ歴代会長の皆さま、役員の皆さま、会員企業の皆さまへ、まずは深く感謝申し上げます。当社は、会員の皆さまとは、TUGという特別な関係で結ばれていると思っており、会員の皆さまが主体となり活動されているという点でもユニークなユーザー会であり、今後も進化し、発展的な活動を継続して行かれることを願っております。

TUGの活動実績や成果について教えてください。

対談写真(錦織社長)
藤原会長
TUG活動の核となっているのが、「システム研究会」です。若手を中心としたメンバーが10名前後のワーキンググループに分かれ、ICTに関するさまざまなテーマを設定して、1年にわたり研究活動を一緒に進めるというものです。これまで2,000名以上の方が志をもって取り組んでこられ、研究活動を通じた活気ある「異業種交流」「人材育成」の場になっています。当社からも毎年数名の若手社員を派遣していますが、普段接しない異業種の方々との切磋琢磨を経て、人間としてひと回り大きく成長して帰ってきますね。
錦織社長
ICTという共通項でつながった「異業種交流」でいろいろな方との輪が広がり、課題についても話ができるのは素晴らしいですね。「人材育成」に関して言いますと、ソフトウェアのようなソリューション分野において、日本はスピードで圧倒的に負けています。クラウドの世界ではあらゆる情報が入ってきますので、敏感に反応し解決法を見つけられるスピード感が求められるのです。めまぐるしく変化する市場環境に的確にスピード感をもって対応できる人材の育成には特に力を入れていきたいですね。
対談写真(藤原会長)
藤原会長
その他にも、各地区でシンポジウムや懇親会を開催したり、ICT業界で活躍がめざましい女性向けのセミナーも積極的に開いたりしています。 それから、TUGでは海外視察も毎年行っています。1970~2000年頃はICTが先行するアメリカを訪れることが多かったのですが、その後は中国、ミャンマー、ベトナムなど訪問地も広がりました。今年は、東芝がスマートコミュニティの実証実験プロジェクトを進めているフランス第2の都市リヨンや、インダストリー4.0 (Industrie 4.0)で話題のドイツへの視察も行いました。その時々のICTの貴重な現場を視察できる、良い機会をつくり出せていると感じます。
錦織社長
アメリカがソフトで先行しているというお話がありましたが、私共もゼネラルエレクトリック社(GE)やIBMなどと協業して学んだり、若い人材をアメリカをはじめ海外へ派遣していこうと考えています。一方、グローバルな動きでは、藤原会長も視察に行かれたミャンマーなどがぐんぐん追いかけてきていますね。
藤原会長
勢いがすごいですね。やはり日本ももっと前、先を見ながらスピーディーにアクティブに動いていかないと、と感じます。
錦織社長
そうですよね。クラウドのおかげで誰でも情報やコミュニケーションを取れる時代になった今、勉強した人、早く動いた人、アンテナを高くした人が勝てるという状況になっています。だからこそ、我々日本も世界で活躍できる可能性はあるのです。土台としては入りやすくなっていますので、異業種の皆さまと一緒にコミュニケーションをはかりながら、世界を舞台に事業展開していきたいと思っています。

それぞれのお立場から、TUGに今後どのようなことを期待されていますか?

対談写真(錦織社長)
錦織社長
今年の東芝ICTソリューションフェアのテーマは、「共創」です。TUGの中に素晴らしいコミュニケーションが存在するので、会員企業の皆さまからさまざまな課題を聞かせていただき、その解決法を東芝との「共創」の世界で創造していきたいですね。ソリューションは我々だけでできることではなく、「共創」により初めて可能となります。クラウドの世界には「共創」しやすい基盤がありますので、ビジネスを現在の円から次の大きな円へと発展させ、さらに大きな円へ育てていけるよう、皆さまと共に成長しながら、共存・共栄してまいりたいと思います。
藤原会長
まさに「共創」とつながるのですが、異業種の交流において感じるのは、会員の皆さまがそれぞれ似た悩みを持っているということです。 かつて企業の情報システム部門は、ユーザ部門から言われたシステムを言われた要件通りに作るという立場にありました。ところが昨今は、企業内のユーザーが抱える課題をICTの力でどう解決するか、企業の中で提案する経営戦略の担い手という立場に変わっています。そうなると業務知識とICTを活用して何ができるのかの両方を知っていなければなりません。ですから、情報システム部門が企業の中でのコンサルとしての役目を果たせるよう、ソリューションの可能性を東芝の皆さまから提案いただけることに期待したいのです。それが企業内のユーザーに受け入れられれば、企業はICT改革によって発展でき、東芝にとっても良いことだと思うのです。そのようなWin-Winの関係を築いていけたら、理想的ではないでしょうか。 自動車業界でも、自動運転のような新しい形が出てきたり、ICTを使って車から得られた情報をお客様に役立つようフィードバックしたりと、ICTが積極的に用いられるようになっています。商用車の場合も、さらにグローバル化を目指していくためには、時間と空間を超えられるICTの存在が非常に重要になると感じています。

TUG会員企業の皆さまへ、この機会に錦織社長からメッセージをお願いします。

錦織社長
自動車業界でも、車がコンピュータとIoT(Internet of Things)で密接に関わるようになってきていますね。そういった世の中の動きを、アンテナを高くして活発に情報交換することで、日本の産業をもっと大きく強くしていきたいと思います。その中でTUGが何か役割を果たすことができ、存在感が出せて、貢献度をあげていければ素晴らしいと思います。会員企業の皆さまと一緒に「共創」の世界、藤原会長がおっしゃったWin-Winの世界を築いて、サークルの円を増やしていき、最終的には日本の産業が世界を舞台に活躍できるようになれることを強く願っております。 最後になりますが、会員企業の皆さまの今後ますますのご繁栄とご健勝を心より祈念申し上げます。
対談写真(握手する藤原会長と錦織社長)
どうもありがとうございました。
  • TUG 東芝ITユーザ会 真に会員企業に役立つユーザー会