コラム第2回

『Skype for Businessが大企業で普及しない訳とは?』

昨今、Office 365を導入されるお客様は非常に多く、まずEA契約※1の更新に合わせてExcelやWord、PowerPointのライセンスを、Office 365に切り替えられることが多いようです。これを“ホップ”とすると、次の“ステップ”はOffice 365が提供するExchange Onlineにメールサービスを置換えることやSharePoint の展開です。この“ステップ”でデータセンターや運用費の削減、BCP対策の充実を図ります。Office365 の最後の“ジャンプ”にあたるのが、音声と映像によるコミュニケーションツールSkype for Businessではないでしょうか。
なぜなら、Skype for Businessは「働き方変革」「IoT」「デジタルトランスフォーメーション」が加速する中でもっとも重要なサービスで、その将来性は無限大だからです。しかし現実には、 “ジャンプ”であるSkype for Businessに至らずに“ステップ”で止まってしまうお客様が非常に多いようです。
ところで、皆さんはiPhoneやAndroidが提供している音声認識サービスを使われていますか?驚くほどの認識率で、しゃべった言葉をテキストに変換してくれます。iOSであれば「。」なども「マル」と言えば変換してくれます。音声認識サービスを使われた事がない方は、文書作成ツールとしても実用的ですので是非一度お試しください。
少々横道にそれてしまいましたが、例えばその音声認識サービスとSkype for Businessが連携したらどのようなことが可能になるでしょう。Skype for Businessに話しかければ、会議は勿論、困ったことの解決や、雑務の依頼までもできてしまう時代がすぐそこまで来ているのではないでしょうか。
まさしく、“ジャンプ”といえるような無限の可能性を持つSkype for Businessがなぜなかなか利用に至らないのでしょうか? 考えられる主な理由を3つ挙げてみます。

■理由1:Skype for Businessのすごいパフォーマンスを知らない

「パソコンで会議できるだけでしょ」、「IP電話にできるやつでしょ」など、いわゆるOffice365の“おまけ”といった理解で、使わなくても困らないと考える方が多数を占めているようです。SIerがSkype for Businessの本当のパフォーマンスをお伝えすることができていないのかもしれません。

■理由2:ネットワークの強化ができない

Skype for Businessを使用するためにはネットワークの強化が必要で、それはお金の掛かる話ですからハードルが高いですよね。ですが今の時代、ネットワークは人間でいえば神経と同じではないでしょうか。常に俊敏な行動ができるよう鍛えておかないとデジタル・トランスフォーメーション時代に乗り遅れてしまうことになります。

■理由3:SharePointの展開に手間取ってSkype for Businessの展開にまで至らない

SharePointの展開が結構曲者です。Notesや簡単なグループウェアをユーザに公開して好き勝手にEUC※2を進めてしまった反省から、しっかり利用ガイドを作って運用を確立させてから展開しなければならないと考えるあまり、SharePointの利用が一向に進まず、その結果“おまけ”的に思っているSkype for Businessの展開も忘れ去られてしまいます。

東芝では、「東芝グループ20万人の効率的なコミュニケーションを促進するシステム」としてLync(現Skype forBusiness)を活用しています。⇒詳しく見る
これだけ大規模に業務で実際に利用している国内事例はありません。使えるように設定したからといって爆発的に利用が進むことはありませんが、一度利用した方はその便利さがわかるはずです。社内はもとより、海外とも自席にいて会議ができるのです。天候や交通機関のアクシデントにも左右されずに打合せが可能です。一人ひとりの「意外と便利!」という経験が利用者を増やしますし、その経験は打合せの相手もLync(現Skype for Business)が使用できなければ味わえません。社員みんなで利用することで、導入効果も大きくなりますし、働き方改革へつながっていくのではないでしょうか。

※1 EA契約:Enterprise Agreement 契約
※2 EUC:End User Computing 情報システム部門ではなく、実際に当該システムを利用する業務部門(エンドユーザー部門)が構築・運用・管理すること

※Microsoft、Office 365、SharePoint、Skype、Yammer、OneDrive、Excelは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における商標または登録商標です。
※本コラムに記載されている社名、製品名およびシステム名は、各社が商標または登録商標として使用している場合があります。

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