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[第36回]コロナ禍での人材育成とは

2020.9.23

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コロナ禍での人材育成とは

 コロナ禍で、これまで当たり前だと思ってきたことが、そうではなかったことに気づかされた方も多いのではないでしょうか。今回は、私が感じている「感謝」と「効率」について、話してみたいと思います。

今こそ、感謝の連鎖を

 コロナ禍で学校が休業となり、子どもの育ちは、学校から提供される学びだけでは完結しないこと、そして学校と家庭の連携プレーの大切さが明らかになりました。会社ではどうでしょうか。どんな人材を育てるのか、どのように育てるのか、育てる場や教材の提供を含めて、人材開発部門に任せておけば良いのでしょうか。

 私が人材開発部門で感じたことは「現場は、実践の場であるとともに、社員の育ちを見守る励ましの場。人材開発部門だけ頑張っても完結しない。」ということです。例えば、教育へ参加する前に上司から「○○を学んで来い。帰ったら学んだ内容を皆に伝えて欲しい。」と言うだけで、教育へ臨む姿勢は大きく変わってきます。「どうして、この忙しい時に教育なのだろうか?」と参加者本人も、職場の周りのメンバーもそう思っていたら、どうでしょうか? 教育に参加していても、心ここにあらず、です。

 コロナ禍で、当たり前にできていたことが、できなくなったことを通して、お互いの存在価値に気づかされるはずです。そこでのキーワードは「感謝」ではないでしょうか。改めて、平常時から相手任せではいけない。相手への感謝の連鎖で、連携プレーできる土壌を育てていきたいものです。

効率と効果

 映画館やスポーツ施設等は、多くの観客が入ることで価格も手の届くものになっています。航空機などの乗り物も同様でしょう。つまり、効率に価値を見いだしていたわけです。しかし、コロナ禍で身体的距離の確保が求められるため「効率」についても新たな価値観が求められています。

 それでは、人材育成はどうでしょうか。人材育成で避けて通れないのは、効果と効率のせめぎ合いだと思っています。なるべく少ない投資で、即戦力の人材を育てたいとの要望を聞くたびに、「手をかけた分だけしか人は育たない」と応えてきました。

 講座や教材を選定する時に、既製品の教育で、最適なものに巡り合うことは少ないと思います。コンサルタントへ現状の課題やどのような人材を育てたいのかをヒアリングしてもらい、カスタムメイドしてもらうこともありましたが、それではお金も時間もかかります。そのことを踏まえると、eラーニングの既製品講座で、お客様企業のニーズに応えることの難しさも理解できます。様々な既製品講座をライブラリー形式で提供する方式もお客様企業の多様なニーズに応える一助になるかも知れません。

 コロナ禍で、リアルな教育をeラーニング化したいとの要望を伺います。そこで、リアルな教育を担当されてきた講師の方とお話ししていると、2手に分かれることに気づかされました。講師の役割は、目の前に受講者の反応を見ながら、どうすれば理解してもらえるか、話す内容を選ぶことで受講者の関心を引き寄せ、受講者の満足度を上げることに軸足を置き続けている方がいる一方で、目の前にはカメラだけでも講義はできる。受講者の反応を想定し、自ら大切なことをいかに伝えるかという視点で、動画撮影を始めている方もいます。どちらが正解とも言えませんが、利用する側からすれば、新たな教育のスタイルを模索し、試行してみる時ではないだろうか。これまでの効率や効果の視点だけでは測れない、新たな価値を求めて。

 また、前述のようにコロナ禍で、講師のもとで一堂に会してのリアルな教育ができない事情があります。それでは、リアルな教育でないと実現できない学びとは何でしょうか? 今こそ、学びの本質についても問われています。

 私の好きな作家に吉川英治氏がいます。彼は「我以外皆我師」という言葉を大切にしていました。すべてを学びの機会に活かしていく、全ての人から素直に学ぼうとする姿勢です。それがあればこそ、あれだけの歴史小説を書くことができたのではないでしょうか。また、松下幸之助氏も素直に誰からも学ぼうと、相手の話に熱心に耳を傾けていました。二人に、共通していることは、どんな環境であろうと、素直に、謙虚に、学び続けられるか、そして誰からも謙虚に、学ぶことができるか。ここに学びの原点を見る思いがしました。

 人材育成は「これが最良だ」という正解はなかなか見つかりません。また、すぐに結果のでる仕事でもありません。文句も言われます。もう少し、こうしていればと後悔することも多い。しかし、その時に後悔ばかりでは前に進まない。人材育成に関わる一人として、その時にこそ「まだまだやれることがある」「もっと、こうしていこう」と受け止め、志のエネルギーを燃やし続ける日々でありたいと思っています。

東芝デジタルソリューションズ株式会社
ICTソリューション事業部 HRMソリューション部
真野 広