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Vol.32 「TOSHIBA SPINEX」による変革と価値創造 インダストリアルIoTサービスの展開を加速

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#01 IoTサービスを加速する 「東芝IoTリファレンスアーキテクチャー」と「TOSHIBA SPINEX」株式会社東芝 片岡 欣夫, 東芝デジタルソリューションズ株式会社 中村 公弘

IoTやAIなど先進のデジタル技術により牽引される新産業革命は、一過性のムーブメントではなく、社会・産業構造を抜本的に変革する確かな潮流となりました。国としても、Society 5.0、あるいはConnected Industriesといった政策が進められています。そこでは、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(実世界)の技術を高度に融合させたシステム「サイバーフィジカルシステム(CPS)」が鍵となります。CPSで、経済の発展と社会的課題の解決の両立を図り、人を中心とした社会の実現が目指されています。
東芝は、新たな経営戦略「東芝Nextプラン」の中で、2030年に向けて「世界有数のCPSテクノロジー企業を目指す」と宣言。140年以上にわたるものづくりで培ってきたフィジカルの技術と、幅広い事業領域で実証してきたサイバーの技術を結集させたインダストリアルIoT(IIoT)サービス「TOSHIBA SPINEX」の提供を始めました。
ここでは、IIoTサービスの展開を加速させるための共通フレームワークとなる「東芝IoTリファレンスアーキテクチャー」の役割と、それに準拠して開発することで東芝の強みを生かしたIIoTサービス「TOSHIBA SPINEX」の概要についてご説明します。

経済システムをデータが担う、デジタル資本主義時代が本格化

近年、IoTやAIといった新しいテクノロジーの目覚ましい進化を背景に、経済価値の源泉は「モノ」から「データ」へと急速に移行しようとしています。資源から工業製品を作り出し、その機能や性能を維持するためのサービスを提供する従来の姿から、人や製品から生み出されるデータを活用して、機能やサービスの向上、さらには新たな機能やサービス、製品をも生み出す形へ。データを源泉とした経済価値を提供する「デジタル資本主義」の時代が始まっています。

ここで重要な役割を担うのが、「サイバーフィジカルシステム(CPS)」です。フィジカル空間(実世界)で生み出されるデータをサイバー空間(仮想空間)で分析して情報や知識へと転換し、それを実世界にフィードバックすることで、付加価値を創造する仕組みです。CPSには、さまざまな分野で広く普及されることで、社会や産業の構造に大きな変革をもたらす可能性が秘められています。このことから、次の産業革新を推進していく基盤として、世界中の国や企業でCPSの適用を進める動きが広がっています。

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必要なのは、CPSの特性を生かすオープンな技術基盤

片岡 欣夫

世界の潮流の大きな変化を早くから予見していた東芝は、新たな経営戦略である「東芝Nextプラン」において、2030年に向けて「世界有数のCPSテクノロジー企業を目指す」ことを宣言しました。東芝が多岐にわたる産業領域で長い間培ってきたフィジカル領域の技術と、画像解析や音声・言語認識といったAI技術に代表されるサイバー領域の技術を高度に融合。膨大なデータと現場で磨かれた経験に基づくノウハウを結集することで、お客さまの新たな価値を創出し、デジタルトランスフォーメーションによる社会・産業変革をトップランナーとしてリードしようというものです。

CPSには3つのデータソース(供給源)が定義されます。機器や設備からデータを取得する「Internet of Things(IoT)」、ナレッジや行動など人に関わるデータを取得する「Internet of People(IoP)」、そしてサービスやシステムの稼働を通じて蓄積される「Internet of Service(IoS)」。これら3つのデータソースからデータを取得してサイバー空間で蓄積・分析し、その結果をフィードバックして実世界に作用させます。そしてこのサイバーとフィジカルが相互に連携し続けるフィードバックループが、CPSの特性の1つです。その他、複数のシステムを束ねて相互に連携させるSystem of Systems(SoS)、さらには人がシステムに関与してその意志を反映するという特性があります(図1)。

図1 サイバーフィジカルシステム(CPS)の特性

東芝がCPSテクノロジー企業になるためには、CPSが持つこれらの特性を生かし、自社以外の技術や異業種のサービスも受け入れることができるオープンな技術基盤が欠かせません。この技術基盤には、伝統的なCPSといえる制御システムと、SoSの概念を取り入れた最新のCPSであるIoTサービスを統一的に表すアーキテクチャーが必要になります。

そこで東芝は、インダストリアルIoT(IIoT)サービスの開発・運用を支える共通フレームワークとして「東芝IoTリファレンスアーキテクチャー(Toshiba IoT Reference Architecture)(TIRA) 別ウィンドウで開きます」の策定に取り組みました。

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お弁当箱にたとえた共通フレームワークで、IIoTサービスを展開

TIRAは、東芝のIIoTサービスを支える基盤であることと同時に、さまざまなプレーヤーが参加してエコシステムを実現するための共通フレームワークです(図2)。

図2 東芝IoTリファレンスアーキテクチャーの構造

東芝では、TIRAのコンセプトを「お弁当箱」にたとえました。ご飯や主菜、副菜を入れる場所が仕切られたお弁当箱。中に入れるおかずの具材や調理方法、配置により、さまざまなバリエーションで、味わいのバランスに優れたお弁当ができあがります。このような柔軟な機能性を模して定義したTIRAは、ハードウェアとデータをやりとりするインターフェース(IoT Bus)や、他のシステムやサービスと相互接続するインターフェース(Service Bus)でつながった、「Edge(IoT・モノ)」「Platform(IoS・サービス)」「Enterprise Service(IoP・人)」という3つの層で構成。そこにフィジカル/サイバー領域における東芝のノウハウを盛り込み、7つのコンポーネントを割り当てました。またそれぞれのインターフェースは、東芝の製品以外のハードウェアや他社のサービスとの相互接続を可能とするため、API*として公開されることを前提としたオープンなアーキテクチャーとしています。この構造により、お弁当箱に具材を詰め込むかのように、多様なソフトウェアやサービスを適材適所に組み合わせるだけで、意図するIIoTサービスの速やかな開発が可能になります。

*API:Application Programming Interface

TIRAの最大の特長は、データを中心とした設計により、必要なデータを素早く取り出して活用できる点です。またTIRAは、その策定にあたりグローバルな研究成果を参照しながらCPSの特性を取り入れましたが、いまではTIRAの成果をグローバルな業界団体であるIIC*がリファレンスアーキテクチャーとして定義するIIRA**に反映させています。この活動により、東芝以外のプレーヤーにTIRAへの参加をいっそう促し、SoSに対応したオープンイノベーションによるIIoTサービスのグローバル展開を加速します。

*IIC:Industrial Internet Consortium
**IIRA : Industrial Internet Reference Architecture

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実証から実装へ。IIoTサービス「TOSHIBA SPINEX」を次々と展開

現在は、IIoTサービスの実装を推し進めています。実証から実装へ。TIRAに準拠し、より短期間で低コストに、セキュアで品質の安定したIIoTサービスを、次々と立ち上げていく挑戦です。

この取り組みでは、多様な事業領域で幅広く活用できる要素技術を見極め、それをソフトウェアやAPIといった部品として再利用することで、開発の生産性を徹底的に高めていきます。東芝が、CPSを核に据えたビジネスを加速させていくため、さらには世界中のパートナーと共に新たなIIoTサービスを素早く提供していく上でも、非常に有効な取り組みになると考えています。

IIoTサービスの実装は、すでに社会インフラ、エネルギー、製造、そして物流という4つの分野で進み、2019年度中に合計12種類のサービスを提供する予定です(図3)。これらのサービスは、TIRAに準拠したIIoTサービスとして「TOSHIBA SPINEX 別ウィンドウで開きます」というブランド名で順次リリースしていきます。

図3 TOSHIBA SPINEXによる12種類のサービス

その第一弾として、2019年12月に、製造業のバリューチェーンをデジタル化する、TOSHIBA SPINEX for Manufacturing「Meister Cloud シリーズ」の提供を始めました。ものづくりからO&M*の局面でのIoTデータや業務データを高速に関連付ける統合データモデル(デジタルツイン)と、工場やプラント、機器メーカー向けのアプリケーションやテンプレートとを組み合わせたサービスを提供しています。サプライチェーンを横断したトレーサビリティーや、工場やプラント、機器メーカーの間でのデータ共有を実現するサービスとして、早くも大きな注目を集めています。

*O&M:Operation & Maintenance
※Meister Cloudシリーズは、#04で詳しくご紹介しています。

中村 公弘

また、エネルギーの分野では、東芝が持つプラントの運転やメンテナンスに関する豊富なノウハウを結集。そこに最新のIoT技術を取り入れて、エネルギープラントにおける運転や保守の最適化を図る「エネルギーシステムIoTソリューション」を提供していきます。

※エネルギーシステムIoTソリューションについては、#03で詳しくご紹介しています。

そのほか、社会インフラの分野では、熱源機や鉄道、ビルにおいてサービス化を進めています。工場やプラントといった大規模な空間で、空調あるいは生産プロセスの冷却や加熱などに活用される産業用の熱源機では、その運転を最適化してエネルギーコストの削減を図るサービスを、鉄道においては、鉄道車両の電機品などを遠隔地からモニタリングし、設備機器の状態把握とメンテナンスの最適化を図るサービスを提供する予定です。また、ビルにおいては、ビルに設置されたカメラやセンサーなどを用いて、ビルを利用する人の動きをデジタル化。エレベーターや照明といった各種設備データと連携させ、ビルを利用する「人」に目を向けたサービスに取り組んでいます。

今後は、このTOSHIBA SPINEXのラインアップを、続々と増やしていく予定です。

東芝Nextプランを発表し、推進してきたCPSの取り組みは、TIRAに基づいたIIoTサービス「TOSHIBA SPINEX」を提供するという、東芝の新しいビジネススタイルで、お客さまに価値を提供できる段階まできています。

CPSテクノロジー企業を目指す東芝の進化は、これからが本番です。東芝IoTリファレンスアーキテクチャーを広く業界に普及させ、お客さまやパートナーのみなさまとの共創も含めたIIoTサービスを数多く展開し、ビジネス課題や社会課題の解決に挑戦していきます。

「TOSHIBA SPINEX」の今後の展開と、東芝のCPSテクノロジーにご期待ください。

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※この記事に掲載の、社名、部署名、役職名などは、2020年1月現在のものです。

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