「Idea Wall Map」が共創を加速する|東芝デジタルソリューションズ
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Vol.26 お客さまと共に新たな事業創造を支える デジタル化の先に向けた共創とサービス化

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#03 アイデアがつぎつぎと生まれる、意見がどんどん交わされる 「Idea Wall Map」が共創を加速する 株式会社東芝 デザインセンター デザイン第一部 インダストリアルICT担当 参事 織原 千絵 東芝デジタルソリューションズ株式会社 プロダクト&サービス事業推進部 企画部 部長 綿引 賢

変革やイノベーションの必要性を理解してはいるものの、具体的な方向性が見えてこない。新しいビジネスのアイデアを生み出しても、結局は既存の製品やサービスの延長線上にあるものばかり。皆さまもそんなジレンマに悩まされていませんか。関係者の思惑が各々別の方向を向いている、議論してもフォーカスポイントが曖昧など、そこにはさまざまな要因が考えられます。しかし、新しい何かを創出するためには、このような議論の限界を乗り越えていくことが必要です。また、異なる業界の人たちが集まり、これまでにない価値の創出を目指していく「共創」の活動においては、文化の違いなどからこの限界が妨げになります。東芝ではデジタルトランスフォーメーションという言葉が広く使われるようになる前から、異なる経歴や文化、専門性を持った多種多様な人々による議論の活性化を支援して新しい知恵やアイデアを生み出す手法を開発し、さまざまなシーンで活用してきました。それが「Idea Wall Map」です。

参加者同士の「共通意識」を醸成

「Idea Wall Map」とは、共創の最初のフェーズで使用する東芝独自の手法です。デジタルトランスフォーメーション(DX)による新規事業の創出を目指す超上流のフェーズにおいては、異なるバックグラウンドや将来のイメージを持っている多様な人たちが集まった活発な議論が欠かせません。しかし、想定する事業範囲や着目している市場動向や規模感などに相違があると、どのように議論してもなかなかかみ合うことはありません。

しかも、現行のサービスの単なる機能拡張ではなく、お客さまにとって新しい価値を創出するような革新性が求められる場合、こうした状態を放置したままでは今までにない新しいアイデアを生み出すことは簡単ではないでしょう。Idea Wall Mapは、アイデア出しをする前段階として、異なる経歴や文化を持つ人たちが組織や会社を超えて互いの意識を合わせる(共通意識の醸成)ために、世の中を俯瞰(ふかん)する「下敷き」として活用することができます。共通意識を持ち議論のベースを合わせることで、活発な意見とアイデアの交換を可能にします。参加者たちの知性や創造性を刺激して、思いもよらないアイデアから新規事業を創出する芽を見いだし、育てていくために欠かせない手法として、お客さまや、サービスビジネスへの転換を進めている東芝グループ内外で活用が始まっています(図1)。

図1 Idea Wall Map

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キーワード版のルーツは、2008年のあるプロジェクト

織原 千絵

組織を超えた闊達(かったつ)な意見交換を早くから重視していた東芝では、それまでも議論を支援するさまざまなツールを開発し、運用してきました。そのひとつであるIdea Wall Mapには、目的に応じた3つの種類があります。2003年に誕生したのは、過去から学び、将来の課題を直感的に把握するために、市場や社会に関する各種データを時間軸上で重ね合わせて俯瞰するタイムライン版「Idea Wall Map Timeline」です。また想定する市場や技術、性能に対して規模感やギャップ、動向を直感的に把握できるログスケール版「Idea Wall Map LogScale」は、2009年に誕生しました。

そして今回ご紹介するのがキーワード版「Idea Wall Map Keywords」です。キーワード版が誕生したのは、まだ共創やDXという言葉が広く使われていなかった2008年に遡ります。舞台は当時の東芝で半導体事業を担っていた部門。そこでは新規事業を開拓するプロジェクトにおいて、事業のアイデアを検討するワークショップが開かれました。

参加者は既存の事業領域に止まらず、世界最先端の半導体技術をより生かせる領域や方法はないか探し出そうとしていました。そして作り始めたのが、世の中を広く俯瞰するための一枚の紙のマップでした。

参加者は議論して出てきた意見やアイデアを書いた付箋紙を、関連するキーワードを手掛かりにマップ上にプロットしていきます。すると、特定のキーワードや領域に議論が集中していることが一目でわかりました。そこで、その他の領域においても事業の芽はないか思案を始めました。

次第に、一見、無関係に見える領域にプロットされたアイデア同士にも関連性が見えてきました。その発見は、意外な視点からも新たな事業の芽が見いだせる可能性を教えてくれ、結果、この一枚のマップは新規事業を開拓するプロジェクトに貢献したばかりでなく、その後も事業創出および商品創出におけるアイデア検討の場面や、それらを体験する教育の場面などで活用されてきました。

一面に散らばった無数の言葉やそのつながりがまるで星座のようなこのマップは、ワークショップや技術検討、新規事業検討といったさまざまなシーンで活用され、現在のIdea Wall Map Keywordsへと発展を遂げることとなったのです。

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キーワードを散りばめた思考を導く天球儀

こうして誕生したキーワード版は、天球儀を模した空間にキーワードを散りばめた独特のカタチをしています(図2)。

図2 Idea Wall Map Keywords

世の中を俯瞰するための枠組みとして「個人」と「社会」という対照的な2つの視点から見た円型の空間は「物体—生命」「活動—思考」の二軸に沿って、「働く」「学ぶ」「モノづくり」「医療」「コミュニケーション」など、メガトレンドや各種業界、世の中の動向を示したキーワードをあらかじめ均等に散りばめています。これらキーワードが参加者に気づきを促し、同じ土俵に立った活発な意見交換を支援する役割を果たします。参加者はこのキーワードに沿って、各自の課題や実現したいこと、アイデアをプロット。せっかくの意見が参加者の記憶から消えることなく可視化され、また発言だけでは人によって受け取り方に差が出ることでも、プロットすることで認識を合わせることが可能です。共創に不可欠なバックグラウンドの枠を超えた参加者全員による意識共有が図れ、ぼやけがちな議論のフォーカスポイントが格段とわかりやすくなるはずです。

また、議論した足跡を俯瞰して見渡せるというキーワード版の広い視野を生かして、一見離れたところにある気づきやアイデアを結びつけていくことも可能です。さらに、議論が集中している領域、すっぽりと抜け落ちている領域も直感的に把握することが可能に。参加者が無意識のうちに注目していた領域を自覚できるばかりか、抜けている部分についても議論を活発化させることができます。

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さまざまなシーンで、効果を実証

綿引 賢

キーワード版が最も真価を発揮するのは、曖昧模糊としたテーマに対して、全体をざっくりと俯瞰しながら議論を進めたいシーンに尽きます。新規事業のテーマ自体の検討や事業アイデアのブレインストーミング、異なる事業に横展開できそうな製品や技術の発掘など、共創における超上流のフェーズがまさに最適です。

例えばA社では、次世代の経営幹部の育成を兼ねて、新しいビジネスモデルの創出を検討するワークショップを開催し、そこでIdea Wall Mapを活用しました。あらゆる視点からの情報を共有することで、A社の事業の根幹を担う「ある物質」の特徴を生かしながらも、それに縛られることなく着眼点を広げることに成功。その物質の可能性がさまざまなキーワードを軸に議論された結果、新規ビジネスのタネがいくつも生まれました。現在は実用化に向けての検討が行われています。

またB社では、取り扱い製品であるビデオ会議ソリューションと東芝コミュニケーションAI「RECAIUS(リカイアス)」との融合でどのようなビジネスモデルが描けるかを検討するため、Idea Wall Mapを使ったワークショップを行いました。市場に何を訴えていくかという検討からアイデアのタネ出し、さらにはアイデア同士のひも付けとその関連性から販売するターゲットを明らかにするなど、さまざまな試みが行われました。ここでB社に好評だったのは、議論の成果だけではなく、これまでとかく硬い雰囲気になりがちだったのが、このIdea Wall Mapのワークショップを機に一転して、よりフランクで活発なコミュニケーションが取れるようになったことでした。社員がざっくばらんにあらゆる視点から自社のソリューションの魅力や価値を再認識したり見つけ出したりするきっかけを得たことで、販売活動への意欲も高まったそうです。このように参加者のモチベーション向上につながるという点も、Idea Wall Mapの効果のひとつなのかもしれません。

Idea Wall Mapは現在、デジタル版も利用可能になりました。キーワードやプロットされた意見、さまざまなアイデアをデジタルデータとして格納することで、共創で生まれた「知」のデータベースとして活用できるほか、関連するアイデア同士を自動的につなげて可視化する、可変性や拡張性を備えるなど、デジタル版ならではの特長が生かされています。

新規事業の創出を支援する手法としてIdea Wall Mapはさまざまな進化を続けています。他のアイデア創出手法と連携させたりしながら、今後も効果的な活用方法についてアイデアソンやワークショップの場で検証を重ねていきます。そして東芝とお客さまが共創していくさまざまなシーンで、互いの意思の統一を図り、革新的な発想から豊かな未来へ導いてくれる思考とコミュニケーションの地図として存分に活用していくつもりです。

※この記事に掲載の、社名、部署名、役職名などは、2018年8月現在のものです。

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