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Vol.26 お客さまと共に新たな事業創造を支える デジタル化の先に向けた共創とサービス化

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#01 成果共創型の画期的なサービスを実現 DX実現に向けた新たな挑戦、東芝デジタル&コンサルティング 東芝デジタル&コンサルティング株式会社 取締役社長 沖谷 宜保

サービスカンパニーへの変貌を目指す東芝グループでは、お客さまやパートナーとの従来の関係から一歩踏み込んだ新たな共創への取り組みを加速させています。その象徴ともいえる存在が、東芝デジタルソリューションズが立ち上げた新会社「東芝デジタル&コンサルティング」です。ビジネスデベロッパー、ビジネスコンサルタント、デザイナー、データサイエンティスト、ソリューションアーキテクトなど、多様な専門性を持つ人材を結集。デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指して、東芝IoTアーキテクチャー「SPINEX(スパインエックス)」に基づき、新たな価値の共創に向けたコンサルティングからソリューションサービスまでを一貫して提供していきます。その特長は、DXによる成果を求めて、旧来のコンサルティングファームやシステムインテグレーターの壁を乗り越え、お客さまと一体となったビジネスモデルを実現することです。ここでは、東芝デジタル&コンサルティングのミッションと、成果訴求/価値共創型で提供する画期的なサービスについてご紹介します。

共創推進に向けた課題

東芝では長年にわたって産業機器や社会インフラシステムの遠隔監視を行い、IoT*やAI*といった先進の技術開発を推し進めながら、新しいサービスの具現化に取り組んできました。お客さまの競争力強化に貢献するため、東芝デジタルソリューションズを推進役に実効性あるIoT活用の仕組みづくりを実行。組織改革をはじめさまざまな取り組みを行う中で注目を集めたのが、東芝IoTアーキテクチャー「SPINEX」です。そこにはIoTやAIといった先進のデジタル技術とさまざまな現場で培ってきた豊富な技術や知見を結集しました。多種多様な製品やサービスをつなぎ、製品のライフサイクルやバリューチェーンを最適化し、製造業やエネルギー、社会インフラなどさまざまな領域でのデジタルトランスフォメーション(DX)を加速しています。東芝が構想するIoTの進化のシナリオに基づき、装置や機械といった「モノ」の状態や関連する作業などに関するデータを分析してオペレーションやメンテナンスの最適化、さらには自動化、自律化を実現。同時に、IoTの適用範囲をデバイスや設備といった現場のアセットから、ファシリティー、企業、コミュニティー全体へと拡大していくことで、産業界全般にわたりDXによる新たな価値を創造する企業として一層重要な役割を担っていきます(図1)。

図1 IoTの進化と適用範囲の拡大による新たな価値の創造

しかし、いかに先進的な技術と盤石の基盤があっても、DXによる成果を達成することは容易なことではありません。革新的な挑戦をしようとすればするほど、今までにない全く新しい「モノ」や「コト」が求められますが、お客さまをよく知り、信頼関係を築き、お客さまのビジネスに深く入り込んでみなければ、そこにつながる課題とその解決策を見いだすことは困難です。また、DXによる成果が出たのかを判断するためには、お客さまの課題が解決したのかどうかを確認することと同時に、それが解決策による効果だと明確にすることが必要です。これらを実現するための新たな体制やフレームワークづくりは、東芝にとって大きな課題でした。

また、お客さまの要件に沿ってシステムを構築する一般的なSIでは、運用開始後に日々発生し、刻々と集まってくる膨大なデータを分析し、有効に活用するところにまで東芝が関われるケースが少なかったことも事実です。新しい価値を創造するための源泉ともいえる「生のデータ」に触れることができれば、継続的な改善を図りながらSPINEXのポテンシャルを最大限に引き出すことができるはず。そのための最適な仕組みづくりも、東芝は模索してきました。

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コンサルティングとSIの融合で成果を訴求

岡田 光司

こうした課題に対応するため、2018年4月に立ち上げた新会社が「東芝デジタル&コンサルティング」です。東芝のIoT/AI戦略の最前線を担い、DXによる新たな価値を創造していきます。当社では、強力かつ多様なスペシャリストたちによるSPINEXをベースにしたコンサルティングを主力に、事業創出、価値創造とその確認までを一貫して提供。企業の垣根を越えてお客さまと課題やビジョンを共有し、これまで利用価値を見いだすことが難しかった、お客さまがお持ちのデータを有効に活用するところにまで踏み込んだサービスモデルを実現していきます。私たちの最大の特長は、導入効果をコミットし総合的な成果を訴求するという点です。

例えば旧来のコンサルティングでは、手法や過去の事例に基づいた計画・戦略などが価値として提供されるため、「絵に描いた餅」で終わってしまうというケースが多々見られました。デジタル活用に関わるビジネスの場合、日進月歩で激しく変化、進展するデジタル技術を運用まで見据えて適切に選択し、お客さまの課題や事業領域にあわせて適材適所に活用しなくてはなりません。またコンサルティングとソリューション構築・運用業務を分けて外部に委託される場合、ソリューションやサービスの品質を維持すること、さらにはPDCA*サイクルを回して成果を達成し続けることが難しく、お客さまのビジネスへの継続的な貢献が難しくなるということもあります。

*PDCA:Plan(計画)-Do(実行)-Check(評価)-Action(改善)

これに対して東芝デジタル&コンサルティングは、東芝デジタルソリューションズと共に、「超上流」から「ソリューション構築」「超下流」までを一貫したサービスで提供していきます。論理的な思考力を身につけたビジネスコンサルタントをはじめ、観察や洞察から体験価値の気づきを得られるデザイナー、データ分析やモデル設計のスキルを持ったデータサイエンティスト、技術の変化を捉えるソリューションアーキテクト、業界のトレンドに精通し課題を抽出・具現化する力を持つビジネスデベロッパー、専門領域の現場に精通したドメインエキスパートなど幅広く先進的なスペシャリストたちによる専門チームを結成。長年の事業活動と技術開発を通じて培ってきた経験をベースに体系化されたプロセスを用いて、コンサルティングとSIを融合させながらお客さまと共にスピード感を持って新たな価値をつくり出していきます。

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「超上流」「超下流」で何を提供するのか

お客さまに密着しつつ、世の中のトレンドや業界の動向、さらにはこれまでの経験とノウハウをベースに、自ら考え、自ら生み出し、継続的かつ確実に効果を創出していく。超上流から超下流までをまるごと提供する画期的なプロセスをご紹介します(図2)。

図2 超上流から超下流までのプロセス

超上流とは、具体的なシステムの要件定義に入る前段階、つまり課題の抽出や構想の策定、事業計画を行う工程を指します。業務を熟知されているお客さまご自身で実施されることが多いこの工程に、さまざまな事業領域で培ってきた経験と幅広いデジタル技術に関する知見を持つ東芝デジタル&コンサルティングの視点が加わります。構築するソリューションをお客さまにとって価値あるものにするためにも、経営と現場、さらには業界や技術など、あらゆる視点が融合した実効性の高い構想を策定することが重要です。

まずはビジネスデベロッパーを主体に、お客さまを深く理解するところから始め、抽出したお客さまそれぞれの事業領域における潜在的な課題、次の成長のタネ、そしてそれらの優先順位、さらにはビジョン、成果目標などを共有しながら、経営幹部の皆さまとの「課題の合意」を行い、お客さまと一体となったスタートアップを図ります。さらに、各業界や経営、技術それぞれのスペシャリストたちが、お客さまのオペレーションを把握し、それを踏まえて技術や市場の動向から将来の可能性を洞察することで、サービス設計にも深く関わっていきます。そこではプロデューサーやドメインエキスパート、ビジネスコンサルタント、デザイナー、データサイエンティストらが、それぞれの持ち味をバランスよく生かして実効性ある提案にまとめ上げていきます。さらにソリューションアーキテクトと連携し、業務とシステムの両面から要求定義を策定します。このようにして、各種技術や製品を中立的な視点で評価・選定しながら、アジャイル開発の手法を用いてMVP*を開発。PoC*を実施し、システム設計やソリューション構築の段階での手戻りや現場のニーズとの乖離(かいり)を防ぎながら、スムーズなソリューションの構築へとつなげていきます。

*MVP:Minimum Viable Product(実用最小限の製品),PoC:Proof of Concept(概念実証)

超下流は、構築したソリューション導入後の現場における業務運用の工程です。お客さまの課題が解決されたのかどうかを見極めるとともに、さらなる改善に結びつける重要な工程です。当社は、これまでお客さまが行われていたシステム運用や保守のオペレーションを、受託して代行。従来のSIでは切り離されていた現場の実業務にも、果敢に取り組んでいきます。ここでは刻々と生成される膨大なデータを、東芝コミュニケーションAI「RECAIUS(リカイアス)」東芝アナリティクスAI「SATLYS(サトリス)」という東芝の2つのAI技術なども駆使し、高度に分析して活用。正確な効果測定によるスピード感ある改善活動を実現し、SPINEX(株式会社東芝)のポテンシャルを最大限に引き出しながら、より実効性あるソリューションに磨き上げていきます。

東芝デジタル&コンサルティングは、事業領域を横断したビジネスコンサルタントやデジタル人材を主体とするデジタルコンサルティング部に加え、鉄道、物流・流通、エネルギーそして社会インフラというそれぞれの事業領域を専門とする4つの部門で構成。多様な現場でものづくりを追求してきた東芝だからこそできるアプローチと、IoTやAIの最前線を切り開いてきた東芝ならではのノウハウ、一貫型かつ密着型のサービスでしかできないスピード感ある対応力を融合して、社会を支える多くの業界のお客さまとDXによる新たな価値を共創していきます。

お客さまと共に社会の未来をつくる、東芝デジタル&コンサルティングの挑戦にご期待ください。

※この記事に掲載の、社名、部署名、役職名などは、2018年7月現在のものです。

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